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特別展「没後50年 横山大観――新たなる伝説へ」
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本展覧会の見どころ

晩年の横山大観(横山大観記念館提供)

 近代日本画壇のゆるぎない巨匠、横山大観(1868〜1958)は、東京美術学校(現・東京藝術大学)の第1回生として入学して以来、明治から大正、昭和の戦前戦後を通じて活躍を続けました。やまと絵、琳派、水墨画などに学び、自らの絵画世界を築いて数々の名品を生み出しました。本展は、大観の没後50年を飾るにふさわしく、初期から晩年までの代表作を集めて展示するほか、海外からの里帰り作品などもまじえ、大観芸術を一望し、現在の視点から見直す格好の機会となるでしょう。

代表作ずらり

 東京美術学校の卒業制作として知られる《村童観猿翁》(1893年、東京藝術大学大学美術館蔵)から、最後の院展出品作となった《風蕭々兮易水寒》(1955年、個人蔵)まで、名作がずらりと並びます。初期の人物画の名品として人気が高い《無我》(1897年、東京国立博物館蔵)、《屈原》(1898年、厳島神社蔵)。重要文化財に指定されている《瀟湘八景》(1912年、東京国立博物館蔵)と 《生々流転》(1923年、東京国立近代美術館蔵)が出品され、とくに《生々流転》は会期を通して40メートルを超える全巻がご覧いただけます。大観作品のなかでも飛び抜けて華やかな 《夜桜》(1929年、大倉文化財団蔵)、 《紅葉》(1931年、足立美術館蔵)は、並べて展示します。連作「海山十題」(1940年)からも、2002年に60数年ぶりに所在が明らかになった 《山に因む十題・龍躍る》(足立美術館蔵)をはじめ数点が出品予定です。 晩年の作品 《四時山水》(1947年、横山大観記念館蔵)も全長約27メートルを全巻展示、名作 《或る日の太平洋》(1952年、東京国立近代美術館蔵)も出品されます。

海外作品里帰り

 大観は1904年、岡倉天心に同行し、菱田春草、六角紫水とともに米国に渡ります。約1年をアメリカで過ごし、ニューヨークやボストンなどを訪れて、作品展を開いています。今回は、その頃に描かれ、ボストン美術館が所蔵する《帰牧図》《金魚図》 《月夜の波図》 《海図》の4点が里帰りします。東京での展示は初めてです。大観展は毎年のように開かれていますが、海外からの里帰り作品が展示されるのは非常に珍しいことです。

大観vs.古画

 常に「近代日本画の巨匠」と冠される大観ですが、その価値は単に近代日本画の枠内でのみ語られるべきものでしょうか。大観芸術と関わりの深い、日本、東洋の古美術を出品し、大観芸術と並べて展示します。古典名画と比較されることによって大観自身が古典に連なる、新たなる伝説の始まりです。ともに重要文化財の伝陳容(ちんよう)《五龍図巻》(南宋時代、東京国立博物館蔵)、 尾形光琳《槇楓図屏風》(江戸時代、東京藝術大学大学美術館蔵)の出品を予定しています。

横山大観 1868(明治元)〜1958(昭和33)

 明治元年、水戸に生まれる。本名は秀麿。はじめ東京英語学校に学び、1889年(明治22)、東京美術学校の開校とともに入学し、岡倉天心、橋本雅邦らの指導を受けた。1895年(明治28)に京都市美術工芸学校の教諭、翌96年には東京美術学校の助教授となったが、天心とともに辞職し、日本美術院の創立に参加。日本画の近代化をこころざし、菱田春草とともに、‘朦朧体’(もうろうたい)と呼ばれる、西洋画の手法を大胆に取り入れた実験をおこなった。また、インドや欧米の旅行によって、東洋精神の優位を確信する。文部省美術展覧会が開設された後は、新派の中心的存在として、《流燈》《山路》など、斬新な着想による作品を次々に発表していった。天心の逝去をきっかけに、1914年(大正3)日本美術院を再興し、天心が唱えた東洋の理想の実現に努めた。以後、再興日本美術院を活動の拠点とし、《生々流転》(重要文化財)など、水墨画の近代化を試みる一方で、《秋色》《夜桜》のような、日本の装飾性を打ち出した濃彩の作品も発表していった。明治から昭和に至るまで常に画壇をリードし続けた大観の芸術は、近代日本画史上確固とした地位を築いており、影響を受けた画家も多い。1931年(昭和6)に帝室技芸員、1935年(昭和10)には帝国美術院会員、のち帝国芸術院会員、日本芸術院会員となり、1950年(昭和25)に同会員を辞退した。1937年(昭和12)、文化勲章を受章。

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