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ブロードバンドシンポジウム2003



パネリスト
廣瀬通孝さん(東大先端科学技術研究センタ教授) 小川善美さん(インデックス社長) 安延申さん(スタンフォード日本センター理事、ウッドランド取締役) コーディネーター:原淳二郎 (朝日新聞編集委員)


どこまで進んだネット環境

現時点で、ネット環境はどこまで進んだでしょうか。

廣瀬
金星の表面風景 (NASA JPL)
VRで再現された現在のコパン遺跡[26号神殿]
[16号神殿]の復元
― バーチャルが身近に

 去年のワールドカップサッカーで、バーチャルスタジアムと言われる実験にかかわった。ハイビジョンカメラ3台で試合を映し、光ファイバーや衛星回線3本を使って伝送、スタジアムの大型スクリーンに映し出したら、お茶の間で見るのとは比較にならない臨場感でスポーツを楽しむことができた。ブロードバンド時代は今までとは違った映像の仕掛けがどんどん出てくるのではないか。

 ブロードバンドネット上に展開される大量のコンピューターを束ねて、ものすごい量の計算をさせるグリッドコンピューティングという研究が進んでいる。それは新しい科学の方法論であり、われわれの知りうる世界を広げてくれる。それを利用すると実際は見えない映像、例えば金星の表面の映像さえ見えるようになる。

 朝日新聞主催で開催中のマヤ文明展では、バーチャルリアリティーを使って遺跡の中に自分の身を置いて体験ができるようになっている。

― 一方、プライバシー丸裸の危険も

 一方、身にまとえるコンピューターや、ネットにつながったカメラ、地面に埋め込まれた電波タグなどを一緒に使えば、だれがどこにいるか、たちどころに分かってしまう。こんな空間は嫌だと思われるかもしれないが、技術はもうここまで来ている。

小川
※クリックすると拡大します
 95年設立の当社にはフジテレビとテレビ朝日が株主になっている。年末から始まる地上波デジタルテレビ放送では、携帯電話に直接テレビが受信できるようにする開発が進んでいる。近い将来、携帯でテレビを見ながら、すぐアンケートにこたえたり、買い物などの行動を起こすようになるかもしれない。

 携帯の有料コンテンツは携帯会社が通話料金と一緒に料金の回収をしてくれる。9%の手数料は払うが、これがわれわれのビジネスの基本構造となっていて、わが社はそこからいろいろなサービスを生み出してきた。大手ビデオレンタル店と提携し、携帯をレジに差し出せば、会員の認証が済むサービスを始めた。カラオケ店とは、携帯にリモコンセットをしておくと、お店のリモコンを奪い合うことなく、簡単にピッと予約ができるシステムを開発した。留守中の家の安全を確かめるため、カメラとセンサーを組み合わせて、異常があると自分の携帯に知らせてくれるサービスも開始した。いまはやりのバウリンガル。犬の言葉を翻訳するおもちゃだが、将来、ほんとに犬の言葉を翻訳して、携帯に表示される日がくるかもしれない。

安延
― ブロードバンド化とユビキタス化の二極分化進む

 ネット社会トレンドは二極化している。一つは高速化、大容量化つまりブロードバンド化、もう一つはいつでもどこでも情報機器が使えるユビキタス化。

 日本はインターネット接続で遅れているといわれるが、携帯からインターネット接続可能な端末はインターネット加入者数より多い。ブロードバンド加入者も今年は世界でトップの加入者数を誇る国になるのは確実。

― もうかる仕組み不可欠

 インターネットの普及率はどんどん上がっている。eコマースも年率5%くらいで伸びている。それなのにもうかっているIT企業はiモード関連以外ではごく少ない。インターネットビジネスの大きな課題は、どう料金を回収するか。iモードが成功したのは、少額課金をドコモが電話代と一緒に回収する環境を提供したことが大きかった。

 ブロードバンド時代、動画など大量の情報が流れるようになるが、このままでは個人が楽しんで終わり、ビジネスは発展しない可能性がある。次世代ネットの上でもうかる仕組みを考えないと、絵に描いた餅になる恐れがある。
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