|
ジャストシステムのワープロソフト「一太郎」の販売禁止命令に至った特許訴訟で、松下電器産業の知的財産(知財)戦略への力の入れようが際立った。
松下による特許係争は、特許料交渉をしているものも加えれば「数え切れない」(同社関係者)というが、勝てる争いばかりではない。ジャストシステムとはこの件以外に4件を法廷に持ち込んだが、1件は訴えを取り下げ、3件は要求が通っていない。
1日の東京地裁判決で問われたのは、パソコンに表示するソフトの画面上で「ヘルプモード」ボタンと呼ばれるマークを押した後、別の機能ボタンを押すと、その説明が表示される仕組みだ。
この特許では、ジャストシステムが自社製の家計簿ソフトについて、松下を提訴した別の争いがあった。だがこれは04年8月、同じ東京地裁の裁判長が、特許侵害はないとする、今回とは全く逆の判断を下していた。
判断を分けたのは「ヘルプモード」ボタンの絵柄。一太郎では「?」とマウスの両方が描かれているが、家計簿ソフトは「?」だけ。マウスの絵もある一太郎は、松下が特許を取得した際の説明にある「アイコン(絵文字)」とみなされた。
こうした微妙な世界で自社の知財を厳重に守ろうとする松下の戦略は、中村邦夫社長が00年の就任当初から強く打ち出してきたものだ。01年4月に、800人の知財権本部を立ち上げて、積極的に特許を出願。世界知的所有権機関(WIPO)発表の04年末時点の国際出願件数で、松下は3位に入った。
05年度の経営方針でも成長への原動力として「技術立社・知財立社」を強調。知財を生かした「強い商品」作りだけでなく、特許料でも収益を上げる方針で、06年度には知財部門の収益を黒字にするのが目標だ。
積極的に特許申請し、収益につながる資産を増やす一方で、特許侵害に対しては、今後も訴訟を辞さない姿勢だ。知財戦略を強める日本の電機大手の中でも、松下は目立つ存在となってきた。
(2005/02/03)
|