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お中元特集2011

【ネパール】一番喜ぶサリーを母へ

2011年7月30日

写真:特設の売り場は、思わず足を止めてしまう拡大特設の売り場は、思わず足を止めてしまう

写真:箱詰めされたお菓子。どれもとても甘い拡大箱詰めされたお菓子。どれもとても甘い

写真:手作りの伝統菓子シェル。誰のが上手?拡大手作りの伝統菓子シェル。誰のが上手?

写真:狭い路地のバザールにあふれる買い物客。活気がみなぎる拡大狭い路地のバザールにあふれる買い物客。活気がみなぎる

 ネパールにも日本と同じく「母の日」があり、一番の贈り物は、お母さんに会いにいくこと。「母の日」はネパール語で「アマ・コ・ムク・ヘルネ・ディン」といい、直訳すると「お母さんの顔を見る日」だ。「顔見せに来ればいいよー、何ももってこなくていいよー」というお母さんの言葉の裏を読み、様々な贈り物を用意し、喜ぶ顔をみて楽しく語り合い一日を過ごす。嫁にでた娘たちは、この日を楽しみにし、自分たちの手料理とプレゼントを持参して、実家のお母さんに食べてもらうのだ。

 お母さんに食べてもらおうと、朝から腕を振るって作る手料理は、季節の野菜のカレーや、ライスプディングなど、普段よりもちょっと豪勢なもの。それから祝いの日に必ずと言っていいほど作られるのが「シェル」という、一見ドーナツのようなお菓子。これは米を荒く挽き、砂糖や牛の乳からつくるギーというオイル、それから香りの良い香辛料を混ぜて、丸く揚げたもの。それぞれがこのシェルを持参するので、誰それのがうまいだの今回は良くできただのとシェル談議に花が咲く。

 「母の日」が近づくと、バザールは買い物客であふれかえる。贈って喜ばれる品物はショールや、カーディガン、傘、フルーツなどで、中でも一番人気はサリー。若い世代では特別な日のドレスとなりつつあるが、年配の女性は、家の中でもサリーを着ていることが多い。普段着用のドーティと呼ばれる木綿のサリーがお手ごろだが、このときばかりは奮発して、スパンコールをちりばめたり豪奢な刺繍の入った外出用の質の良いものも人気だ。今年は私も奮発して、刺繍の入ったちょっと豪華なものを義母にプレゼント。サリー屋は大勢の客でにぎわい、色やデザインの好みを告げると目にも鮮やかなサリーを次々と広げて見せてくれる。贈るのも楽しいが、買うのはもっと楽しいイベントだ。

 それからにぎやかな祝いの日の手土産として欠かせないのが「ミタイ」。牛乳を煮詰めて甘く味付けしたのものや、揚げ菓子をシロップに漬けたものなど、見た目に楽しい。けれどもこの上なく甘〜いお菓子で、日本人には甘すぎると感じるかもしれない。母の日の前日からお菓子屋さんでは店の前に大きなテーブルを構え、売り出しになる。あれこれと悩みながら混ぜて注文し、箱に詰めてもらう。

 ちなみにネパールでは元来、花を贈る習慣はない。近年になって結婚式などのお祝いに花を手向ける習慣ができ、花屋も増えてきたが、私の義母のように古い世代のお母さんに花を贈れば、きっと笑ってたしなめられるだろう。花は、神々にささげるものとされているからだ。

筆者プロフィール

秡川圭代(はらいかわ・かよ)

1975年生まれ。地元の工業高校で建築を学ぶ。訪れたアジアの国々の建築の美しさに魅了され、古都カトマンズの魅力に取り付かれる。2000年よりネパールに在住。路上観察を趣味とし、カトマンズの素顔と日常をブログ「うわのそら 〜ネパールはカトマンズ〜」にて発信中。

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