暴力の応酬を繰り返してきたイスラエルとパレスチナ。だが、テロや暴力で愛する家族を失っても、和解に向けて歩み始めた人々がいる。「イスラエル・パレスチナ遺族の会」の会員4人が6月21日、東京・築地の浜離宮朝日ホールで開かれたフォーラム「和平へ 憎しみを超えて」(朝日新聞社主催)に集い、和解と共存を目指す思いを語り合った。辛い体験をもとに平和と共存を訴える4人の呼びかけに、会場を埋めた約250人の聴衆が熱心に耳を傾けた。(コーディネーターは、松本仁一・朝日新聞編集委員 文中敬称略)
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イツハク・フランケンタール
イスラエル側代表。元は食料関係のビジネスマン。51歳。1994年夏、19歳だった息子がイスラム過激派ハマスに誘拐され、殺害された。当時のラビン首相に和平・共存の道を訴え、同じように肉親を失った人々に呼びかけ、遺族の会を立ち上げた。現在、イスラエル側メンバーは約250家族。 |
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アイェレット・シャハク
イスラエル人、47歳。計量会社重役の夫との間に生まれた長女(当時15歳)が96年春、テルアビブの繁華街で、パレスチナ人の自爆テロに遭い死亡した。13人の犠牲者が出たこの事件後、フランケンタール氏の呼びかけに応じて入会した。長女は平和や命に関する日記や絵画を残していた。
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リハブ・エサウィ
パレスチナ側代表。パレスチナ自治政府社会福祉省に勤める。教育学の教授でもある。55歳。実家がある村で90年、母がイスラエル軍と村人との衝突に巻き込まれて死亡した。94年には17歳だった甥がイスラエル兵士に撃たれて犠牲になった。パレスチナ側の会員は約210家族。
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ガズィ・ブリギス
パレスチナ人。ヨルダン川西岸の村役場に勤める。41歳。2000年10月、弟(当時14歳)がユダヤ人入植者に撃たれて重傷を負い、同11月には別の弟(当時31歳)がイスラエル兵に射殺された。この直後、遺族会の呼びかけに応じて参加した。イスラエルの平和団体と以前から接触があった。
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| 基調講演 |
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立山 良司(たてやま・りょうじ)
防衛大学校教授
在イスラエル日本大使館専門調査員、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)職員、中東経済研究所主幹を経て97年から現職。著編書に「イスラエルとパレスチナ」、「エルサレム」、「中東」など。56歳。
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| コーディネーター |
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松本 仁一(まつもと・じんいち)
朝日新聞編集委員
1968年朝日新聞入社。ナイロビ支局長、中東アフリカ総局長を歴任。94年、優れた国際報道をした記者に贈られるボーン・上田賞を受賞。著書に「ユダヤ人とパレスチナ人」、「アフリカを食べる」など。60歳。
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◆開会あいさつ
司会 皆様、大変お待たせいたしました。ただいまより、朝日新聞社が主催いたしますフォーラム「和平へ 憎しみを超えて――イスラエル・パレスチナ遺族は語る」を開会いたします。私、本日のアナウンスを担当させていただきます糸永直美と申します。どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
それでは開会に当たりまして、朝日新聞社専務取締役編集担当の君和田正夫が皆様にごあいさつを申し上げます。
君和田 皆様、こんにちは。梅雨の中のつかの間の非常にいい天気のときに、このように皆様お集まりいただきまして、主催者として心から感謝申し上げます。
12年前の湾岸戦争が終わった後に、1993年、パレスチナ自治の道筋をつけるオスロ合意が成立いたしました。宿敵同士だったイスラエルのラビン首相とパレスチナ解放機構のアラファト議長がホワイトハウスの庭で歴史的な握手をした、そのシーンを覚えていらっしゃる方々は多いと思います。
そして今回、イラク戦争が、終結したと申し上げてよろしいのかどうかはわかりませんけれども、山を越えた後、アメリカのブッシュ大統領は「ロードマップ」(行程表)をつくり、そして今月、ブッシュ大統領、シャロン首相、アッバス首相の首脳会談が開かれました。そして、そこでパレスチナ国家設立に向けての動きが加速するかに見えました。
しかし、皆様、毎日、新聞やテレビでご存知のとおり、テロと攻撃が依然として繰り返されております。
きょう、おいでいただきました「イスラエル・パレスチナ遺族の会」は、95年に設立されました。94年に息子さんを亡くされました、きょうおいでいただいておりますフランケンタールさんがおつくりになった組織であります。そして、イスラエルとパレスチナの間の憎しみを超えて平和をつくろうということを、世界各地を回って訴えてこられました。
今回、日本は初めておいでになられまして、既に広島、京都と回られて、今回、東京で皆様にお話をしていただくことになったわけでございます。
湾岸戦争以降、私たち日本も、今回、特にイラク戦争などでも、日本がどのようにかかわるのか、日本がどのようにかかわってはいけないのかが、大変大きな議論となっております。パレスチナ問題とは、私たち日本人にとってやや理解しがたいところ、あるいは遠いところで起きているという印象が強いかと思いますけれども、きょう肉親を亡くされた4人の方々のご発言を聞いて、ぜひパレスチナ・イスラエル問題への関心を深めていただけたら、主催者として幸せと思うところでございます。
時間がだいぶかかるかと思いますけれども、どうぞ最後までごゆっくりお聴きいただけたらありがたいと思います。どうもありがとうございました。(拍手)
司会 それでは、ただいまより中東事情に精通していらっしゃいます防衛大学校教授の立山良司さんに基調講演をお願いいたします。皆様、どうぞ拍手でお迎えくださいませ。(拍手)