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朝日新聞シンポジウム 「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」

討論1 「世界・アジア・日本:繁栄と安定のための新たなフレームワーク」(9)

写真会場風景
写真
若宮
よろしいですか。
緒方
そのようにおっしゃっていただくと、私としては大変恐縮するわけです。ですけれども、ほんとうに求められているものが何なのか、どういう形で日本は貢献できるのか、そのためにどのぐらいの犠牲を払っていくつもり――後ではもっと開発援助の話を申し上げたいと思っておりますのですが、それと同時に、やはり大きい国際貢献の大きな柱というのは、広い意味での開発援助、それと同時に、やはり紛争のある世界ですから、その中でどういう形で平和維持に貢献するかという2つに広く分かれると思います。そのうち、平和維持のほうは、何か焦点が合わない議論が時々横行しているような印象を持つものですから。でも、先生の今のお話を伺って、大変心強く思いました。
若宮
そこで、その9条改正論が少しずつ高まっているとすれば、今のような紛争地の問題もありますけれども、やはり日本周辺の、先ほども北朝鮮の話が出ましたけれども、北朝鮮のミサイル、核の問題が大きいと思います。
と同時に、中国の軍事的――もちろん経済力もどんどん伸び、国力が伸びると同時に、軍事力もどんどん伸びている。核の保有国として歴史も重ねてきた。そういう中で、中国の方は日本の9条はおおむねそのままの方がいいと言うんでしょうけれども、こちらから見ると、中国はどんどん軍隊を大きくして、軍が力を持っていながら、日本には持つなという。これはどういうことなんだという、あえて挑発的に申し上げるとそういう気もするんですが……。もう一つうかがいたいのですが、日米安保について中国には従来、「瓶のふた論」で、安保がしっかりしているほうが日本は悪いことをしないで安全だという論理がありましたが、依然としてそういう気持ちがあるのか。それとも日米安保がどんどん濃密になると、ちょっとこれは脅威だなという感じなのか。その辺も含めてお話しいただけますか。
確かに中国の軍事予算は、今世界的な話題になっておりますけれども、実際のことを皆さんに紹介しますと、中国の軍事費がなぜ90年代から割合に増えていくかと言いますと、1つ目は、80年代ころの中国の軍事予算が実質的にマイナス成長だったんです。インフレを除きますとマイナス成長だったんです。90年代に入りますと、ようやく国の財政的余裕が少し出てきたものですから、遅れた軍の建設を少しでもしましょうという発想があったんです。これは、どの国でも私は当たり前のことではないかと思っております。中国は大きい国で、それなりに自分を守っていく力が必要になってくるわけであります。
もう一つは、毎年の成長率が高く見えるんですけれども、もともとの基盤が小さいですね。それが故に、パーセンテージでいきますと、やはり高く見えるんです。実際のところ、1人当たりの軍事費は依然少ないわけです。例えば、中国の財政支出の中で軍事予算はどのぐらいの割合を占めるかと言いますと、毎年ほぼ7%でほとんど伸びていません。やはり中国の経済発展に従って国防の予算が増えているわけで、別にやたらに増えているわけでもないんです。むしろ80年代ごろよりも、財政支出に占める軍事予算の割合は落ちています。かつて15%だったんですが、今は7%にとどまっております。
もう一つ皆さんに説明したいのは、去年、中国は、公務員の給料を倍増しているんですよ。私も倍増したんですけれども、うれしいことでありますが、230万人の軍人たちの給料も倍増したわけであります。そして、70万人の退役された軍人もいますから、給料も倍増しなければならない。これは全部いわゆる今年の軍事予算に入るわけですよ。
ですから、この幾つかの要素を考えますと、私はそんなに増えていないのではないかと思っております。ただし、中国の説明不足かもしれません。これまでに我々はその説明と透明度の向上に努力してきました。以前に比べますと、中国の軍事関係の透明度、トランスペアレンシーはどんどん高まっております。皆さん関心ありますから、これからもその透明度を高めるために努力していく所存であります。
もう一つの日米同盟に関する質問でありますが、2つの角度がありますよね。1つの角度は、日米同盟、やはり歴史的な経緯があったんです。それなりの理由があったと私は思っております。日米同盟は、このバイラテラルのアレンジメントでありますので、ほかの国のことにかかわっていきますと、それは慎重に運んでいただきたい。
もう一つの角度は、まさに先ほどジョセフ・ナイさんのスピーチにもあったように、時代がどんどん変化しております。トランス・ネイションのような問題がたくさん出ておりますから、我々は抱えておりますよね。そのトランス・ネイションの問題に対処するためには、単なるバイラテラルのアレンジメントでは、私は足りないのではないかと思います。その点、私はナイ教授の見方に賛成しますが、やはり国際的な協力が必要であります。みんな一緒になってこれに対処する必要があります。ですから、アジアにおいても、このバイラテラルのアレンジメントと、これから成長していくモデレーションのアプローチ、やはり並行していくのではないかと私は思います。それぞれの役割を果たして、この地域の平和を守っていこうというピクチャーになるのではないかと思っております。
若宮
ありがとうございました。
我々の提言の中に、日米中首脳の協議を定期化したらどうかという提案がありました。ちょっと気の早い提案で、そういう協議自体がやったこともないのに、定期化するというのは随分すごい提案だなと、ちょっと皮肉を言われたりもしましたけれど、そういうアイデアはいかがですか。
私はいいアイデアだと思っております。日米中という3つの国、やはりナイ教授がおっしゃるように、健全な良好な関係、できればバランスがとれるような関係になっていくことを、もちろん国際社会、特にアジアの国々から期待されておりますし、歓迎されると思っております。
若宮
ありがとうございました。
すいません、お待たせして、小林陽太郎さん、日中関係では大変ご苦労されて、前政権の間、特にご苦労されて、今日、首脳の相互訪問には至っているんですけれども、まだ完全に軌道に乗っているわけでもありませんし、お互いの今軍事の脅威の見方についてもギャップがあるような気がしますし、ちょっとコメントをいただけますか。

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