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朝日新聞シンポジウム「世界が見るアジア――著名コラムニスト鼎談」
後半:質疑応答―1

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船橋 休憩時間に場内から質問をいろいろ書いていただきました。少しご紹介しながら進めていきたいと思います。

 最初のご質問なんですけれども、日中、日韓の間で経済交流が盛んになる中で、ナショナリズムが高まる現状をどう見たらよいか、どう見ますか。それと、一方で、東アジア共同体構想が可能になるための要素というものはどういうものだろうかというようなご質問が寄せられています。

 東アジア共同体、東アジアの地域主義について、アメリカが現在の東アジアの地域主義の流れの中で、特に東アジア共同体から除外されていると。これについて、アメリカは一体どういう対応なんだろうかというようなご質問。まず、その辺に少し光を当てたいと思います。フリードマンさん、どうでしょうか。

フリードマン 2つのことを話そううと思います。いま言われたようにアジアで台頭しているのは中国ただ一国ではない、ということです。いま台頭しているのは4ヶ国、インド、韓国、中国、それに日本です。同じような状況が歴史上あったかどうか私は知りません。しかし、この問題を扱うのはある面ではやりがいのあることです。

 しかし、別の面になると、頭をかいて一体何を争っているのか聞かなければなりません。中国は日本を占領しようとしているのか、日本が中国を占領しようとしているのか、韓国が日本を占領しようとしているのか、中国を占領しようとしているのか。その地政学的要因は理解できますが、実際に何を争おうとしているのでしょうか。1番になろうと? 

 これらの国々は歴史的な憎悪を持っていないということではない、そのことはよく解っています。ただ、現在は妥協点が見えないということだけです。さて、これらの国々が争っている一つのこと、深刻な対立になりそうに見えるのはエネルギー問題です。世界がフラット(平坦)になって起こった一つのこと、30億の人々がいっぺんに同じ競技場にやってきて、私が「アメリカンドリーム」と呼ぶものと同じ自分たちの夢を実現しようとしています。

 みんなが家、乗用車、トースター、電子レンジを欲しがる。そして、30億人が突然現れて、それぞれ家と乗用車とトースターと電子レンジを欲しがると、エネルギーの需要は天井を突き抜けてしまいます。私たちはすでに、中国と日本が海を挟んで繰り広げている競争を見ているわけです。

 ですから、私が心配なのは実にエネルギーの競合なのです。これは争いのタネになります。これで国家の戦争になるとは思いませんが、小競り合いか、それ以上悪くならないとしても、少なくとも外交的対立ぐらいは生じる可能性があると思います。もう一つ言いたいのは、この辺りで起きている、米国に関することです。東アジアで会議を開いて、米国を招かないのは愉快で楽しいでしょうね。でも、それをする権利があるかどうかは神のみぞ知る、ですよ。あなた方の隣人なのですからね。

 しかし、アジアにおける経済的発展と繁栄の根底にある重要な要因であるアメリカの軍事プレゼンスが過去50年間、地政学的安定の重要な要因ではなかったという思い違いをしている人がいるとすれば、実にばかげたことです。

 日本が大きな関心を持ったと同じく、アメリカの軍事プレゼンスは、地域全体、地域内のすべての国に、日本がアジアを経済的に植民地化しても決して軍事的支配者にはならないことを保証するものだと思います。今日では中国について10倍もこれが当てはまると思います。

 中国は、その経済的優位が、政治的あるいは軍事的優位に転じることがないことを各国に保証するため、この地域でのアメリカの軍事プレゼンスを必要としていると思います。ですから、米国が東アジアの会議に招かれよう、招かれまいと、私やその他ヘラルドトリビューンや朝日のコラムニストには役に立つかも知れませんが、その他はたいした違いはないと私は思います。大事なのはアメリカの軍事プレゼンスで、このことに変化はないと思います。

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ウィリアム・ファフ氏

ファフ エネルギー問題について少しコメントを加えます。ひとつの問題、というか誤解があって、中東についての多くの見方にとても不幸な影響を与えているのです。事実は、われわれが基本的に資本主義経済の中にいるということです。

 われわれは石油を手に入れるのに、油田を押さえる必要はありません。油田の所有者は油を売らなければならないからです。それに、石油確保のために一国を征服するのは、市場で買うよりはるかに高くつくんです。

船橋 ありがとうございます。フリードマンさんのアメリカの東アジアにおける軍事プレゼンス、同盟も含めて、これが平和の安定力であると。これまでもそうだったし、これからも変わらない。それは、単に日本だけでなくて、中国にも、ほかのアジアにも使い勝手がある、こういうようなお話だったですね。

 そのアメリカが、東アジア共同体の経済のほうから除外されたとした場合に、アメリカは引き続き、しかし、その軍事プレゼンスを維持しようというインセンティブが働くんでしょうか。それとも、東アジア共同体から除外されたということになると、もう、それだったら軍事のほうも少し引けということになるのか。

 それとも、そういうのは関係なしに、軍事は軍事のロジックでこれからも、先ほどおっしゃったジオポリティックスという言い方で使えば、それは維持するんだと。経済はまた経済で、グローバリゼーションだから、地域のそういう枠組みを超えてやるんだということなのか。そこはどう見ればいいですか。

フリードマン どのようなクラブであれ、アメリカは招かれようが、招かれまいが、軍事プレゼンスを維持するでしょう。なぜなら、われわれの軍事プレゼンスはアジアの安定のための基本的な要因だからです。

 そして、アジアの安定は経済的な活力源また米国の生活水準にとって極めて大切だからです。ですから、米軍をこの地域に維持する基本的な戦略的関心が米国サイドだけでなく地域諸国の側にもあれば、アメリカが年に一度だけ会議を開く何かのグループの一員であってもなくても私は個人的には混乱しません。


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