アサヒ・コム このサイトの使い方へ 検索へジャンプ メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

朝日新聞社からアスパラクラブクラブA&A携帯サービスWeb朝日新聞サイトマップ文字拡大・音声

天気住まい就職・転職BOOK健康愛車教育サイエンスデジタルトラベル囲碁将棋社説コラムショッピングbe

ここから本文エリア現在位置asahi.comトップ >  シンポジウム記事

フォーラム「うたおう 子どもの権利」
【質疑応答】(1)

 川名 会場の皆さんからたくさん質問もいただいているので、それも織り込んでお話を進めたいと思います。

 まず、会場の皆さん、やはりフランスではどうなのかなということを知りたがっていらっしゃいますので、イブさんにこれから2つ質問をします。たくさん質問がありますので、簡潔に答えていただけるとうれしいのですが。

 まず1つ目ですが、イブさんの村でさっき1年間の予算が4000万円とご紹介したんですが、そのうち、子どものためにはどのぐらい使っていますかという質問です。どうでしょうか。

●6、7割の時間、子どもたちのために費やす

 イブ・デュテイユ氏

 デュテイユ 数字でお答えするのは非常に難しいですね。実際に4000万円というと幾らですか。ユーロにすると、200万フランぐらいですか。子どものための予算というはっきりとした形でつけられておりませんので、お答えするのは難しい。数字でお答えするのでなく、別の答え方をしたいと思います。

 毎年、子どものためのお祭りをいろいろと企画しております。特にクリスマスの時にはプレゼントを用意しますが、子どものへのプレゼントは予算の中には盛り込まれていない。ですから、私たちがプレゼントをつくるんです。

 現在、3つの村が共同で学校の運営を行っております。私の妻が助役を務めていますので、新しい学校をどこにつくるかというようなことを考えるのが仕事なのですが、新しい学校建設にかかる60%、あるいは80%ぐらいのコストが自治体の負担になるわけであります。

 いずれにしても、いろんなプロジェクトがあって、それに必要な予算はなかなか十分とは言えない。そういう状況にあるわけでありますが、我々の費やしている時間の6割から7割が、子どもたちのために費やしている時間だということは言えると思います。

 子どものために補助金をつけるという場合もあります。おもちゃを買ったり、子どもが自然に親しめるようにいろんな施設をつくる。また、子どものための食堂をつくり、親が働きに出ていたり、親が子どもの昼食の世話を十分に出来ない時に利用できるようにしました。そのほか、学校のスキー・スクールに子どもを参加させる。もし、スキー・スクールに参加する費用を払えない場合は、まず、食堂にかかる経費の一部を負担してもらって、もし余裕があるようであれば、スキー・スクールの費用を負担してもらう。このように、いろいろと優先順位を設けています。

 もちろん、高齢者も重要な問題であります。ですから、子どもだけに全部を費やすのではなく、バランスをとらなくてはならなくてはなりません。ですから、子どものために何割予算を使っているということは申し上げられませんが、私たちが費やしている時間の6、7割ぐらいは子どもたちのためだということは言えると思います。

 川名 では、次の質問ですが、先ほどから子どもの虐待を発見するための監視機構、監視人と日本語では訳されていたのですが、見守りネットワークのようなものでしょうか。それはどこにあるんでしょうか。村に1つ、まちに1つというような形であるんですか。

 デュテイユ これは国のネットワークでありまして、地域にまで広がっています。2004年にできたばかりですので、その機能について十分に説明することはできませんが、様々なデータを集めています。各自治体のレベルや行政、司法機関などから集めた様々なデータを、このネットワークを通じて収拾します。

 川名 もう1つ伺いたいと思います。とても大事なので。日本では、虐待をされて親と一緒に暮らせなくなった子どもたちの多くは、50人とか100人の施設にいます。けれども、先ほど、フランスでは養子縁組にとても力を入れていらっしゃる、養子縁組とか、あるいは里親といったところで育っているというふうなことをおっしゃったかと思うんですが、どういうふうに子どもたちは里親のところで育っているんでしょうか。

●里親に預けるかどうか判断が重要

 デュテイユ フランスの社会行動計画という枠内に里親制度があります。しかし、ほかのヨーロッパの国々と同様、親と子どもの間に問題があったから、親と子どもを切り離さなくてはいけないと短絡的に考えるのがいいというわけではありません。要は、いろいろな施設、あるいは様々な制度の中で、この親子を監視できるような、そういう機構の中に置くことが必要なんです。

 ですから、ただ単に子どもを親から切り離して里親に預けるということではありません。たとえ深刻な虐待を受けていても、子どもは親を愛し続けるかもしれないんです。親が虐待をしても、本当はやりたくなかったけど、やむを得なかったというようなことがあるのかもしれないのです。

 従って、判断が非常に重要になります。場合によっては、子どもにとっては虐待した親であっても、同じ家族の枠内に置いておいたほうがいいのかもしれない。ですから、一体、適切に扱うにはどうしたらいいのか。虐待という定義自体が非常に難しいということを筑紫さんがおっしゃいましたけど、まさしくそうです。

 それでは、虐待ではないのはどういうことなのか。その定義も重要になっていきます。親に本当に親となってもらうためにはどうしたらいいかという問題も当然絡んでくるでしょう。

 川名 日本で虐待防止に関わる予算が3倍以上になったと先ほど報告いたしました。その中には、これまで50人とか100人とか大きな定員だった養護施設に、子ども6人ぐらいの本当に地域の中で家庭的な暮らしが体験できるようなグループホームを100個にしようというような分も含まれています。

 今現在、日本では3万人ぐらいの子どもたちが550の施設で暮らしていますが、みんな集団が中心なんですね。で、そういう施設にグループホームを少なくとも100個つくっていこうというような流れが出てきて、ようやく子どもたちも地域の中で普通の暮らしを体験していけるような機会ができたことを、本当によかったなというふうに思っています。

 あとはまた、もっと里親さんたちが子どもを預かって、一緒に育てていけるようなサポートも考えていかなければいけない。虐待というのは、見つけるだけではなくて、本当に受けた心の傷を少しでも癒して、大人や社会に対する信頼感を取り戻して、よき社会人になっていく、そこまで見届けていくような施策であり、法でありたいなというふうに思っています。


ここから広告です 広告終わり
▲このページのトップに戻る

asahi.comトップ社会スポーツビジネス暮らし政治国際文化・芸能ENGLISHマイタウン

ニュースの詳細は朝日新聞紙面で。» インターネットで購読申し込み
asahi.comに掲載の記事・写真の無断転載を禁じます。すべての内容は日本の著作権法並びに国際条約により保護されています。
| 朝日新聞社から | サイトポリシー | 個人情報 | 著作権 | リンク| 広告掲載 | お問い合わせ・ヘルプ |
Copyright The Asahi Shimbun Company. All rights reserved. No reproduction or republication without written permission.