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朝日新聞シンポジウム 「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」

討論1 「世界・アジア・日本:繁栄と安定のための新たなフレームワーク」(4)

写真崔相龍氏
写真ジョゼフ・キャロン氏
ただし、それを実現するには、やはりアジアに立脚するスタンス、アジアから発信する必要があるのではないかと思っております。その意味では、安倍政権になりまして、日本をアジアのゲートウェイにしようという発想をお出しになっておりますが、私は非常に生産的な、積極的なアイデアだと思っております。
最後になりますが、中国と日本がアジアの主導権を争うのではないかという心配があるが、そうではありません。中国も日本もそれぞれの優位性があって、まさに相互補完関係にあります。ですから、我々はむしろ日本がもっとアジアに注目して、アジアのために貢献していくよう期待いたしております。
きのう、自民党の中川幹事長がスピーチして、アジアに関して、日本と中国は共同責任があると。私はそれに賛成いたします。
以上であります。ありがとうございました。
若宮
ありがとうございました。実は、王毅大使は、都合で第2セッションに出られないのですね。ということもあって、第1部、討論1で思いのたけを話したいということでしたので、特に少し大目に見て時間を延長いたしましたが、ありがとうございました。
それでは、崔相龍さん、お願いいたします。
皆さん、こんにちは。私に与えられた時間は、貴重な5分ですので、早速本論に入りたいと思います。
私は、朝日新聞の大企画「日本の新しい戦略」、21本の社説の論点を中心に、私の意見を述べていきたいと思います。
第一に、「社説17」ですが、これは憲法9条に対する私の考えと同様です。戦後、日本は平和憲法のもとで、世界第2位の経済力、そして第5位の軍事力を持つようになりました。ナイ教授の定義によりますと、経済力と軍事力はハードパワーです。日本は、平和憲法のもとで、ハードパワーにおいても相当なレベルまで来ています。そういうハードパワーの国でありながら、平和国家のイメージも今まで約60年間維持してきました。私は、これは非常に高く評価しています。
第二は、「社説4」に当たりますが、核廃絶の問題です。日本は核をつくる十分な力を持ちながらも核を持っていない国です。これは韓国も同様です。日本は、戦後、非核三原則を守っており、歴史上初めての被爆国家でもあります。皆さん、どうでしょう。6者協議で日本は、韓国と力を合わせて、非核イニシアティブをとるべきではないでしょうか。6ヵ国はみな、非核原則を主張していますが、北朝鮮も含めて、日本と韓国以外の4カ国は核を保有しています。この点で、非核イニシアティブをとれる日本の正当性は非常に高いと思います。
第三は、24日、安倍総理が環境立国の構想を発表しました。先ほどナイ教授も非常に高く評価されましたが、私もこれは発想として大変すばらしいと思います。政策としても、非常に時宜にかなったものだと評価します。中国とアメリカさえ入れば、ということなんです。ナイ教授と王大使にご協力をお願い致します。
「社説20」では、例のソフトパワーを論じていますが、キーノートスピーカーのナイ教授は、皆さんご存じのように、ソフトパワーという概念のインベンターでいらっしゃいます。戦後日本は、憲法9条の価値、非核の原則に加えて、環境のイニシアティブをとることができれば、これ以上のソフトパワーはないと思います。
ナイ教授は、21本の朝日新聞の社説に対して高い評価をされておりました。私もその内容には全く同意いたします。しかし、今までの私の経験、そして今現在の日本政府のあらゆる政策を総合して判断した場合、楽観してはおりません。後でもしお時間があれば、具体的なことをお話しいたします。
若宮
ありがとうございました。5分ぴったりでおさめていただきました。
それでは、カナダのキャロン大使、お願いいたします。
キャロン
皆さん、こんにちは。本日は朝日新聞のシンポジウムに参加させていただき、ありがとうございます。
さて、本日のテーマについてですが、現在、日本では、国際的役割と世界の平和、そして安全保障の維持に日本がいかに貢献できるかについて議論が続けられています。こうした中で、カナダが積極的に平和維持活動に参加するようになった理由についてお話しすることは、日本での議論にとりましても意味があるのではないかと考える次第でございます。
カナダが長い間平和維持活動に積極的に参加してきたことは、皆さんご存じだと思います。それには、次のような4つの理由があります。
第1に、歴史があります。1956年にスエズ動乱が起きたとき、当時のダグ・ハマーショルド国連事務総長とカナダのレスター・ピアソン外相は、最初の軍レベルのPKO派遣により、戦争を終わらせることに成功しました。その過程で生まれたピアソン=ハマーショルド・モデルと平和維持活動の原則が、1990年代まで国際舞台の主役を演じるようになりました。
第2の理由としては、カナダの政党はすべて、カナダは国連及びその他の平和支援活動を支持できるし、すべきであるというふうに考えております。カナダは移民の国であり、世界各地に家族あるいは友人がおりますので、私たちは世界の一員だと深く感じています。自由主義的な政治の伝統に恵まれているカナダ人は、国益とは、集団安全保障の原則、共通の価値観、利害の調和に基づき、適切に機能する国際システムを通して、最もよく守られ、促進されると考えております。
第3の理由は、カナダ人は外交政策問題に現実的だということ。私たちは、リベラルな理念、つまり自由主義的な理念が持つパワーに希望を持っていますが、同時に、政治的権力が大きな意味を持つ世界では、こうした理念に限界があるという現実的な目も持っています。この現実主義に基づいて、カナダの能力、その強みと弱みを計算して、カナダは他のすべての国々と同様、国際社会の趨勢を見ながら、国益を促進する手段を選ばなければなりません。したがって、カナダの平和維持活動の一例を挙げますと、現在、カナダはアフガニスタンで活動していますが、その理由は、テロリズムに対する国内の懸念、NATO加盟国としての広い範囲の義務、そして最後に、米国との政治及び安全保障の緊密な関係によるものであります。外交、開発、警察活動、平和維持活動、そして戦闘までを含む執行活動は、すべて我が国と同盟国の安全保障を脅かす機能不全に陥った体制に対して、カナダがとるべきだと考える総合的な対策であります。
第4の理由は、カナダは平和を維持し、戦争の被害者を助けるための国際協調を外交政策の中心に据えています。詳しいことをこの場で説明する時間はありませんが、例えば、カナダは刑事裁判所の設立とか、あるいは対人地雷の削減、その廃絶について努力してきました。こういう経験は、日本にとってどういう意味があるか、どう参考になるかについて、一言申し上げたいと思います。あえて言えば、3つの点があると思います。

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