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国際シンポジウム「アジアにおける経済統合とインド」
主催者あいさつ

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 司会 ただ今より国際シンポジウム「アジアにおける経済統合とインド」を開催いたします。それでは開催に先立ちまして、主催者よりご挨拶を申し上げます。まず初めに日本貿易振興機構理事長、渡辺修よりご挨拶を申し上げます。

 渡辺修(日本貿易振興機構理事長) 皆様、おはようございます。今ご紹介いただきましたジェトロの理事長の渡辺です。本日は「アジア経済統合とインド」というタイトルの下にシンポジウムをご案内させていただきましたところ、かくもたくさんの皆様方にご参加いただきました。心より御礼を申し上げる次第です。本日はもう既に皆さんご案内のとおりと思いますが、自由貿易論者として大変有名な、そしてまたWTO創設にもご尽力いただきましたバグワティ先生、さらには中国社会科学院から張先生、タイ財務省のチュララート副局長、インドのチャンド教授、そして世界銀行からはホミ・カラス先生、これらの著名な先生方にスピーカーとしてご参加いただいております。また朝日新聞社ならびに世界銀行にもご協力いただきまして、このようなシンポジウム開催となった次第です。関係者の皆様に心より御礼を申し上げたいと思います。

 実はこの大型アジア経済研究所のシンポジウムが去年からスタートしまして、昨年はポール・クルーグマン先生、ベナブルズ先生、さらにアジア経済研究所の藤田先生という空間経済学という新しい学問を創設されました3人の先生方を中心にしまして、「空間経済学の視点から見た東アジア経済統合」というセミナーを開催したわけです。大変成功裡に終わりました。特に関係者の間では高く評価されたものです。この間、東アジア経済統合は着実に進捗しておりまして、現在、東アジアの域内貿易比率は53パーセントに達しており、先発しましたNAFTAを超えまして、EUの域内貿易比率に迫っている状況です。また最近では、ご承知のように、東アジア経済統合の中にインドが大きな存在感を占めることになってまいりました。EUやNAFTAが政治的な意図の下にインスティチューショナルに経済統合が進んだのに対しまして、正にこの東アジアの経済統合は市場メカニズムを通じて個々の企業の力で、デファクト・ベースで統合が進んでいるのが大きな特色だと思います。そうした中で今年はインドと東アジアという大きなテーマを掲げまして、インドが存在感を示すことによって東アジアの中国、日本あるいはASEAN、そういったところにどういう影響を及ぼし、この統合が進んでいくのかと、これを先ほど申し上げた先生方の話で、しっかりと議論していただこうという企画です。

 インドはこの10年間、着実に経済成長しておりますが、一部の専門家を除きまして、日本ではまだポピュラリティがないような気がします。そういう意味ではまたとない機会ではないかと思います。われわれジェトロとしましても、来年の2月に中小企業、中堅企業を中心にして関係者、企業を募りまして、インドへ投資およびビジネス・アライアンス・ミッションを派遣することにしております。そんなことで、これからインド、さらには中国、それと日本と、こういう大きな経済主体を中心にしまして、さらに周辺国を入れまして東アジアが新しい展開を迎えるということであろうと思います。また高齢化社会を迎え、人口が減っていく日本にとりましては、東アジアの若い人たちとどんどん一緒に働きながら共に成長していくことがわれわれの道であろうかと思います。そんなことで、東アジア・サミットがちょうど14日に開催されます。これにはインドも重要なメンバーとなりました。そんなことで、本日1日、皆様方、インドと東アジアということで、これからの東アジアの将来について思いをいたす、そして十分な実りある議論を期待して成功を祈りたいと思います。主催者としてのご挨拶とさせていただきます。どうもありがとうございました。

 司会 続きまして、朝日新聞東京本社編集局長、武内健二よりご挨拶を申し上げます。

 武内健二(朝日新聞東京本社編集局長) 朝日新聞の武内です。先ほど渡辺理事長からご紹介がありましたように、ジェトロさんと組んでこうしたシンポジウムを開くのは2回目です。今回は世界銀行さんにも加わっていただきました。ジェトロ、世界銀行という2つのしっかりした組織体と、こうした中身の濃いシンポジウムを共催できますのは、私どもの新聞にとって大変名誉なことだと考えています。このシンポジウムを新聞紙上で紹介していくのが私どもの役回りです。シンポジウムのこの設定につきましては、2つの団体にほとんどやっていただきました。改めて御礼申し上げたいと思います。

 さて、インドです。インドが経済パワーとして台頭し、世界経済の地図を塗り替えていくというのは、もはや単なる観測や一部の観測ではなくて必然だろうと受け止められていると思っています。ただ、これは大変残念なことなのですが、日本にとりましてのインドは、まだやや遠い存在であるというところがあろうかと思います。ここにつきましてはメディアにもかなり責任があるのではないかと思っております。私、たまたま90年代の初めにワシントンに駐在しておりました。その当時、インドが通貨危機をきっかけにIMFとの交渉を経て経済政策を転換して、いわゆる開放経済体制へ進んでいく、そちらへ歩み出したというニュースがありました。私は、これは大変大きなニュースだと思いまして、やや興奮しまして相当長行の記事を東京に送りました。しかし残念なことに東京の反応は極めて冷たく、彼らが言うには、日本の読者にとってのインドはあまり関心のある存在ではないのだ、というようなことを申しまして、結局のところ、極めて目立たない扱いの記事になってしまいました。私が先見力のある記者であり、かつ原稿がうまい記者でありましたら、当時頑張って大きな記事に仕立てて、今頃は「ほれ、見たことか」と申しますか、「私が言っていたとおりだろう」と胸を張れたところなのですが、残念ながら力量不足でそういったこともできませんでした。

 ただ、こうした状況も今変わりつつあります。私どもの新聞でも、遅ればせながらと申しますか、先月「走り出す巨象」というタイトルでかなり大振りの、インド経済の現状を報告する連載レポートを掲載しました。これからもインド経済のウォッチは欠かせないと思っています。現状だけではなくて、これが東アジアあるいは世界経済に持つ意味、日本にとっての意味を継続的にウォッチし、リポートしていきたいと考えております。尚、本日のシンポジウムにつきましては今月21日の朝日新聞の紙面で内容を紹介することを予定しております。今いろいろな事件が多発しておりますので、ひょっとしたら数日ずれることもあろうかと思いますが、まず間違いなくその日取り辺りで報告いたします。こちらもぜひご覧いただきたいと思います。では、今日はよろしくお願いいたします。

 司会 続きまして世界銀行副総裁、駐日特別代表、吉村幸雄よりご挨拶を申し上げます。

 吉村幸雄(世界銀行副総裁・駐日特別代表) 今ご紹介いただきました世界銀行の吉村です。今日は各界からこのように多数の皆さんにご参加をいただきましたことを、まず御礼を申し上げます。

 世界銀行は、ご承知の方は多いと思いますが、途上国の貧困削減をミッションとしまして、地球規模で開発融資、技術支援、政策アドバイスなどを行っております。特にアジア地域のダイナミックな経済発展については、ずっと前から私ども注目をしておりまして、様々な形での研究を進めております。有名なものとしては東アジアの発展の成功例を政府の役割などを中心に分析した1993年の「東アジアの奇跡」がありまして、これはご承知の方も多いかと思いますが、私どもの研究の一端でして、今に至るまでアジアにおける経済の発展、社会の発展についての研究調査を進めてきているところです。本日は国際貿易、投資の振興、そして途上国の研究につきましては日本でリーダーの役割を果たしておられるジェトロさん、それから国際的な報道および国際的視野に立った論評をやっておられる朝日新聞、それに今回、世界銀行が加えていただきまして、私どもとしては初めてこのような形のシンポジウムを「アジアにおける経済統合とインド」というテーマでやらせていただくと。大変、世界銀行として光栄なことだと思っております。またいろいろな形でご尽力をいただいています、これら2機関にこの機会に厚く御礼を申し上げたいと思います。

 このシンポジウムでは世界銀行からは、東アジア地域を担当しているチーフエコノミストでありますホミ・カラスが、東アジア地域でどのように経済統合が進んでいるか、それからインドの発展が私どもにどのようなオポチュニティを与えるのであろうかということにつきまして、最近の世界銀行の研究成果を基にお話をさせていただくことになると思います。

 私ども世界銀行は、もちろん銀行ですからお金を融資するのが1つの大きな仕事ですが、私どもの最近の考え方では、単にお金、資金を提供するだけではなくて、いわば知識の銀行、英語でナレッジ・バンクと言っておりますが、お金だけではなくて技術、知識についても途上国に提供することを目指しております。そのような意味で皆様方との知的な意見交換、私どもの研究成果を皆さんにお伝えし、皆さんからのご批判をいただく機会は極めて貴重です。今後ともこういう機会を続けていきたいと思っております。具体的には来年の5月の終わりには世界銀行の開発経済に関する年次会合、これを英語で略しましてABCDE会合とわれわれは称しておりますが、それをアジア地域では初めて、来年の5月の末に東京で開催する予定です。この会合につきましては日本政府のご支援もいただきまして、インフラストラクチャーと経済的な発展の関係につきまして、様々な角度からの議論を世界各国の主要なる、単に学者だけではなくて政策担当者を含めた方々に参加していただいて開催することを予定しております。

 それから来年の秋、9月には世界銀行の年次総会、これは毎年1回、IMFと共にアニュアル・ミーティング、年次総会を開催しておりますが、来年の9月の年次総会はシンガポールで開催の予定になっています。考えてみますと来年は2006年ですから、97年にかつて香港で年次総会を行いましたが、9年ぶりにまたアジアで総会が開催されることになります。従いまして、その機会には今日、今回のテーマでありますアジアの発展、インド、中国の台頭などがまたその場でいろいろな議論を呼び、そして年次総会にあわせて開催されるセミナーなどで一般の方々からのご意見も伺う機会があろうかと思います。

 そういう意味では今回のシンポジウムは私どもが来年企画しております、今述べましたような会合への、いわばインプットにもなる重要なシンポジウムになろうかと思います。私どもとしまして、活発な議論を期待しておりますし、また広く朝日新聞さんに報道していただいて、皆さんの関心を呼んでいただければと強く期待をしているところです。どうか活発な議論で、このシンポジウムが成功しますようお祈りいたしまして、私の挨拶といたします。どうもありがとうございました。


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