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「2005年CES」リポート(上)
カーAVからプラズマまで 進化続ける「テレビ」
asahi.com編集部 篠島 真哉(サンノゼ)

| 薄型テレビ | 携帯端末 | カーAV関係 | ラジオの復権 | ワイヤレス | IT護身術 |

 世界最大の家電見本市、2005インターナショナルCES(Consumer Electronics Show)が1月6日〜9日、今年も米ネバダ州のラスベガス市で開かれた。115カ国から計14万人以上の業界・報道関係者が訪れ、迎える側の2500社を超える出展各社は新製品を競い合うように発表した。メーンは、やはりデジタル・エンターテインメント。映像と音をより快適に楽しむための最新テクノロジーを中心に注目の製品を紹介する。

【壁なす薄型テレビ――大画面化、改良進む】

 展示で最も人気を集めていたのが薄型テレビ。お国柄ゆえか、日本の平均的世帯では置き場所はおろか搬入にすら困るのではないかと思うような大型機が、会場内の一等地で「壁」をなしていた。

●プラズマ・液晶、大画面化過熱

 大画面テレビの主流の一つ・プラズマディスプレーで、サムソンが世界最大のテレビとして102インチ(約259センチ)の試作機を展示した。一方、昨年のCESで大画面世界一を同社と競ったLGは「現在購入可能な最大のプラズマ」と銘打って71インチの市販機を出展した。

 もう一つの主流である液晶ディスプレーでは、シャープが世界最大をうたって65インチ(約165センチ)の試作機を展示。液晶の限界を超えると見られていたサイズでの成功を受け、従来を上回る50インチ級の市販機投入を年内に果たすという。


102インチのSAMSUNG製プラズマディスプレーテレビ

 いずれも大画面のうえ、解像度が1080p(pは走査線の本数)でHDTV(高品位テレビ)に対応しており注目の的だったが、この分野からは撤退してしまった社もみられた。


シャープは液晶では世界最大という65インチを出展

●他の方式でも改良進む

 大画面を安価で実現できるリア・プロジェクション方式は、ほぼすべての社から出展がみられた。かつて画質はいま一つの観があったが、解像度1080pを達成した市販機や試作機も出てきた。投射の方式には、DLP、3LCD、D-ILA、SXRDといった違いがあり、それぞれが画質の特徴をアピールしていた。厚さが20センチを割った市販機も出展され、奥行きが大きくて置く場所が制約されがち、というイメージも覆しつつある。


RCAの61インチ薄型リアプロジェクションテレビ

 発色の豊かさや視野角の広さ、消費電力の低減が期待できるという有機ELも、小型画面を搭載した市販機や試作機が出展されていた。新技術であるSED方式は、今回のCESには展示されていなかった。


東芝の有機EL。小型だが視野角の広さがわかる

●CRT、なおも

 製造をやめたメーカーの担当者ですら、その画質には一目置くCRT(ブラウン管)で、SAMSUNGが奥行き16インチ(約41センチ)のHDTV対応30インチ市販機を展示していた。このサイズの同社の従来機は奥行きが24インチ(約61センチ)あり、3分の1ほど薄型化された。発売は6月、価格は約1199ドルの予定という。


薄型になったSAMSUNGの30インチフラットパネルテレビ(手前下)とブラウン管(同上)。奥は同社製の従来機

【携帯端末、そろい踏み――さらに大容量・多機能化】

 携帯端末は、腕時計タイプから文庫本を超える大きさまで、多様なものが出そろった。サイズごとに一層の多機能化が進んでいる。

●腕時計型PDA

 FOSSILの「Wrist PDA」は、デジタル腕時計にパームOSを搭載。画面は160×160ピクセル、16階調のグレースケール液晶で、バンド収納式の小型スタイラスを使って文字入力ができる。アドレス帳やメモ帳、電卓の各機能を内蔵し、パームOS用の大半のアプリケーションも使えるという。同OSの他のデバイスと赤外線通信でき、USBポートも備えている。ノートPCやPDAに対する利点について、説明担当者は「これなら、なくさないよ」。価格は約250ドル。


同じFossil製で「Wrist Net」の方は、ニュースや映画・スポーツ情報など、好みに応じてカスタマイズした情報をFM波で得られる、マイクロソフト社のサービス・MSN Directに対応(一部、有料)

●音楽プレーヤー

 HDDを搭載したクレジットカード大のポータブル音楽プレーヤーでは、04年に大ヒットした「iPod mini」を意識してか、容量が1GB多い5GBの新機種を複数の社が投入。バッテリー持続時間や価格面でも上回るものがみられ、「デザインも含め、iPod miniに劣る点はない」と会場の担当者が対抗心をむき出しにする社も。FMラジオやボイスレコーダーのほか、取り込んだ写真のフルカラー再生機能をもつ製品も登場している。


SAMSUNGの「YH-820」。1.6インチ(約4.1センチ、128×96ピクセル)のカラー液晶に写真を再生できる。約230ドル

●スマートホン

 カメラつき携帯電話としての静止画・動画の撮影、MP3プレーヤー機能、電子メール、ウェブ閲覧に加え、パームOS用の各種アプリケーションが使える。palmOneの「Treo 650」は、幅約5.9センチのボディに横方向最大10列のアルファベット兼数字キーボードを搭載。スタイラスを使って画面からの入力もできる。ブルートゥースでPCとのワイヤレス接続も可能。


palmOneの「Treo 650」。キーの形状は工夫されており、案外、打ち間違わない。価格は約600ドル

●ポータブルメディアプレーヤー(PMP)

 機種によって、取り込める動画・音楽・写真の量と、対応できるファイル形式には差がある。再生画面の大きさと解像度、ボイスレコーダー・デジタルカメラ・ビデオカメラ・ゲーム・ワイヤレスインターネットといった機能面、さらに、ウインドウズとの互換性の有無なども、さまざまだ。80GBのHDDに動画を最長320時間保存できるという機種も登場。画面は3.5インチ前後が中心で、大型のものも出展されていた。


6.5インチ(約15センチ、720×480ピクセル)の液晶を搭載するAPEXの「MP6500」。テレビ放送を直接、MPEG4で収録可。今春発売

●PDA

 大容量のメモリーカードを使えば、PCなどから取り込んだ動画をPMPのように再生できるものもある。CPUが600MHz超でPC並みに作業可能、あるいは携帯電話としても使える、といった機種も出てきている。


HPのポケットPC、iPAQ hx4700シリーズの端末(左上)。624MHzのCPUを搭載、本体価格は約650ドル。画面は90度横向き表示にもでき、ブルートゥース接続の折り畳み式キーボードに寝かせればノートパソコン風に。動画撮影用のカメラをつけている。右上はオプションの脱着式サム(親指)キーボード

【高画質を「道連れ」に――車内へ・まちなかへ】

 開催国の米国は元祖クルマ社会。CESの会場には実車を持ち込んだカーAV関係の出展も目立っていた。

●揺れる車上でロックオン

 車内でのビデオやDVDの再生に飽きたらない人むけに、高画質の衛星放送をライブで視聴できるシステムが開発された。KVH製のアンテナ「TRACVISION」を自動車のルーフにつけ、125チャンネルあるDIRECTVの受信を可能にする。

 このアンテナは、進路や勾配によって車の姿勢が刻々と変化しても、一度とらえた通信衛星を自動追尾し続ける。約80センチ四方、厚さ約13センチの覆いの中で、アンテナ板は±22度の範囲で傾きを調整しつつ、水平方向の回転も加えて向きを自在に変える。受信機込みの実勢価格は2000ドル超。受信料は、DIRECTVの加入者なら月約5ドル、車上でのみ視聴の場合は約40ドルになる。

 日本でのサービスは、電波を遮るトンネルの多さもあって未定という。なお、同様の仕組みをもつアンテナはマリンレジャー用にも実用化されている。


TRACVISION搭載車の実演。右上の、ルーフ上の黒いユニットが衛星を自動追尾するアンテナ

●ガソリン感覚でチャージ

 路上施設や自宅の車庫をワイヤレス高速インターネットのホットスポットにして、車載のAV機器に高画質の映像ソフトを直接ダウンロードして楽しむ……。そんなビジネスを、衛星ラジオの大手DELPHIのブースで提案していた。まるでガソリンでも入れる感覚。ケーブルテレビ会社のComcastのもつビデオライブラリーを配信するのだという。

 同じく衛星ラジオ大手のSIRIUSも、microsoftと提携し、子供用プログラムに限った自動車用映像配信サービスに乗り出す構想を打ち出していた。

●着けて、見る

 ベンチャーの出展したウエアラブル・スクリーンが人気を集めていた。飛行機内や空港などでのパーソナル・シアターにどうぞ、というわけだ。

 ICUITIの「V920」は、640×480ピクセルの液晶二つとヘッドホンをゴーグルの形に収めた両目用だ。42インチスクリーン相当に見えるといい、左右独立にピント調整可能、3D映像にも対応する。AV機器、ゲーム機、PC、携帯電話などに接続可能。映画・ビデオ観賞のほか、極秘メールのチェック、通勤電車内での学習といった用途を提案している。日本では04年12月に6万円で発売された。

 片目用の「M920」もあり、こちらはヘッドセット型で、マイクのかわりに液晶画面が目の位置に取り付けられている。視界を遮らないデザインなので、医療、軍事、生産・修理の現場での活用も考えられという。

 eye topからは、透明なゴーグルの片目にだけ液晶をつけた599ドルのポータブルDVDプレーヤーのセットが出展されていた。


ICUITIのウエアラブル・スクリーン「V920」。めがねをかけたままで装着できる

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