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秋草 皆さんこんにちは。富士通の秋草でございます。本日はこの講演の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。フィンランド大使以下に改めてお礼を申し上げます。 実は、私、9月29日にヘルシンキで行われましたスサンナ・フオビネン運輸通信大臣の主宰するEUのユビキタス会議で、何人かのノキアの方々にまざって基調講演をやる機会を与えられました。先ほどの大臣の説明のように、フィンランドというのは、この分野ではアプリケーション、あるいは技術面で非常に進んでおりまして、参考になるところが多いのですが、きょうは、富士通におります私はこういうふうに感じますということについてご紹介したいと思います。 実は、私ども富士通というのは、フィンランドで結構ビジネスをやっていまして、大体520ミリオンユーロ、日本円で800億円ぐらいの規模です。ハードウエア、PC、サーバー、あるいはソーシャルサービスなどをやっていまして、直接雇用がおよそ二千四、五百名いると思います。いろんな会社がヨーロッパ全体に寄与しておりまして、1兆5000億ぐらいの規模ですが、そのうちのかなりの部分をフィンランドでやっております。 顧客は、フィンランドの国防省や、VTT(フィンランド技術研究センター)とか、あるいは、フィンランド最大の木材会社とか、さらに、フィンランド首相府のネットワークのアウトソーシング(業務委託)などです。先日、フィンランドの首相に会いましたら、「家庭でも事務所でも富士通のPCを使っているよ」と言われて、こちらもびっくりしたんですが、そのくらいいろんな形でフィンランドとの縁があります。 もともと富士通サービス・フィンランドというのがありまして、ここは昔のノキアデータという会社を富士通が買い取ったものです。もう一つは、ノキアが昔PCをつくっていまして、そのPC部門を買い取ったのが、今の富士通シーメンスの一部になっています。そういう意味で、ノキアとも関連があり、もちろんノキアは私どものいろんな意味の顧客でもあります。富士通はフィンランドといろんなおつき合いがあるのです。 さて、ICTシステムというのは、リアルの世界と別にあるものではなく、現実世界の写像なんですね。ですから、よくプロジェクトがうまくいかない、機能しない、信頼性が悪いなどというのは、ソフトウエアの構造もありますが、ほとんどの場合、現実世界、会社だとか、国とか、そちらの世界の仕組み、組織、指示系統がはっきりしないから、ICTシステムもうまくいかないというのが本質的な問題なのです。 ほんとうにきれいな情報システムをつくるには、その現実世界がしっかりしていないとだめだ、これはもう当たり前の話なんですが、これがなかなか顧客にはわかってもらえない。情報システムが何かやってくれるだろう、などということはないわけです。やはり現実世界の人・もの・金がしっかり動いていないと情報システムもだめなのです。 一方、さらにICTが進化するに従って、それにあわせて現実世界をどう構築するかということも非常に重要になります。今までは、どちらかと言いますと、現実の社会、日本型の効率だとか、コストダウンだとか、そういうものはとにかくICTに乗せて、情報システムで効率を出すんだと。ICTシステムを利用して、国、あるいは社会、あるいは企業を変えていくんだと。しかし、現実世界の仕組みが明快でなければ良いシステムはできない。それを無視してICTをつくってもうまくいかないわけです。まさに日本は、今そういう接点に来ています。 「e-Japan」というのも国を挙げてやっていまして、私どももいろいろ参加していますが、国自身のシステムを変えないで、そのままそれを情報システムに乗せていく。そうすると、幾らやっても、結局は変わらないんですね。あまり効率よくならない。本来は行政自身の仕組みをICTに合わせて変えていかなくてはいけないんです。先進的な会社は、既にICTをうまく使って、それに合わせて会社の仕組み、スタイルをどんどん変えていくというところもあるわけですが、まだそこまでいってない会社もあります。行政もあります。国によってその辺の程度の差があるわけですが、これが重要な問題なのです。 情報システム、大きなシステムを入れても、仕組みが変わらないとうまくいかない。それでトラブルが起きる。そういう社会システムのトラブルというのは何が原因なのか。情報システムが悪いのか、ソフトウエアが悪いのか。ほんとうを言いますと、意外と仕組みそのものがうまくいっていない、現実の社会がもともと情報システムを使う仕組みをつくっていないんです。そういうことが非常に多いということを経験しております。 話は変わりますが、インターネット社会ということが言われて、日本では1993年ごろに初めてアメリカから入ってきまして、実際には95年ぐらいから急速に広まったわけで、たかだか10年ぐらいです。何が変わったかというと、少なくとも加入者は世界中で増えている。いろんなサイト数も爆発的に増えています。 一方、初期のころのインターネットというのは、皆さん一方的にウェブを見るばかりだったのが、最近は自分たちが参加するという、本来のネットワークのあり方になってきた。完全ではなく、そうなりつつあると思っています。そういうのをうまく利用している例がグーグルなどです。いかにして一般の消費者が参加して、ほんとうの意味でのネットワーク社会をつくっていくか。もちろん、それには技術が伴わなくてはいけないんですが。 最近の変化を見てみますと、今までの行政や企業の情報システムは、どちらかというとかなり閉じていた。会社の情報システムが壊れても、あまり社会的に影響はなかった。ここ4、5年は、会社や行政のシステムが壊れると、必ず社会的な影響を与えます。私ども、毎日毎日、日本全国何万、あるいは何十万の利用者に事故があった場合、その情報は会長のところにも全部入ってきます。最近の事故は、もう必ず外の世界、一般社会に対するインパクトがどうかというのが問題になります。、明らかに変わってきており、会社の中でおさまってしまう、それも重要なんですが、必ずネットワークにどうするんだという話になってきます。そのくらい変わってきています。 生活者の側から見てもいろんな変化があり、ネットに対して受け身ではなく、ネットにものを言う、あるいは、ネットで連携する生活者、利用者というのが増えています。当然、企業、行政はどうかというと、今までの消費者、生活者のネットワークと無関係ではないわけで、消費者といかに対話しなくてはいけないか、あるいは、企業のほうは個のネットの顧客に対してどうするんだということになります。 例えば、飛行機のチケットは、日本の場合でも、既に個人のチケット購入者の60%がネットで購入すると言われています。今までとは明らかに変わってきているわけです。エージェントを使わずに、個人が航空会社から直接購入する。それは航空会社自身がやり方を変えなければいけない。そういう例がたくさんありまして、個人を意識しないとやっていけなくなってきているということです。 また一方で、デジタル・デバイド(digital divide)と言っていますが、情報技術をうまく使う生活者と、あまりうまく使えない生活者の間の、格差という言葉は好きではないんですが、差が出てくる。うまく使うとおまけがついたり、割引がついたりしますが、使わないと損をするという、その差が出てくる。これは当然のことですが、新しい生活者、あるいは一般の消費者がどのようにして企業と向き合うか、企業はどういうふうにして生活者と向き合うかというふうに変わってきているわけです。
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