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国際シンポジウム「ジャーナリズムの力」 ―試練と可能性―
【討議(前半)】(1)

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会場風景

 高成田 こんにちは。今の基調講演をうかがって、このパネリストの方々がどんなことを思われたかというところで、まず問題を提起していくというところから始めたいと思います。それでは、ルモンドのフェレンジさんからはじめにお話をうかがいましょう。

 フェレンジ ありがとうございます。

 はじめに、ルモンドを代表してご招待いただいたことを感謝したいと思います。ルモンドの記者を招待いただいたということは、我々相互間の信頼をよく示すものであると思います。

 エイブラムソンさんのお話は、いわゆるクオリティーペーパーを代表する見識というものを示していただいたものと思います。一体どのような条件の中で、どのような媒体を使って、エレクトロニクス、インターネットといった情報技術の発展した情勢の中で、どうやってクオリティーペーパーがその質を守っていくのかというお話でした。

 ルモンドもまた、この世界の主要なクオリティーペーパーの「ファミリー」に属しているという意識を持っております。もちろん、ニューヨーク・タイムズがアメリカではその代表選手であります。ヨーロッパにおいても、同じような、いわばジャーナリズムの哲学を共有して日夜努力しているクオリティーペーパーがあるわけであります。

 すなわち、今日の世界を、できるだけ厳密に、正確にそれに証明を与えようと、さまざまな調査を通して、さまざまなコメントを通して、分析を通して、多くの質の高い情報を期待している読者層にこたえようとしてきているわけであります。

 ところが、今日、新聞は、きょうの討論の中でいろんな角度から議論されるわけでありますけれども、大きな変化、技術的な、経済的な、社会的な変化というものによって、1つの岐路に立たされていると言えると思います。

 つまり、これまでのようなプレスによる情報の生産と消費の形を大きく変えようとしている、そういった意味でのチャレンジを我々は受けている。従来型の作業方法ではうまく対応できないような事態が起こっているのであると。

 ニューヨーク・タイムズ、朝日新聞と同じように、すべての我々のプレスのプロフェッショナルとして、このような試練を乗り越えていなければいけないわけであります。きょう会場にお集まりの皆様、特に読者の皆様とともに、その試練をどう越えていくかについて討議していきたいと思います。

 高成田 今、試練という言葉が出てきましたけれども、藤原さんはこれからのジャーナリズムの形は変わっていくのではないかという点に非常に詳しい方であります。どうぞ。

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藤原治氏

 藤原 ご紹介ありましたように、ジャーナリストではありませんので、読者の立場から提案していきたいと思います。ジルさんのお話をうかがって、2つ思ったことがあります。

 1つは、やはりジャーナリズムの論理からすると、ニューヨーク・タイムズも朝日新聞も一緒なんでしょうけど、1行書くのにすごい思い入れというか、精神力というか、いろんな状況を乗り越えて書いているんだなというのがよくわかりました。

 ところが、じゃあ、そういう1行に対して、なぜ世界的な新聞離れが起こっているんだろうか。特に若者が中心ですが、これははっきり言って構造的な問題ですね。それだけ力を入れている1行1行に、なぜ若者たちは反応せずに離れていっているんだろうかと思いました。

 もう1つ、ジルさんがさらっと言われたんですが、これは日本の新聞にとってものすごく重要なことなんですね。それは、将来(ニュースを伝える媒体が)紙ではないかもわからんということをさらっと言われたんですね。

 紙を前提とするかどうかというのは、えらい大きな問題なんですね。それで、1つだけ、このフォーラム内に言っておくべきだと思うのは、日欧米のメディア環境の差なんです。例えば、ニューヨーク・タイムズは130万部、ルモンドは37万部ですね。そして朝日が830万部です。ここで、紙をどうするという問題は日本が一番大きいんですが、それを日本の新聞がどうとらえるか。

 それと、もう1つ、ネットでよく接している方はもう知っていると思うんですが、「EPIC 2014」というネット上の仮想ストーリーがアメリカで流れました。これは、アマゾンとグーグルが一体となって「グーグルゾン」というのができるという話。極端に言うと、2014年にはニューヨーク・タイムズは高齢者(とエリート層)向けのペーパーになってしまうというようなことが出ているんですね。

 したがって、ジルさんがさらっと言われましたけど、この紙を前提とするかしないかというのは、ジャーナリズムにとっても非常に大きな問題だと思っています。


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