asahi.com  
天気  辞書  地図  サイト案内  アクセスTop30 
サイト内検索:
シンポジウム 社 会 スポーツ 経 済 政 治 国 際 サイエンス 文化・芸能 ENGLISH 
 
 
住まい仕事・資格BOOKマネー健康愛車教育ネットオフタイム囲碁将棋beコラム  
  home >シンポジウム    

シンポジウム「安全保障の今日的課題」

【質疑応答】(1)



 百瀬 時間が大分迫ってしまいましたので、まだ話したいことはたくさんあるのですが、最後に、会場の皆様から質問をお受けするお約束になっていますので、それに移りたいと思います。

 1問1答にしますと時間がかかると思いますので、できましたら、3〜4人続けて質問されて、パネリストからお答えいただくということでお願いしたいと思います。

 マイクを持ったものが2人おりますので、手を挙げてお願いします。

 時間が限られておりますので、恐縮なんですけども、簡潔に質問をお願いしたいと思います。

 ――前に新聞に出ておりましたが、イラクの自爆テロの元締めの人が、もし自衛隊を派遣したら、東京をテロるというんですか、戦争を仕掛けるみたいなことを言いましたが、それはどうなっているんでしょうか。そんなのはうそで、おどかしだけなんでしょうか。それがちょっと心配です。

 百瀬 ありがとうございます。

 じゃ、お次、手を挙げておられる方、どうぞ。

 ――武蔵野市の清水と申します。山影教授にお尋ねします。ご専門でないかもしれませんけれども、イラクのCPAが2004年6月に暫定政権に移譲するというプランについて、宗教指導者筋から直接選挙にせよというふうな異議が出たりしておりますが、やはり同じ先週の「ワシントンポスト」で、一つのイラクというのは難しいから、北と真ん中と南で、クルドとシーア派とスンニ派の三つの地域に分けるのが現実的だという提案が出ていたんですが、それについても先生のご意見をお伺いしたいと思います。

 百瀬 次の方、どうぞ。

 ――きょうはほんとうにありがとうございました。私は今大学3年生で、東南アジアに興味があって勉強しているんですけど、きょうのシンポジウムに関しての質問というより、今学生として世界でいろいろ苦しんでいる人がいる中で、何ができるのかというのを、世界で今活躍されている方々からアドバイスをいただけたらなと思います。

 百瀬 もう一つ、ではお願いいたします。前の方、どうぞ。

 ――武見先生にお聞きしたいのですけれども、例えば難民が発生したりする状況のときには、国内で不満分子の人々が現れて、それが国家に対する反対勢力となり、人民虐殺というような事態に発展していくことがあると思うんですけれども、NGOの方々たちは多分教育などを使って、そういった不満分子の方々を減らすことにも取り組んでいらっしゃると思うんですが、そういった反対勢力の人を減らすために、国家に一体何ができるのかということをお聞きしたいなと思っております。

 百瀬 ありがとうございました。

 まず、難民についての最後の質問から始めます。武見先生にということなので、どうぞお願いします。

 武見 基本的には、民主主義的な政治体制が確立されて、そこで多くの意見の相違が交渉を通じて解決できる仕組みをつくることだと思います。言うなれば、マイノリティーである不満分子の意見もその政治体制の中に吸収されていく、そういう基本構造だと私は思うんです。

 しかし同時に、そういう、例えばマイノリティーの不満分子がいるとすれば、その原因は多分に貧困であるとか、あるいは、政治的な迫害であるとか、社会的な格差や差別といったようなものが多くの場合ひそんでいると思うんです。

 したがって、そういう問題を解決できる自助能力を政治体制が持つように、どのような働きかけをするか。また同時にその働きかけをしながら、そういう立場の人々に対して政治的にはニュートラルな立場で、コミュニティーを通じて、多角的なアプローチを行う。先ほどからもありましたけれども、私はそれがバリューエイデッドアプローチ(付加価値アプローチ)だと思うんです。伊藤さんのお話みたいに、基礎的な教育をしようにも、家庭が貧困であるためにそれが受けられない子どもたちがいる。

 したがって、この場合、教育の問題と貧困の問題というのはものすごく密接に絡まってくるわけですから、そういう社会的に迫害を受けているような人たちに対して、そういう貧困と教育の悪の連鎖というものを断ち切るための介入を私たちがどうやって外からできるかという考え方を持たなければいけないんだろうと思っています。

 百瀬 ありがとうございました。

 難民といえば、緒方さんなので、緒方さん、さらに何かございますか。

 緒方 今武見先生のおっしゃったように、ほとんどは貧困だけではないのです、社会的な格差、差別、そういうものの不満の重なり合いが多くの国内紛争の原因になっていると思います。

 百瀬 それから、緒方先生に、学生の方から、アドバイスという……。

 緒方 一つしかないんですよ、私のは。

 勉強をたくさんすることです。(笑)

 百瀬 それでは、CPAについて、山影先生にということで、山影先生、ご専門かどうかわかりませんけど、どうぞお願いいたします。
山影進氏

 山影 いや、全然イラクの専門じゃないんですが、イラクの壊れちゃったサダム・フセイン政権というのは、今おっしゃったような、ばらばらになりがちなイラクという国を強圧的にまとめてきたという、そういう意味があったわけです。

 一般的に言って、社会がどういう国家を上に持つことで安定するのかというのは、非常に難しい問題で、人々がどう考えるのか、それから、政府がどういう政策をとるのかということに多く依存しているところがあるわけです。

 例えば、南部フィリピンなんかは最初はフィリピンとして統合しようという運動をしていたんだけど、ある段階で、いやもう分離独立しか生きる道はないんだというふうに行ってしまう。

 そういう状態になったら、内戦が起こるかもしれないんですが、例えば東チモールのように、インドネシアが併合を宣言してからずうっと対立して厳しい状態が続き、独立が認められると――必ずしも現在インドネシアと東チモールの国境が完全に平和だとは言えませんが――それで少なくとも平和共存ができて、両方の人々にとってよい状態ができるかもしれない。

 これは非常に難しい問題で、イラクに住んでいる人たちにとって、何が一番いいのかというのは、時間がないのでこれ以上答えられませんけれども、簡単に言えば、これで中東が安定するといった単純な問題ではないということだけ申し上げておきます。

 百瀬 ありがとうございました。

 最初にお尋ねのあった、日本に対するテロリストグループの脅迫の話なんですけれども、私がジャーナリストとして知る限りでは、これはほんものなのか、単なるいたずらなのか、そのあたりのことははっきり言えないと思います。

 このことについて、イラクあるいはアフガニスタンなどにも詳しい、熊岡さんはどんなふうにごらんになっていますか、ああいう脅迫というものについて。

 熊岡 そう言っているグループの人の真意がわからないので何とも言えません。ただ、全く無視もできないだろうなという気はします。

 それから、アメリカはサダム・フセイン体制を倒すことによって、アメリカの言う「テロの構造」をかなり壊すことができると言って、5月1日に勝利宣言というか戦闘終了宣言をしたんですけれども、むしろそういう意味で言えば――私は「テロ」という言葉を使わないようにしていますけれど――政治的な破壊を目指すグループとか、国際的犯罪シンジケートも含めて、むしろイラクも世界も悪くなってしまったと思うんです。

 これは英国の国際問題研究所の調査ですが、今度脅迫をしたグループの人数は、ある時期400〜500人ぐらいまで減ったんだけれども、イラク戦争のせいでリクルートが容易になり、グループに加わる人が増えて、1万4000〜1万5000人ぐらいになっているというような話もあります。





| 社会 | スポーツ | 経済 | 政治 | 国際 | サイエンス | 文化・芸能 | ENGLISH |
GoToHome ニュースの詳細は朝日新聞へどうぞ。購読の申し込みはインターネットでもできます。 GoUpToThisPage
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。