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朝日新聞シンポジウム 「討論:日本の新戦略『地球貢献国家』をめざして」
討論2 「地球貢献への進路―国際交易と日本の課題」(9)
崔相龍氏 |
目加田説子氏 |
- それから、経済界の方から、日本は省エネ世界一とよく言われます。確かに、日本の省エネ度は高いのですが、その実態は、日本では家庭と運輸部門での効率がとりわけよく、ヨーロッパ諸国やアメリカと比べてエネルギー消費が少ないためなのです。産業部門につきましては、ヨーロッパやアメリカと変わらないのですが、それらのトータルとして省エネ世界一であることの説明がなされていません。為替レートよりも購買力平価で比較しますと、全体でのEUとの差は縮まります。きょうは時間がありませんので詳しくは申し上げませんが。
- 確かに、近年、家庭や業務で増加していることについての対応は必要ですが、増加の要因には、床面積、世帯数の増加や新たな機器の増加と電力排出係数の悪化の寄与が大きいのです。そこで、省エネ型で保温性の高い、かつ一定の床面積がある家に変えて、ウサギ小屋から脱するとともにエネルギー消費を減らすことや、さらに効率のよい省エネ機器を開発いただき、炭素税などの経済的な仕組みを導入して、高効率機器を手頃な値段で、わかりやすく表示して提供いただき、私たちが選択していけるようにすることなどを求めています。
- また、ぜひとも朝日にも頑張っていただきたいと思いますのが、NGOの財政基盤を高めるための税制措置です。早く実現していただきたいと思います。
- 高成田
- ありがとうございます。
- 時間がないので申し訳ありませんけど、簡潔に、小林さんとナイさんとお願いします。
- 小林
- 五百旗頭先生のおっしゃったことは、よくわかります。私も、逆にそういう立場で寄附をお願いに上がったりなんかしていますので、厳しい状況はよく知っております。
- アメリカの企業財団というお話がありましたが、それは大いに参考にすべきだと思っています。アメリカでは企業ベースの財団が非常に多いんですが、こうした財団はそれ独自のガバナンスをちゃんと持っていて、企業の業績に直接左右されないで持続的に必要なところを支援していくことができるようなシステムになっている。日本でも財団は幾つもありますけど、どうしてもやっぱり企業の業績と直結をして短期的に増えたり、減ったりします。この辺は、寄付税制の問題も含めてきちんとしていかなきゃいけないんじゃないかと思います。
- ナイ
- 五百旗頭先生がおっしゃったとおりだと思います。政府の政策が枠組みをつくることはできます。その中で市民社会はそこでコンタクトを増やしたり減らしたりすることができます。従って、例えばアメリカの学生を見てみますと、70万以上留学生がいるわけですけれども、政府のビザの政策によって学生も来ることができなくなると。例えば9・11の後でビザの政策がひどくなりまして学生数が減っています。ですから、確かに政府の政府策は影響を与えるわけでありまして、それからまた、税制、税制によってインセンティブが増えたり減っているということで、財団も増えたり減ったりということになるわけです。
- ですから、非常に興味深い質問としては次のぜひ朝日でやってもらいたいんですけれども、本当に政府がやるべきことをやっているのか、十分やっているのか、日本の市民社会がソフトパワーを日本のために醸成するためにちゃんとやっているのかということが大事だと思います。
- 高成田
- 十分に答えられないので、幾つか今のやりとりの中で質問に答えている部分があると思います。
- きょうは若い方が何人かいらっしゃっているようで、その中からまさに地球貢献あるいは国際貢献というような時に、どんなふうにやって、何を目指してやったらいいんだろうかというような質問があるので、その若い人たちへのメッセージということで崔先生と、それから、緒方さんにこれまた簡潔に若い人への、日本の若い人へのメッセージをちょっと言っていただきたいと思います。
- 崔
- 環境問題について一言申したいと思います。今、中国から飛んでくる黄砂の問題が非常に深刻です。これは決して中国への批判ではありません。何よりも中国人民が一番の被害者であります。ですから、黄砂の問題に関して日中韓の3カ国は協力し合って解決策を見出さなければならないということが1つであります。
- 日本の若者へのメッセージということですが、今日のテーマは日本のソフトパワーですね。日本のソフトパワーはかなりの潜在力をもっています。これをどう高めていくかという方法論に関して言えば、日本がアジア、特にアジア太平洋地域で自国のソフトパワーを高めるためには、やはり歴史問題のとらえ直しが必要だと思います。実をいいますと、今日は歴史問題に関しては、沈黙を守ろうと思いましたが、むしろナイ先生の方からそういう問題提起がありました。確かにそうだと思います。歴史問題もソフトパワーの中で論ずる、そういう寛容さを見せてほしいんです。
- 高成田
- ちょっと緒方さんの前に、もう最後ですので、目加田さんと伊勢崎さんに、若い人へのメッセージというコンテクストの中で、最後にちょっと言い残したことを言っていただければと思います。目加田さん。
- 目加田
- そうですね、若い方へのメッセージ。よく歴史が政治問題になりますが、ドイツのヴァイツゼッカー大統領がかつて、過去に目をつぶれば現在に対しても盲目になるとおっしゃったことがあります。やはり過去を知るということ、それは自国のみならず、世界で今まで何が起きてきたのかということを知ることによって、今の時代を広い視野で理解し、今をどう生きるかを考えることができるようになるのだと思います。決してそんなに難しいことではなくて、ちょっと日頃注意して新聞を読むとか、話題になっている映画を観るとか、そうしたことから若い人はヒントを得ればいいと思います。私は個人的に映画が好きなものですから申し上げるのですが、例えば最近であればハリウッドの映画でも「ブラッド・ダイヤモンド」というような映画があります。例えばそういう映画を見ることによってシエラレオネの資源をめぐる争いに感心を持つきっかけになると思います。旅行をする時に、観光名所だけではなくて、その土地の戦争や平和に関する博物館、資料館に寄ってみるとか、ちょっとしたきっかけ、心がけから多分いろんなチャンスが生まれてくると思うので、そういうことをぜひ心がけていただきたいなと思います。
- 高成田
- ありがとうございます。
- 伊勢崎
- どうもその質問は一番苦手な質問で、なぜかというと、僕自身が若い時ってめちゃくちゃな青春時代を送ったので。今の若い人というのは、とにかく僕が若い時よりも問題意識が非常に高くて脱帽するばかりなんですね。
- だから、その質問は避けさせていただき、最後に少しだけ、この社説21に、一つ大変重要な点が欠落していること指摘したいと思います。それは、メディアの責任です。それが全く載ってないんですね、これ。(拍手)
- 特にこの自衛隊に関して、社説19に文民統制ってあるじゃないですか。文民統制は、僕は政府だけの問題じゃないと思うんですよ。民間、特にメディアの果たす役割というのは、政府がやる文民統制よりも重大だと思うんですね。
- アメリカのすごいところは、米兵がイラクで人権侵害すればそれをすっぱ抜くのはアメリカのメディアなわけですよ。自衛隊が、もし同じように海外で軍事行動を行ったとして、日本のメディアがそれに対応するかというと、ご存じのように、日本のメディアによるイラク報道というのはすべて護送船団方式をとって、大変に情けない、朝日新聞も含めて、本当に情けない戦争報道をしていただいたわけです。自衛隊の問題を考える時、文民統制というのはメディア抜きで考えるべきではないと僕は思います。(拍手)。
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