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話が違うぞ Mac mini、日本のユーザーは置いてけぼり?
ウィンドウズの日本語キーボードが正しく使えない問題 この1月、アップルコンピュータが発売したマッキントッシュの新モデル「Mac mini」で、ウィンドウズ用の日本語キーボードが正しく動作しない。「マックなんだから、ウィンドウズのキーボードは関係ないだろう」と思う人も多いだろうが、Mac miniに関してはそうはいかない。ウィンドウズの周辺機器がそのまま使えることをセールスポイントに、スティーブ・ジョブズCEO自らが大々的に発表した、ウィンドウズユーザー取り込みのための戦略的モデルだからだ。(文・斎藤幾郎)
Mac miniが人気だ。外付けハードディスク並みのコンパクトさと、アップルのいう「高価ではないが安っぽくない」デザイン、そして5万円台からという手ごろさで、販売店では入荷待ちが続いた。 ユニークなのはデザインや価格だけではない。ディスプレーのほか、キーボードやマウスまで別売だ。価格をギリギリまで下げ、パッケージを手提げバッグ並みに小さく抑えるのに一役買っている。 これらを別売とした理由はもう一つ。ウィンドウズパソコンのユーザーに「USB端子がついているので、使い慣れたキーボードやマウスがそのまま使えますよ」と訴えているのだ。 ジョブズCEOは1月のマックワールドで、「BYODKM」(Bring Your Own Display, Keyboard and Mouse=「あなたのディスプレー、キーボード、マウスを持ってきて」の頭文字)という造語まで披露、ウィンドウズユーザーを取り込む姿勢をはっきり見せた。なのに、ウィンドウズ用の日本語キーボードが正しく動作しない。どうなっているのか。 デフォルトで「@」が打てない!? OSの初期設定でいきなりつまずく
「ローマ字入力すれば問題ないだろう」と思う人もいるかもしれないが、事態は重大だ。日本語キーボードと英語キーボードでは「記号キー」の配列が異なる(右写真)。日本語キーボードが「JIS配列」、英語キーボードが「ANSI配列」という別の規格に準拠しているためだ。 最も深刻なのは「@」キーだ。これが打てないとメールが出せない。日本語キーボードでは「P」の右にある「@」記号は、英語キーボードだと「Shift+2」の組み合わせになる。Mac miniに日本語キーボードを接続すると、「Shift+2」を押さないと「@」が入力できない。Mac OS Xは初期設定でユーザーのメールアドレスの登録が求められるのだが、いきなり最初でつまずきかねない。 規格が違うこと自体は問題ではない。「マック用の日本語キーボード」も配列はJISに準拠しているが、こちらは正しく動作する。ウィンドウズにしてもマックOSにしても、キーボードの種類(配列)を自動認識、または手動設定することで、キーの表記通りに文字を入力できるようになっているからだ(下図)。 問題は、Mac miniにウィンドウズ用の日本語キーボードを接続したとき、JIS配列で使うように設定できない点だ。Mac OSのマック専用「以外」のキーボード向けのデバイスドライバーに対して、JIS配列の定義データが用意されていないためである。これはMac mini固有の問題ではなく、Mac OSで以前から知られる「現時点での仕様」だ。 一部例外もある。ロジクール、PFU、そしてマイクロソフト製のキーボードだ。この3つは「マック専用」ではないが、日本語(JIS配列)キーボードを接続しても正しく使える。 この3つに共通するのが、「マック用のデバイスドライバーをそれぞれ独自に提供している」ことだ。マックOS付属のドライバーではなく、メーカーが用意したドライバーを使うのだから、正しく使えるのはある意味、当然と言える。 Mac miniの製品紹介ページには、欄外の注釈として「多くの標準的なUSBマウス、USBキーボードに対応しています。Windows用のJIS配列キーボードを使用する際、英語(ANSI)配列のキーボードと認識される場合があります」と書かれているが、その根拠となるのが、3社の製品の存在だ。 しかし、「マック用ドライバー」が提供されている以上、この3社のキーボードは「マック対応機器」であって、「標準的なUSBキーボード」(アップル)とは少々違う。また、この3社以外のキーボードはANSI配列扱いとなるため、「英語配列のキーボードと認識される場合があります」というのは正確さに欠けた表現とは言えないか。 「優先順位低い」とアップル OSの改善予定は示されず
確かに今回の問題はまだ「実際のトラブル」までは発展していないようだ。現在Mac miniを買っているのは既存のマックユーザーが多く、ウィンドウズキーボードなど使わない。新規ユーザーも、アップル純正キーボードをセットで買うか、すでにこの問題を分かったうえで買っていると見られる。 先に触れたように、この問題はMac OSに由来するもので、ウィンドウズ用の日本語キーボードをJIS配列で使う定義ファイルをウエブサイトで公開している個人ユーザーもいる。これを使えば、カナキーが使えないなどの制限はあるが、少なくとも記号の配列の問題は解決できる。 こうした問題は当然、ANSI配列が基本の母国アメリカやヨーロッパ(独仏等)では起きない。しかし日本の現状で「ウィンドウズ用のキーボードが使える」というのは過大表現だろう。対ウィンドウズの戦略商品であるMac miniの根幹にかかわる問題であり、優先順位が低いというのは残念だ。 アップルが、iPodの成功をテコにウィンドウズ・ユーザーの取り込みを狙うのは悪くない。ただ、そのための工夫はまだまだ足りないと言わざるを得ない。 まず、ウィンドウズユーザーがマックを使う際に感じる当然の疑問に対する答えが、分かりやすく示されていない。 例えばウィンドウズネットワークでファイルを共有するための「ワークグループ名」はどう設定するのか。ウィンドウズとマックOSの操作法の差異は何か。マック固有のキー(「コマンド」等)はどこに割り当てられているのか――これらの情報はオンラインヘルプやウエブサイトなどに散在しており、ユーザーが調べ回らないといけない。ウィンドウズユーザーを狙うなら、小冊子のように分かりやすい形にまとめるべきだろう。 日本語キーボードの問題にしても、せめてANSI配列の一覧表を付けておけば、OSの初期設定画面で「@はどこだ!?」と悩まずに済む。そのくらいの配慮はしても良かったのではないか。 アップルは自社製品の機能と魅力、熱心な固定ファンが多いことに自信を持つあまり、「好かれていない相手に好かれる努力」がまだ足りない。この努力こそ、アップルがウィンドウズユーザーを取り込むのに最も重要なことではないか。過剰なサービスはいらないが、ちょっとした思いやりや配慮でいい。今回の日本語キーボードのケースは、「思いやり不足」の結果と言えそうだ。 「社内で重要問題としてとらえている」 本誌記事掲載後、アップルがコメント 以上の記事を「ASAHIパソコン」3月15日号(2月28日発売)に掲載したところ、改めてアップルコンピュータ日本法人から編集部に対して説明があった。相変わらず今後の開発計画については明らかにできないということだが、この件を「社内で、重要な問題としてとらえているのは間違いない」(同社広報部)という。 これは同社としてはおそらく最大限に譲歩した表現だ。アップルは全社的に、将来の開発計画について一切コメントしない(してはならない)という方針を貫いている。日本法人だけで決断できる問題でないのだ。だが今回の件は、ユーザーがこの製品を使えるかどうかを直接左右するだけでなく、CEOや同社ウエブサイトの表現をそのまま信用したユーザーが裏切られたと感じかねない問題である。そうした性質の問題については、さらに踏み込んで積極的な態度を表明してもよいのではなかろうか。 本文中でも触れたように、キーボードの定義ファイルを公開している一般ユーザーもおり、技術的に難しいことは全くない。できるだけ早い時期に純正対応してくれることを望みたい。 (ASAHIパソコン2005年3月15日号News&Viewsに加筆) (2005年3月11日)
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