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朝日新聞シンポジウム 「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」
討論1 「世界・アジア・日本:繁栄と安定のための新たなフレームワーク」(5)
会場風景 |
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- まず、本日のテーマの地球貢献国家と関連しているのですが、ここ10年間以上、日本の外交政策として「世界に貢献する日本」というテーマをよく耳にしました。しかし、もちろん意図するところは理解できるのですが、個人的に言いますと、はじめから多少違和感を持っていました。というのは、「世界に貢献する日本」という意味には、「こちらは日本、そしてあちらは世界」という2つに分かれて離れているように、そういう解釈もできるのではないかと思うからです。日本が世界に大きく貢献することは、間違いありません。しかし、それはあくまで遠くから行うのであって、完全なパートナーとしてリスクを負おうとすることはないように解釈できる。しかし、それは日本の国民が望んでいる日本の姿ではないと確信しています。日本の国民は、自分たちも世界の一員であると感じているということに間違いありません。日本人は、海外旅行、あるいは留学、貿易や投資を盛んに行っています。まさに世界の一員なのです。したがって、テーマとしては、「地球に貢献する日本」よりも、言葉を変えて「地球参加と貢献する日本」の方が、日本の外交を反映するのではないかと思います。
- 第2に、憲法第9条に対する現在の解釈のもとでも、日本にできることはたくさんあると思っております。実際、厳密に現行の法的枠組みの中で活動しても、日本はまだまだその役割を拡大できると思います。先に緒方理事長からこの点についての詳しい説明がありましたので、私の方では割愛させていただきます。
- そして、最後に、これは一番懸念するところなのですが、国際平和と安全保障を維持する活動に参加する際、残念ながら、時には死傷者が出て、兵士のみならず、民間人が死ぬ危険性もあるということです。この事実に対しては、日本でこれから討議の必要があるのではないかと私は個人的に思っております。
- さきにアフガニスタンの話をいたしましたけれども、アフガニスタンで1名の外交官を含む57名のカナダ人が死亡しました。いずれの死も非常に悲劇であり、その数を増やすごとに、アフガニスタンでのカナダが目指す目的が必ず問われています。しかし、カナダの国民も、議会も、その任務を果たす意思を変えることはないように思います。なぜなら、平和維持と安全保障への貢献は、財政的な側面もありますが、兵士だけではなくて、NGO、非営利団体、文民など人的側面が果たす役割も非常に大きいのです。
- しかしながら、死傷者の問題は、日本にとっては大変難しい問題だと、私もよく存じております。したがって、この点については日本国内で、政界、国民、メディアの間の議論も必要ではないかと私はあえて思っております。
- 若宮
- 大変ありがとうございました。私ども、社説をつくる前にキャロンさんのお話を聞けば、タイトルも「地球参加と貢献国家」としたのに……と思いました。
- 皆さん、もうびっくりされたと思うんですけれども、きょうの外国の方は、ナイさんを除けば、日本語が大変達者で、それだけでもうれしくなる気持ちがしております。
- それでは、五百旗頭先生、多分達者な日本語だと思いますが、よろしくお願いします。
- 五百旗頭
- 私も日本語でしゃべらせていただきます。(笑い)
- ジョセフ・ナイさんの期待にたがわぬすばらしい基調講演があって、それに続いて、緒方貞子さんから、これはまたすばらしい密度の高い、冒頭発言がありました。世界の紛争の現実の中での問題をあそこまで語られるかというのに感銘を受けました。これできょうはもう足りた、終わってもいいぐらいだというふうに思いました。さらにその後、今、司会の若宮さんがおっしゃったように、3人の大使の方々は、何と、内容もすばらしいけれども、見事な日本語で達者にしゃべられました。かつてこういうことはなかったと思いますね。日本語をここまでこなして大使をやってくださる方々に、我々はいまや恵まれているのだと感銘を受けました。
- ナイ教授には、私、2度ハーバードに行ったんですが、最近は2002年から3年におりまして、そのときはちょうどイラク戦争にアメリカが突入する時期でした。そのとき私もケネディ・スクールのヴォーゲル教授と川島元外務次官のクラスで2、3回ゲスト・スピーカーとして講義をしたこともありました。シンポジウムでナイ先生とご一緒したこともあって、イラク戦争に向かうアメリカに対して、ナイ教授は、これは間違った戦争だ、おそらくアメリカを不幸に、悲惨にする戦争ではないかという観点で論陣を張っておられました。実は私も同じように考えていたので、大変共感を強くしたのですが、自分の国の政府が正義感と使命感に満ちて間違った戦争に向かっていくとき、これは朝日新聞も難しいでしょうけれども、ナイ教授のようなオピニオンリーダーである学者にとっても大変な試練だと思うんですね。拝見していると、ナイ教授は冷静に、しかし説得的に、礼節と品位を持ってイラク戦争の非を論じておられました。批判的な観点を静かに展開しておられました。
- つらい時期であっただろう――私自身も大変強力な首相の時代に意見をたがえることになりました。何しろ反対の立場の人に「刺客」を送ったりされる首相でありますが、私はイラク戦争について意見をたがえ、そして、靖国をめぐって、中国・韓国との外交関係で意見をたがえる面がありました。けれども、どういうわけか刺客は送られずに、トマス・モアや、あるいは千利休のような羽目にも遭わない。小泉首相はヘンリー八世や秀吉と違ったキャラクターの方で、私を防大校長にすることを熱心に推奨していただきました。どういう理由なのか、余計なことを言っていると、5分がなくなりますので内容に入らせていただきます。
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