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シンポジウム「超少子化と向き合う―問われる生き方・施策」
【討論後半】(1)広井良典氏の論点整理

●豊かさとは何か、発想の根本から変える必要

 司会 それでは、ただいまから討論の後半を始めさせていただきます。

 この後半では、皆様からいただきましたご意見・ご質問をできるだけたくさんご紹介したいと考えております。

 ご意見・ご質問につきましては、後半の討論が始まってしばらくいたしましたら、係の者が場内を回って回収いたしますので、どうぞお渡しくださいませ。

 それでは、広井さん、どうぞよろしくお願いいたします。

 広井良典氏

 広井 それでは、後半、少し休憩も入りましたので、新鮮な気持ちでといいますか、後半、これから議論を深めていきたいというところですが、最初に、当初前半の最後に予定されておりましたコーディネーターの私のほうからの簡単なプレゼンテーションと論点整理みたいなものをごく手短にさせていただいて、そこでお示ししました論点について、順次議論を深めていきたいと思っております。

 同時に、終わりのほうになるかと思いますけれども、会場の皆様方からいただいたご質問やコメントですね、ちょっと時間的にそのすべてに対応するということは難しいかと思いますけれども、時間の許す限り、取り上げていきたいと思っております。

 それでは最初に、私のほうから簡単なプレゼンテーションで、コーディネーター役をしながら自分もプレゼンテーションするというのは、ちょっとお見苦しいところがあるかと思いますが、簡単にお話しさせていただきたいと思います。

 今示されておりますように、きょうのテーマの少子化問題ということなんですが、今までもそれぞれの方からいろいろな角度からの議論がなされているわけですが、大きくいうと少子化という現象それ自体に関する議論の次元といいますか、それと合わせて、より大きな次元といいますか、これからの社会、特に日本社会をどのように考えていくのか、していったらいいのかというようなビジョンといいますか、その両方があるかと思います。両方は不可分、連続的ではあるかと思います。

 それで、その前半の少子化それ自体に関する次元、これは確認にとどまる話ですけれども、いわばミクロのレベルとマクロのレベルといいますか、ミクロのレベルというのは個人を視点において、個人の視点に立って、仕事と子育ての両立支援の問題、男女の役割分担のあり方の問題、サラチェーノさんや池本さん、その他、阿藤さん、いろいろな方から提示された問題、あるいは、結婚や家族というものの意味、こういった等々の論点があるかと思います。

 同時に、マクロの、といいますか、社会全体のレベルですね、後で話題、議論にしていきたいと思っておりますが、そもそも少子化、人口減少は是か非か、どのようにそれを評価するか、望ましい人口水準はあるかとか、マクロの人口問題のような話。これに関連して、外国人労働者や、大きなスケールで見ると、途上国では人口爆発というような状況も一部に見られるわけで、きょうのテーマは、地球全体のレベルでの視点、ひいては、そうなってくると環境問題といったものとも深く関連する話題であるかと思います。

 より大きな次元といいますのは、先ほども言いましたようなこれからの日本社会のあり方をどのように考えていくかということになるわけですが、これは私見になりますけども、やはり一つ考えていくべき点として、これまでの日本社会というのはともかく拡大成長、特に、経済成長というのを圧倒的な目標にして、特に戦後、走ってきたわけですけれども、そういった価値観といいますか、発想自体を少し根本から考え直してみる時期にきているのではないかと。

 私自身は、定常型社会という言葉を使っておりますけれども、もう少し経済成長一辺倒というよりは、本当の意味の生活の豊かさとかゆとりとか、そういったものに軸足を置いた社会のあり方を考えていけないか。それと、人口減少とか少子化というものとの関係をどうとらえていくか。

 それから、やはり大きな点として、ライフスタイルや価値観ということで、最近ではスローライフというようなこと、これも奇しくもといいますか、スローライフはスローフードでイタリアから来た言葉でありますけれども、ゆとり労働時間といった池本さんなども触れられましたような時間のあり方とかですね。

 それから、もう一つ、今どうも日本社会では個人がばらばらになり過ぎている。それをコミュニティー、地域社会とか自然とのつながり、こういったものとつながりを回復していくことが、少子化ということにもいろんな大きな意味を持っているんではないか。そのような論点があるかと思います。

 それで、対応のあり方についての仮説、これは私見ということですけれども、2つ掲げておりますが、一つは今言ったようなことと関連して、成長や拡大という価値観から少し自由になって、ライフスタイルや働き方、生活のあり方をゆとりあるものとしていく。そういった方向が、結果として、出生率の回復にもつながるのではないか。

 もう一つは、またちょっと別の論点ですけれども、サラチェーノさんのお話などとも関係しますけれども、やはり古い伝統的な家族に戻るというのはなかなかいろいろ難しいし、そごも大きいということで、これからの時代というのは、やはり一方で自立した個人というものを社会の基本的な単位と考えながら、そういう個人がいろいろな自己実現や生活を果たして、豊かな生活を実現していくことを社会保障などの公的な政策で支援していくような方向、個人を公共的なもので支えるといいますか、それが望ましい姿をもたらすのではないかということで、言葉としては、持続可能な福祉社会というようなイメージが一つ浮かび上がってくるかと思います。

 それで、以上は、若干私見が入っておりますけれども、これからこの後のセッションで議論していきたい話題や論点ということで、幾つか掲げさせていただいております。

 まず、議論の入り口として、それぞれの方から出された多くのことに関係しているかと思いますが、出生率がかなり国によって違うようだと。これは、最終的に何に由来するものか、どういう背景からきているものかを少し検証してみたいと。

 おそらくそれには、政策的要因と、社会的・文化的要因と呼ばざるを得ないような、ある意味ではより変わりにくい要因があるかと思います。北欧など、あるいは、フランスなどは、政策的要因というところでいろいろな政策をやっているというところが顕著であるかと思いますし、あるいは、北欧などは、後の社会的、文化的要因ということでも、個人主義的な伝統といいますか、ですね。

 一方、アングロサクソンの国などは、阿藤さんのお話とも関係しますけれども、あまり政策的にいろいろ子育て支援策をやっているというわけではないけれども、ジェンダー平等とか個人主義的、能力主義的な方向が浸透している中で、出生率が結果として高い。そのあたりを少し掘り下げてみたい。

 それから、そういったことも踏まえて、では、そもそも少子化というこの問題にどういう基本的なスタンス、視点で考えていくのか。これは、少子化に関する基本論ですけれども、これを少しひとしきり議論をしてみたい。

 それから、先ほども申しましたように、ミクロ的な個人に即したレベルとマクロ的な次元の両方があるかと思いますけれども、まず、マクロ的なほうとして、経済システムや社会保障政策、子育て支援策というようなことも含めて、政策の経済システムや社会保障制度、政策のあり方を議論してみたいと思います。

 それから、ある意味ではより根本にあるといいますか、池本さんなどが提起された地域社会や生活、働き方、家族等のあり方、あるいは、阿藤さん、サラチェーノさんも言及されたような点、経済システムや社会保障のあり方は、松谷さんが主にさまざまな視点を指摘されたと思います。

 そういうのを含めまして、これからの日本社会のあり方をどう考えていくか。これはかなり大きな話で、最後に、求められる政策として特に重要なものや、あるいは、個々人、一人一人としてどういう対応が求められるかとか、議論していければと思います。

 多岐にわたりますので、これ全部をじっくり十分にということは難しいかとは思いますけれども、でも、できるだけ掘り下げていければと思っております。


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