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シンポジウム
「歴史和解のために」
2008年4月19日(土)東京国際フォーラム

パネリスト一覧

山室信一 (やまむろ・しんいち)
 京大人文科学研究所教授。1951年生まれ。専門は法政思想連鎖史。衆院法制局参事、東大社会科学研究所助手、東北大助教授などを歴任。『思想課題としてのアジア――基軸・連鎖・投企』(岩波書店)でアジア・太平洋賞特別賞)、『法制官僚の時代――国家の設計と知の歴程』(木鐸社)で毎日出版文化賞、『増補版 キメラ――満州国の肖像』(中公新書)で吉野作造賞、『憲法9条の思想水脈』(朝日選書)で司馬遼太郎賞。
 「第1次大戦終結で国際連盟ができ、日本は常任理事国で、国連規約で武力解決はしないとしているのに破って満州事変、連盟脱退につながる。いろんな事件の起点がここにある。東アジアの状況ががらりと変わる。そのことが当時も現在も認識されていない」
三谷博 (みたに・ひろし)
 東大教授。1950年生まれ。専門は日本近代史だが教科書問題にも詳しい。劉傑・早大教授らとともに『国境を越える歴史認識 日中対話の試み』を日中で同時出版。『明治維新とナショナリズム――幕末の外交と政治変動』(山川出版社)でサントリー学芸賞。ほか『東アジアの公論形成』(東大出版会)、『明治維新を考える』(有志舎)など。『論座』2007年9月号に「『記憶』の穴を埋める 東アジアの対話に見合う近現代史の補習を」寄稿。
 「東アジアは近代化を強制されたという特徴がある。各国の近代化が始まった時期のずれが大きな問題を引き起こした。日本による近隣侵略は、近代化のタイミングのずれを同時に見ないと理解できないのではないか」
北岡伸一 (きたおか・しんいち)
 東大大学院教授。1948年生まれ。日本政治外交史が専門。2004年4月から2006年9月まで国連次席大使を務めた。日中両政府の合意で06年12月に始まった日中歴史共同研究の日本側座長。『清沢洌』(中央公論社)でサントリー学芸賞。『自民党 政権党の38年』(読売新聞社)、『日本の自立―対米協調とアジア主義』、『国連の政治力学―日本はどこにいるのか』(以上、中央公論新社)など著書多数。
 「(私が選んだ東アジア近現代史で重要な出来事を)貫くテーマはナショナリズム、社会主義、経済発展の三つだ。西洋との出会いの中からアジアのナショナリズムが触発され、社会主義の影響を受けつつ、そこから脱して、経済発展を遂げていった。次はナショナリズムの克服が課題となるだろう」
君島和彦 (きみじま・かずひこ)
 東京学芸大教授。1945年生まれ。教科書問題に詳しく、日韓のシンポジウム開催など歴史認識の違いの克服に向けて活動してきた。昨年は韓国の研究者とともに共通教材『日韓交流の歴史―先史から現代まで』(明石書店)を出版。ほかの著書に『教科書の思想 日本と韓国の近現代史』(すずさわ書店)、編著に『朝鮮・韓国は日本の教科書にどう書かれているか』(梨の木舎)などがある。
 「A級戦犯容疑者だった岸信介氏は、釈放され、後に首相として政治の中心に立った。戦争責任追及の不徹底さは、今日の日本政府や政治家が過去の侵略を認めたがらない歴史認識につながり、アジア諸国との葛藤(かっとう)を深めている」
歩平 (ブー・ピン)
 中国社会科学院近代史研究所長。1948年生まれ。黒竜江省社会科学院副院長などを経て現職。穏やかな語り口で、日中歴史共同研究では北岡氏のカウンターパートとなる中国側座長を務める。日本の遺棄化学兵器の問題に詳しく、現地調査に取り組むとともに、日中の学者によるシンポジウムも開いて緊急性を訴えてきた。著書に『日本の中国侵略と毒ガス兵器』(明石書店)がある。民間の歴史共通副教材作りにも参加してきた。
 「中国経済がテークオフする一方、日本経済は低迷期に入った。1990年代以降、中国が強くなって日本と対等になっている傾向は注目される。両国の国民は、その目に映る相手の姿にまだ慣れていない。この構造変化に適応する時期が、現在始まったと言える」
鄭在貞 (チョン・ジェジョン)
 ソウル市立大教授。1951年生まれ。専門は近代韓日関係史。日韓の歴史共同研究や民間交流の中心的存在で、君島氏らと連携・協力してきた。韓国の鉄道史研究の第一人者で、著書に『日帝侵略と韓国鉄道』(韓国のみ)、『韓国と日本―歴史教育の思想』(すずさわ書店)、『若者に伝えたい韓国の歴史―共同の歴史認識に向けて』(明石書店)など。79年から82年まで東大に留学し、流暢な日本語で講演もこなす。
 「東アジアの近代化を考える時、明治維新は極めて重要だ。日本と対照的に韓国と中国は自力での近代化に失敗した。明治維新と天皇制近代国家の成立は東アジアに刺激を与えたが、日本の侵略に対して近隣諸国が抵抗するという基本的な関係もこの時に出来た」
朴裕河 (パク・ユハ)
 世宗大副教授。1957年生まれ。慶応大、早大大学院で日本近代文学を学ぶ。日韓相互に自制と寛容を訴えた『和解のために 教科書・慰安婦・靖国・独島』(平凡社)で大佛次郎論壇賞を受賞。「ナショナリズムの対決にふりまわされた20世紀に代わって、トランスナショナリズムが21世紀に発展する可能性を示すもの」(入江昭氏)と評された。ほかに『ナショナル・アイデンティティとジェンダー――漱石・文学・近代』(クレイン)など。
 「信頼とは相手の出方を見て示すものではなく、先に示すべきものだと思うからです。信頼するに足るから信頼するのではなく、危険な部分を見ながら、なお信頼することが、あらゆる葛藤と暴力から人を救うと思っております」(*大佛次郎論壇賞の受賞挨拶から)
周婉窈 (チョウ・ワンヤオ)
 台湾大教授。1956年生まれ。専門は日本植民地統治期の台湾史。台湾大歴史学科で修士号、米エール大で博士号。カナダのブリティッシュ・コロンビア大歴史学科で教鞭を執ったあと94年に台湾に戻り、中央研究院台湾史研究所副研究員などを経て06年から現職。著書に『図説 台湾の歴史』(平凡社)があり、ほかに『日拠時代的台湾議会設置請願運動』など。
 「人間や民族を等級で分けて差別するのは東アジアに共通の現象と言えるかもしれませんね。台湾内部でも大いに反省が必要です。台湾は外国人労働者をたくさん受け入れましたが、非常に見下している。これも同じ抑圧の委譲という問題で、東アジアの人的交流の中で考えるべきことです」(*『論座』2007年9月号の山室信一氏との対談から)
ジモーネ・レシッヒ (Simone LÄSSIG)
 ゲオルク・エッカート国際教科書研究所長。1964年アルテンブルク生まれ。ドレスデン教育大学で学び、2006年より現職。ブラウンシュヴァイク工科大学の近現代史教授も務めている。著書に『Judische Wege ins Burgertum. Kulturelles Kapital und sozialer Aufstieg im 19. Jahrhundert』(Gottingen 2004)、『Wahlrechtskampf und Wahlrechtsreformen in Sachsen (1895-1909)』(Weimar/Koln/Wien 1996)など。(*ドイツ文化センターのウエブサイトを参照。)
 「(独仏共通教科書は)子ども達をナショナリズムの毒に触れされるために教科書や歴史があるのではないということを示した。その意味で、いろいろ批判はあっても温かい目で見ていただければと思う」(*2007年10月のシンポジウムでの発言から)

司会

外岡秀俊 (そとおか・ひでとし)
 1953年生まれ。朝日新聞編集委員(香港駐在)。77年朝日新聞社に入り、社会部員、ニューヨーク支局員、ヨーロッパ総局長、編集局長(ゼネラル・エディター)などを歴任。著書に『国連新時代』(ちくま新書)、『アメリカの肖像』『情報のさばき方』(以上、朝日新聞社)、『地震と社会(上・下)』『傍観者からの手紙』(以上、みすず書房)など。

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