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朝日新聞シンポジウム 「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」

討論1 「世界・アジア・日本:繁栄と安定のための新たなフレームワーク」(3)

写真王毅氏
皆さん、こんにちは。
ジョセフ・ナイ、そして、緒方先生から大変示唆に富む話を聞かせていただきました。日本の新しい戦略を考える際、やはり中国という要素を抜きにしては語れない部分もあります。それに、主催者のほうから、ぜひ中国の見通しについて説明してくれという要望がありますので、そこから話を進めたいと思います。
確かに、改革開放政策のおかげで、そして中国の国民の努力によって、中国が目覚ましい発展を遂げました。ほぼ30年の間に、年間9%以上の成長率を維持してきたわけであります。まだまだ道のりが長くて、1人当たりのGDPが小さいのでありますけれども、中国全体としての存在感が大きくなったことは事実であります。そして、中国の経済発展によって、世界経済の成長に対する貢献度といいますが、専門家たちの計算によりますと、今世紀に入ってから平均毎年14%になっております。アメリカに次いで2番目になっております。アジアで見てみますと、アジアの成長に対する中国の貢献度は、もうほぼ60%にもなっているわけであります。
世界最大のマーケットの潜在力、そして、世界で最も豊かな人的資源を持っている中国でありますけれども、これからもおそらくまだ長く割合に速い発展が続けられると思います。もっとも、問題がないわけではありません。確かに問題もいろいろあります。我々は、それをはっきり認識しておりますし、自覚もいたしております。
大きな問題は、例えば1つは、経済成長のパターンの問題であります。どちらかと言いますと、今までの中国の発展、やはりエネルギーと資源を大量に消耗してしまったわけであります。これは、たまたま中国の発展、工業化の長いプロセスおいて重化学工業の振興期にあり、資源を使うという時期でありますので、言わば避けられないところがあるのですが、しかしながら、中国自身の持続可能な発展のために、アジア・世界のために、我々としては、これまでの経済発展のパターンを調整しなければなりません。
大きな方向性は、既にはっきりしております。これから目指す方向は、要するに、資源節約型、そして環境友好型、あるいは循環経済のパターンにシフトをしていこう。そのために、政府としては、いろんな政策と措置をとり始めております。例えば、去年から5年の間に、単位当たりのGDPのエネルギーの消耗量を2割カットし、主な汚染物の排出量を10%カットいたします。これを細かく各業界、各地域に分解して、必ず実現するようにします。これはたった第一歩でありますので、その後もまた大きな目標が、出されると思います。
2つ目の大きな問題は、発展のアンバランスの問題であります。これも日本からも大変注目されておりますけれども、とりわけ都会と農村の格差が存在しております。中国は発展途上国でありますから、まだ7億以上が農村人口です。この7億もの農村人口を豊かにしていかないと、中国の近代化は実現もできないし、中国経済のこれからの発展を支えていく内需も成り立ちません。ですから、この農民と農村の問題は、我々にとっては最も基本的で、重要な問題となっております。これから中国のインフラ建設は、沿海部から農村部へと推移していく。そして、地方交付税という形でその量を増やして、農村の発展にも回します。7億以上の農民に対し、農業税を全部免除いたしました。これは中国の歴史上になかったことであります。1億5,000万人以上の農村に住んでる子供達に対して、学費も全部免除しました。すなわち、いろんな方法を通じまして、農民と農村の問題の解決に取り組んでいるわけであります。
日本の戦略を考えながら語るとき、中国の当面の発展戦略と言いますと、それはまず国内において調和のとれた社会をつくる。この調和の社会には、いろんな要素が含まれており、その主な内容を3つぐらい皆さんに紹介しますと、1つは民主と法治です。要するに、中国も人類の普遍的価値観を皆さんと共有しながら、中国の国情に合う民主政治と法治国家の構築を目指して、努力していこうと。2つ目は、公平と正義です。それを国の、国民の最も重要な価値観の一つにいたします。3つ目は、やはり人間と自然との共生を目指します。調和のとれた社会をつくることは我々の目標でありますが、それを踏まえて、対外的には、調和のとれた世界を目指そうと。それもいろいろ内容がありますけれども、要するに、異なった文明や、宗教や体制の国々が、お互いの違いを認めながら、相手の長所を取り入れて自分の短所を補い、お互い尊重しながら協力を深めていこう、平和共存していこうというのが、我々が目指す調和のとれた世界の目標であります。
先ほど申し上げた中国経済発展の問題点、私に言わせますと、日本がほとんど今まで経験されたことではないかと思います。ですから、中国が、やはり日本の経験、もちろん教訓も含めて学んでいきたい。とりわけ省エネと環境保全の面においては、今まさに日本と中国の新たな協力の分野ともなりつつあります。それこそ中日戦略的互恵関係の最も重要な内容の一つになるのではないかと思います。
続いて、日本の新しい戦略についても、若干私の感想を述べさせていただきますと、まさに21本の社説を一挙に出しまして、私も読者の一人としてややびっくりしたわけであります。一応拝読させていただきました。もちろん、もう少し吟味する時間が欲しいのですけれども、その中に結構多くの示唆に富むアイデアがあったのではないかと思います。例えば、地球貢献国家をめざそう、世界のお世話役になっていこうというような構想。私は、やはり国際情勢の変化、時代の流れにふさわしいアイデアではないかと思います。そして、国際的な公益を高めながら、自分の国益を満たしていこうというアイデアも、私は大変興味深く思います。中国のことを思い出しますけれども、我々もまさに今、中国自身の発展を歴史の大きな流れにできるだけ一致させるように、そして、中国自身の利益をできるだけ国際社会の利益に一致させていくように考えております。
日本の戦略は日本国民が決めることですけれども、あえて皆さんの隣人として一つのアドバイスを参考までにさせていただきますと、日本は東西南北の橋渡しの役割を果たしたらどうとおもいます。東西と言いますと、アジアと欧米を意味しますが、アジアという我々が置かれている地域は、多様性に富んだ地域であります。そして、今これまでにない全体的な発展を遂げております。このアジアをもう少し国際社会に、とりわけ欧米の皆さんに理解していただこうと。そして、どちらかといいますと、今まではアジアの声はやはり弱かったんですよ。ですから、もう少しアジアの声を大きくしていって、それで、世界はもっとバランスがとれるのではないかと思います。南北と言いますと、発展途上国と先進国を意味しますが、発展途上国は往々にして弱い立場に立たされます。いかにして発展途上国の合理的な利益を満たしていくかが、いつでも世界中の大きな話題であります。また、発展途上国、このグローバライゼーションのメリットを享受するどころか、外されてしまうケースが多いわけでありますので、彼らに支援の手を差し伸べていくということは、まさにこの世界がもっと公平になるのではないかと思っております。ですから、私はやはり日本がこの東西南北間の橋渡しの役割が果たせる能力と条件があるのではないかと思っております。

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