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朝日新聞シンポジウム「がんに負けない、あきらめないコツ」
鎌田氏、樹木氏の対談(2)

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会場風景

●樹木さん流、生き方のコツ

 鎌田 アッコさんが大ざっぱだから治りそうだって言いましたけど、僕、樹木希林さんの書かれているものを読んだりして、面白い方だなと思いながら、「あ、この人は生き残るな」と思いました。

 こんなことを書いているんですね。何かミス――人間の失敗するミスですね――があったとしても、すぐに直してしまわないで、そのミスを生かすというようなことをおっしゃっているんです。

 多分、お家をつくっている時だったのかもしれないんですけど、建築家に「ミスをしたらすぐに連絡してほしい」「ミスをすぐに直さないでほしい」ってお願いしているんですね。ミスを直してしまったら、ミスで終わってしまう。けども、ミスを連絡してもらって、もしかして面白いミスだったら、そこを生かして何か新しくつくり直しちゃえばいいんだって思ったというんですね。

 最後がすごいなと思ったんですけども、ミスを生かすことがすごく大事で、私の顔はミス。だから、私はミスを前提にして、ミスを生かしながら生きてきたから生き残れたって。「あ、この人は、どんなことがあっても失敗がなくて、絶対生き残れるんだな」って僕は思いましたね。

 樹木 そうですね。どっかからよく探してきましたね。

 鎌田 そうなんですよ。

 樹木 いや、まことにそのとおりで、もったいないと思うんですよ。せっかくそういうふうに間違えて、例えばそこが出っ張っちゃったらば、それを壊すほどの大したもんじゃないなら、壊さないでそこから何かできないか。こういう顔に生まれてきちゃったらば、みんながきれいな衣装をとりたがったら……。残った衣装を「それでいいですよ」って着てるうちに、女優で私の年になって仕事を年中断っているっていうのは珍しいらしいんですよ。みんな仕事がなくってやっているらしいんですけれども。

 鎌田 年間4日ぐらいしか働かない。

 樹木 4日ぐらいしか働かない年もありました。去年は20日ぐらい働いたんです。それでも、ホリエモンの3倍税金払ったんですよ。

 鎌田 へえ。

 樹木 そして、細木数子さんより800万円ぐらい多く国税払ったんですよ。なぜかというと、収入が多いんじゃないんですよ。節税が下手なんですね。細木数子さんは年間の衣装代を1億5000万円計上しているんですって。私、毛皮買ったんですけど、中古で買ったから75万円なんですよ。年間の女優の衣装代、化粧代が75万円なんて聞いたことないって言われるけど、それ以上使えないんですよ。そうすると、そうやって税金をうんと払うことになったわけです。これ、全く余談です。

 だから、細木さんが悪いわけじゃない。ホリエモンが悪いわけじゃない。ただ、ホリエモンにしても、あんだけのお金を、考えられないお金を集めて、さて、何をするかと思えば……。見事な使い方をしてもらいたいのね。でも、見事な使い方をできないで、六本木ヒルズで300万円の部屋へ入って、それが今や3畳になっちゃったんですけども。(笑)そういうような使い方するんだったら、経済を追ってもつまらないな。それから、一生懸命顔つくっても、そういうようなことをしても何にもならないなって思った時に、生き方っていうのは何か見えてくるんじゃないかなと。

 「癌」という字は、病垂れに品の山って書くって、私は年中言っているんですね。それで、300年も生きるんじゃないかっていうぐらいタンスにしまったり戸棚にしまったり、これはまだもったいないからまだ使わないのよなんて言うくらい、皆さん、品物にこだわりますよね。品物というか物に執着する、何かに執着する。「そういうものをやめないからがんになるんですよ」なんて人にワーワー言っているうちに、自分ががんになっちゃいましたね。(笑)これだけがちょっとわからない。

 鎌田 機転がきくね、すごく。

 樹木 うん。

 鎌田 僕、もう1つおもしろいのを読んだんですよ。「姥百合(うばゆり)のごとく」っていう文、覚えています?

 樹木 はい。

 鎌田 すごい話ですよ。

 樹木 そうですか。

 鎌田 秋篠宮両殿下をお迎えした、徳川家博物館改装オープンの時に呼ばれて、伊藤博文さんのお妾さんが着ていた黒留袖を直して着ようとしていた。

 樹木 そうそう。

 鎌田 その時に、その伊藤博文さんのお妾さんの黒留袖を……。

 樹木 そうそう、そうなんですよ。汚くなっちゃった昔のとめそでなんて、ちょっと引っ張るとビリッていうんですよね。ところが、いい色合いなんですよ。肩なんかアメ色に焼けて、黒留袖が茶色っぽくなっちゃってね。そして、柄もいいんですよね。

 人が捨てるって言ったのをもらって全部裏打ちしたんです。そして、帯は、志ん生さんって昔のはげた志ん生さんの奥さんが使っていたものです。その奥さんは細くて寸法が短い人ですから、帯の寸法もあんまりないのですが、黒留袖に合うので、それを着ようと思って、そのリニューアルオープンに出かけたわけですよ。

 そしたら、ホテルで朝、帯を締めているうちに、ひょっと見たら帯留めがないんですよ。帯留めがなくても締められるんですけれども、寸法が足りないから帯留めがないとダメなんですよ。

 それで「うわっ、困っちゃったな」と思ったのですが、もうすぐ行かなきゃなんない、間に合わないと思ってひょいと見回したら、湯沸かしポットがあったんですよね。湯沸かしポットの差し込みとこっち側を抜いてコードを帯留めにして、差し込みなどは脇に挟んで、ちょっと見ると革みたいなんですけどね、すごく合わない。でも、黒だからいいやと思って。(笑)

 さらに悪いことに、殿下ご夫妻の前でお話をどうぞって言われて、立って「こんにちは」って言ったら、「すてきなお着物で」って。着物はいいんです、帯もいいんです。だけど、うーん。思わず、私、この方たちは日常つまらない生活しているんじゃないかなと思って、コードの差し込みをお見せしようかなと、ひょっと出そうと思ったら、隣に何か言ったら承知しないぞという護衛が立っていたんですよ。(笑)

 「あ、やっぱりやめよう」と思って。それで、やめて帰ってきたんですけど、徳川さんのご一家にはお見せしたんです。でも、あの時お見せすれば、あの方たちの頭にインプットされて、すごくいい思い出になったんじゃないかなと、それはちょっと惜しまれます。

 鎌田 残念でしたね。

 樹木 うん。それで、その。

 鎌田 いや、だから、こういう生き方が多分、生き方のヒントというか、病気に負けないというか、どうなったって、希林さん、生き残るよね。

 樹木 いや、でもなっちゃったんですよ、がんに。

 鎌田 でも、大丈夫、大丈夫。

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樹木希林氏

●太らないことが大事

 樹木 でも、私は自分が何でがんになったかが検討がつくんですよ。皆さん、検討つきません?自分の体だから、ああ、あの時のあの無理がとか、あれが重なってこうなったとか、あるいは、こういう生き方をしたとかって、絶対に医者よりも本人がわかっているんじゃないかなって思うんですよ。

 そこに、私が今回着目しているんですね。がんが再発しないための着目点というのを、お話ししたいと思うんですけども。

 鎌田 着目点ね。ぜひ。

 樹木 私、がんというのは、乳がんの場合、切っちゃって終わりかと思ったらば、そうじゃない。「治るかもしれないな」と言われてびっくりして、「あ、治んないんだ」って思いました。(笑)

 でも、先生が、「ああ、すごくうまく縫えてる」って言うから、「ああ、それじゃあ」と思っていたんですが、退院した時にリハビリっていうのをやれって言うんですね。ここまで伸ばせ、ああしろ、こうしろって言うんだけど、私なんかスッスッと伸びちゃうんですよ。

 むしろ脂肪が問題だなと思った。それから、ホルモン剤を飲めって言われたんですね。そのホルモン剤を私が――こんなのまねしちゃダメですよ――1回拒否したんだけども、娘や婿が飲んでくれって言うから1カ月飲んでみたんですよ。先生も「あっ、飲むようになりましたか!よかった」って言うんですよね。

 それじゃあ、そうかなと思って飲むようになったら、これがいろいろ具合悪いんですよ。胃が何かもたれる。一番軽いのを飲めって言うんですね。私の友人なんかは、もっと大きいものを朝晩飲む。私は1日1回なんだけど、それでも「嫌だな、嫌だな」と思いながら、結局1カ月やって、やめたんですね。それも理由があるんです。やめて今日で約1年半たっているんですね。これもまねされちゃ困るんですけれども、こういうやり方もある。

 だから、自分の体の中の脂肪というものを太らせないようにすることと、ホルモン剤を飲まなかった。あと、ほかに何かあったかな。腸をいつもよくしとくというようなことだとか、まあ、先生方の本を読みながら、何となく雑学で集めたっていう感じのやり方ですね。

 それと、もう1つ。私ががんから生還してというか、切って帰ってきた時にCMの話が来たんですね。がんを検診しましょうという公共の、乳がんの検診促進CMっていうのをやってくれって来たんですね。その時に、私は「あっ、ダメだ」と思ったんです。がんになって、がんの話を公でしたのは今日が初めてなんですね。

 その間もいろんな本の対談だとかそういうのはありましたけど、一切やらなかったのは、わからないから。中途半端は嫌なのでやらなかったんですけど、検診しましょうという広告をやってくれと言った時も、私は拒否したんです。

 なぜならば、そんな細かいの、いいじゃないかと。そんな細かいのを見つけて大勢で寄ってたかっていろんな治療をして、とうとう動けなくなっちゃった例も見ているから、もういいじゃないのっていうのがあって、それでやらなかったというのがあります。でも、それもよくないというのもわかります。

 鎌田 そうですね。

 樹木 はい。じゃあ、もうあとは黙ります。

 鎌田 太らないって大事なんですよね。今、日本の中でがんは、例えば、子宮がんとか胃がんはものすごく減ってきて、肺がんと乳がんと大腸がんが増えているんですよね。乳がんが増えてることの大きな原因としては、日本人の食が西洋化してきたこと。樹木さんは少し太っていたんですかね、豊満だったんですかね。

 樹木 私は10キロやせました。それも食事をしないでやせたんじゃなくて。

 鎌田 うん。

 樹木 何かサプリメント飲んだんじゃなくて。

 鎌田 どうやってやせたの?

 樹木 これは、言っていいですか。

 鎌田 はい。

 樹木 いや、効果があるかどうかはわかりませんけど、一応ね。地球が暖かくなってから食べる。それで、地球が冷えそうになった時にはもう食べない。だから、お昼ぐらいまでは飲み物だけにしといて、お昼から6時、7時ぐらいの間は、もう好きなもの食べているの。

 鎌田 いっぱい食べるの?

 樹木 いっぱい食べてる。甘いものも。

 鎌田 今日、お昼いっぱい食べてましたね。

 樹木 そうですよ。ペロッと食べちゃうんですね。そういうふうにしていった結果、排泄するようになったんですよね。要するに、食べないで用心するよりも、食べて循環して排泄すればいいんだっていう考え方です。そして今、全く注意しなくても、50キロを保っている。60キロあったんです。注意してやせてったんじゃないんです。その考え方は自分の理にかなっているなと思っています。

 鎌田 じゃあ、全然、我慢してないんだ。

 樹木 我慢しないの。

 鎌田 いいね。

 樹木 いいと思います、私は。ただ、でもわかりません。

 鎌田 僕は寒天なの。

 樹木 あ、そういう努力、寒天みたいなまずいものを食べて、そんな努力なんかしない。(笑)でも、これもあてにしないでください。あんなこと言って、あの人、3カ月たったら再発したみたいになっても困りますので。もうすれすれですよ、常に。

 鎌田 サプリメントは使ってない。

 樹木 使わないんです。

 鎌田 いいですね。

 樹木 私はケチなんですね。だから、なるべく、お金のかかることはしない。

 鎌田 じゃあ、この本(『がんに負けない、あきらめないコツ』)の中に登場する群馬大学の高橋久仁子先生のところなんか、共感できた?

 樹木 その部分は……。

 鎌田 読んでないの?(笑)

 樹木 読みました。読みましたけれども、こういうふうに食べないほうがいいとか、こういうものを食べたほうがいいとかっておっしゃっているんで。私は全部食べちゃいますから。


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