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宮原 きょうは自虐的になって、ITの影の部分ばかり話しましたが、私はまだこれからもITの研究を続けていきたいと思っています。そのときに、やはり、つくるのも人であれば、使うのも人であるということを念頭に置きながら研究を続けていきたいと思います。 シー 私は映像の力について話しましたので、締めくくりに、ある映像を提示してみたいと思います。地球が宇宙船だと思って下さい。炭酸ガスの排出や気候の変化、エネルギーをはじめとする減少する資源の管理、イデオロギー、宗教、文化をめぐる紛争などが問題になっています。しかし、こうした問題は国家を超えたものです。大陸を越えたものです。まさにグローバルな問題です。 そこで「宇宙船地球号」を想像することができます。われわれ全員が宇宙船地球号に乗って、共通の目的地に向かっています。もちろん、宇宙船地球号にはいくつかの船室があります。個室もあります。一等船室の人々はそのまま一等船室にいたいと思います。他の場所にいる多くの人々は、宇宙船地球号の一等船室に入り込もうとします。一等船室に入り込むことに夢中になっています。宇宙船地球号は自動操縦です。われわれは全員が共通の運命に向かっていることを忘れています。その運命は、より明るいものでしょうか。それとも、さらに多くの紛争や衝突をもたらすような運命なのでしょうか。 大学が学生たちに話すことができるのは、目先のことだけでなく、その向こうを見なければならないということ、われわれの直面する問題は国家や国民や大陸を超えて広がっている、ということです。学生たちが互いに影響し合い、他者から学び、他者の観点から学ぶことを必要とするのは、まさにこの点なのです。 小宮山 きょう、ほんとうにおもしろかったですね。私は個人的に非常に勉強にもなった。多分、皆さんもそうお感じになっているのではないかと思います。 少し歴史的な流れのなかで考えてみたんですが、人間が開発してきたあらゆるものには、正の側面と負の側面がありました。一番よくわかるのは、原子力の例。あれは、物質とは何だろうかという好奇心で、人間は分子、原子、さらには素粒子というように、どんどん知を積み重ねてきた。プラスの面は原子力発電をはじめ数限りなくあるわけですが、核爆弾というネガティブな問題も生じた。 それだけではなく、あらゆるものだと私は思います。例えば、アンモニアが合成できるようになった。これは20世紀の初めのころにノーベル賞の受賞対象になったのですが、そのおかげで肥料がつくれるようになり、食糧の生産が増え、人間は非常に繁栄したわけです。しかし、実はアンモニアの合成によって、人工的に爆薬ができるようになった。それまでは、チリの硝石といったようなものから硝酸をつくっていたのが、アンモニアができるようになったから、硝酸が合成できたんです。それがドイツに第一次世界大戦を決意させる理由となったというように、あらゆる技術には正の面と負の面があった。
ただ、今、我々が直面している情報革命、知の革命と言われているものは、これまでの物質的なものよりも、もっと影響が強いような気がします。それはなぜかというと、人間性、脳、知識と関係する技術であり、人間を動物から峻別する知に関するものだからです。それが個人だったら人間性、あるいは、社会だったら文化という具合です。シーさんが最後におっしゃった宇宙船地球号という観点に立てば、多様性を持った地球の文化、人類の文化というようなものと関係しているということです。この光と影という問題に対して、おそらく今までの物質的なアンモニアや原子力が持ったよりもはるかに大きなインパクトを、多分、我々は感じているんだと思います。それがきょうの議論で明らかになってきたような気がします。 ただ、人間は戻る種ではないから、やはり前に進んでいくから、インターネットというのは、もう不可避ですよね。しかも、うまく使えるという例を、膨大なデータから見てきました。ロサンゼルスの都市の問題から、恋愛の議論から、さまざまなポジティブな光を求めるという、たくさんの例が出てきて、私は、前に進めるという思いを強くしました。 辻 ありがとうございました。 人類は最初にパピルス、紙が出てきて、次に情報の世界ではグーテンベルクの印刷技術、それからまた次の革命が起こって、私たちは今、おそらくそれをしのぐような未曽有の大革命のなかにいる。それが大きな可能性であると同時に、それと裏腹の形で、忘れてはいけない負の側面があるということだと思います。 そういったことを大学でも承知した上で、これから研究開発や人材育成をしていくんだということは、非常に強いメッセージとして皆さんに伝わったと思います。 きょうは世界の専門のすばらしい先生方に集まっていただいて、いろんな側面から私たちの今の生活を見直すような、刺激的なお話をうかがえたと思います。ほんとうに長い間、皆さん、ご清聴ありがとうございました。そろそろ時間ですので、これでパネルを閉じさせていただきたいと思います。 どうもありがとうございました。先生方もどうもありがとうございました(拍手)。 武内 本日は、東京大学・朝日新聞社共催シンポジウム「情報革命と人類の未来」にご参加いただき、大変ありがとうございました。 来年は、「知の拠点サミット」第2弾として、アリソン・リチャード・ケンブリッジ大学学長らをお招きし、2007年11月17日土曜日に本安田講堂におきまして、「21世紀の高等教育のあり方」に焦点を当てたシンポジウムを開催する予定です。皆様、ぜひご参加いただきますよう、お願いいたします。 本日はまことにありがとうございました(拍手)。
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