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【シンポジウム】

「食」ってなんだろう ― おいしく楽しく食べるには

4月25日、東京でシンポジウム





◆「食」シンポ参加者の横顔

◇基調講演
ジャコモ・モジョリ
イタリア・スローフード協会副会長。同協会の国際担当で、スローフード運動のスポークスマン役を務める。47歳。
◇討論者
辰巳芳子
料理研究家・随筆家。新聞、雑誌、テレビ、講演活動などで、日本の食に提言を続ける。「良い食材を伝える会」会長。77歳。
大河原毅
日本ケンタッキー・フライド・チキン特別顧問、前社長。18年間社長を務め、国内のファストフード産業をリード。58歳。
中村靖彦
明治大学客員教授。元NHK解説委員(農業・食糧問題担当)。農政ジャーナリストでもある。著書に「狂牛病」など。66歳。
渡辺満里奈
タレント。女性週刊誌に食のエッセーを連載中。台湾のお茶、食べ物、ライフスタイルを満喫した旅の本も出版。31歳。
(コーディネーターは松本仁一・朝日新聞編集委員)
 司会 皆さま、こんばんは。大変お待たせいたしました。ただいまより、朝日新聞社が主催いたしますシンポジウム「『食』ってなんだろう─おいしく楽しく食べるには」を開会いたします。私、本日のアナウンスを担当させていただきます糸永直美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。それでは、開会に当たりまして、主催者を代表し、朝日新聞社総合研究センター所長の野村彰男が、皆さまにごあいさつを申し上げます。

 野村 皆さま、こんばんは。本日は、朝日新聞社主催の食のシンポジウムにこのように多数お出かけくださいまして、まことにありがとうございます。

 私たちが生活していく上で基本のものとして、衣食住ということを言いますけれども、中でも食は、私たちが生きていく上で欠くに欠かせないものです。ところが、この食について、最近、食の安全ということを考えさせる事件が相次ぎました。BSE、いわゆる狂牛病の日本への上陸はもちろんですけれども、食品会社の不祥事が相次ぎましたし、流通段階での虚偽の表示といった問題が私たちの食、食材に対する安全ということについての信頼の気持ちを大きく揺るがせました。

 こういう事件が起こるようになった背景を考えますと、どうも、これは私の個人的な考えですけれども、産業社会の高度化ということに行き着くような気がしてなりません。私たちはここ数十年、より豊かな社会を目指して、スピード、効率化、便利さ、そういうものをひたすら追い求めてまいりました。そして、確かに豊かで便利な社会を手に入れました。日本各地はもちろんですが、世界中の食材が、しかも季節を問わず手に入るようになりました。

 しかし、その半面で、飽食の時代というものがまいりました。食べ物をむだにしたり、そして食べるという行為そのものをおろそかにするような、そういう風潮も蔓延しました。食卓あるいは台所にもスピード、効率化という物差しが大手を振って入り込んで、食卓を囲んでの家族のゆったりした団らん、そういう情景が減ったように思います。ファストフードに代表される外食産業の躍進、これは、いつの間にか私たちのライフスタイル、あるいは家族のありよう、あるいは人間関係、そういうものにまで変化を及ぼしているように思われてなりません。

 世界中の食材が手軽に、季節を問わず手に入るということと引きかえに、どうもその便利さの一方で、私たちは季節感が薄れているんじゃないかという寂しさとか、スピードや効率化と引きかえに大事なものをどこかに置き忘れているんじゃないかという疑問、そういうものを持ち始めています。私たちの心の中にそういうものが膨らみつつあるように思えてなりません。

 ということを改めて問い直そうという、そういう時代だからこそ、今、もう一度日々の生活のリズムを刻む、そして、私たちの生きていく上での基本である食ということ、食べるということについて改めてじっくり考えてみたい、それがきょうのシンポジウムのねらいです。

 きょうは、地域の風土に根ざした食材を自分たちで調理して、そして、ゆったりと家族でこれを食べるという運動、スローフード運動の本家でありますイタリア・スローフード協会の副会長、ジャコモ・モジョリさんをはじめ、そうしたことをお話しいただくのに最もふさわしい方々をパネリストとしてお招きいたしております。刺激に満ちた、非常に参考になるお話が伺えるものと確信しております。どうぞ、最後までじっくりご清聴ください。



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