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朝日新聞シンポジウム 「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」
討論2 「地球貢献への進路―国際交易と日本の課題」(6)
目加田説子氏 |
- 目加田
- まず、この21本の社説を読ませていただいて抱いた感想というのは、これから我々日本人一人一人が考えて知恵を絞りながら考えていかなければいけないテーマが網羅されていて、非常にしかも整理整頓された形で示されていて、いろいろな問題について考える入り口を示してくれている、ということです。それが全体的な印象です。
- もう少し自分の専門に照らし合わせながらコメントをさせていただくと、まず一番最初の社説1の「地球貢献国家」の中で、現状の認識として2点ほど挙げられておりまして、1つはアメリカの一極支配が終わって多極化していくということ、それから、もう一点は、世界中の企業の人々がさまざまなつながりを増やして、お互いに影響を及ぼし合っていくという認識であります。こうしたところは共感を覚えるところなんですけれども、問題はどのようにその多様なつながりというものを増やしていけるのか、どのような形でお互いに影響を及ぼし合っていけるのかという戦略なのではないかなという印象を持ちました。
- 具体的に申し上げますと、今、伊勢崎さんのほうからも社説16というのが取り上げらましたが、、私もこの人間の安全保障に着目しました。個人的に私は対人地雷の問題ですとか、クラスターの問題とかというのに関わっているんですが、カナダですとかノルウェーであったりとか、ミドルパワーと言われているような諸国がNGOの国際的なネットワークなどと協力しながら人道主義に基づくような条約づくりを進めてきているということが社説16の中にも書かれています。まさしく先ほどキャロン大使のほうからもご指摘があったとおり、対人地雷の禁止条約であったりとか、それから、国際刑事裁判所というものを設立させる条約というものにミドルパワーとNGOが協力をしてきたという歴史がございます。
- こうした多様なアクターの組み合わせで外交の成果をあげてきた例としては、例えば企業とNGOが協力してエイズの薬剤などを途上国で安く手に入れられるようにする活動ですとか、途上国の債務を帳消しするような活動とか、様々な分野の事例を挙げられるかと思います。
- こういった観点から社説21を見渡してみますと、冒頭の社説1「地球貢献国家」の中で、国際公共財を説明しています。その中で、「資金や人材を出す主要国だけではなく、他の多くの国、人々も利益を受ける国際的制度や条約をさす」ということが書かれています。ここもとても共感できるところでありまして、国際貢献といいますと、とかく、きな臭い部分の議論が目立ちがちではありますが、外交で日本が国際貢献をするという際に、こういった制度や条約に貢献していくというのも非常に大事なことではないかなと私は考えております。
- それは、先ほど申し上げたように、ミドルパワーなどとNGOが手をとりながら、具体的に問題が起きている現場にどのように対応していけばいいのかということを考えることにつながるのではないかなと考えております。
- 先ほど緒方さんのほうから、人間の安全保障論というのは人々を守るという言葉がございました。まさしく本当に人々の命が失われていたり、救われる命が救われていない、見捨てられたままとなるという現場がある中で、ではどうやってこういう命を保護していけるのか、救っていくことができるのかということを、おそらくNGOであったり、もしくは国際機関の現場の人たちというのは日常的に実感しているところだろうと思うんです。けれども、そういった命をいかに救っていけるのかという際に、やはり国際的な制度であったり枠組みであったりということをもっときちんと整えていく必要があるでしょうし、その部分については日本がまさしくもっと貢献していけるのではないかなと日頃から考えているところであります。
- 政府側から見ると、NGOはいろいろボーカルに政府に対して要求を突きつけてくるというところがあるわけです。しかし、よく考えてみると、逆にそういうNGOが持つ国際的なネットワークをうまく活用することによって自国の外交というものを宣伝できる力にもなり得ます。昨今では外交政策などについて自国民に説明するだけでは十分ではなくて、例えば日本であれば日本の外交政策というのは当然隣国である韓国や中国にも説明をしなければいけないし、先ほどお話にありました京都議定書のような一国だけではどうにもできないようなグローバルイシューについては、世界の人々に対して日本の外交方針なり政策というものをきちっと説明する責任が生じているわけです。そうしたグローバルなパブリック・ディプロマシーが重要な時代であるだけに、国際ネットワークを持つNGOなどとうまくリンクすることによって、日本の外交というものを理解してもらい、外交成果を最大化させていくことができるのではないかなと考えています。その際、日本政府がNGOにアカウンタビリティを果たして、日本の政策をよく知ってもらい、利害を共有できる点では力を合わせられる信頼関係をつくってくことが大事でしょう。
- 最後になりますけれども、この世界のNGOのネットワークと、それから、ミドルパワーが協力をしてということを申し上げましたけれども、残念ながら、我が国を振り返りますと、まだまだ日本のNGOのプレゼンスというのは十分ではないと申し上げざるを得ない状況にあると思います。
- これは日本だけではなくて、やはり言語の壁や経験の問題もあると思いますけれども、東アジアのNGOというのはどうしてもまだまだプレゼンスが弱いところがあります。日本の国内の中でのNGOの経済的な基盤などを強化していくことによって、やはり多様な意見がNGOなどからも発せられるような環境というものを今後整えていかなければいけないんだろうと思います。そうすることによって、日本国内の民主主義も、深度が増していくのではないかなと考えております。
- 以上です。(拍手)
- 高成田
- ありがとうございました。
- 今の目加田さんの問題提起を受けてちょっと議論をしていきたいと思うんですけれども、緒方さんが2002年でしたか、おまとめになった人間の安全保障の報告書の中で、人間の安全保障という概念は国家の安全保障を対立するものではなくて補完するものだということがあったと思うんですけれども、実際の現場でいくと、補完ばかりじゃなくて、対立があったり矛盾があったりということだと思うんですね。そういう意味で、人間の安全保障、あるいは、それに関わっていく例えばNGO活動、あるいは、援助活動、こういうものと、より国家の安全保障と絡む国家のあり方というようなことで、NGOの国際的な活動というのを、先進国というのは変な言い方ですけど、カナダは随分進んでいらっしゃるので、キャロンさんからそのNGOと国家の考え方というのを少しお話を伺って、それから、緒方さんから、援助機関に今いらっしゃるわけですから、それと国家の安全保障というようなことで第1部で少し積み残された部分もあると思うので、お話を伺いたいと思います。
- さらに、ジョセフ・ナイさんにはソフトパワーという時に、この人間の安全保障、さらには、国家の安全の保障というのはどんなふうにお考えになっているかということをちょっとまずお三方からお話を伺えればと思います。
- じゃあ、キャロンさんから。
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