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新たなライセンスの仕組み作りをする「クリエイティブ・コモンズ」
「FREE CULTURE」を出版したローレンス・レッシグ教授に聞く(下)

asahi.com編集部 平 和博(サンノゼ)

「著作権の問題は、普通の人たちにこそ理解してほしい」と話すレッシグ教授=米カリフォルニア州のスタンフォード大で

 ――本書で「クリエイティブ・コモンズ(CC)に入ろう」と呼びかけています。その現状について、簡単に話してください。

 2002年の12月に設立した非営利団体で、オフィスはここ(ロースクール)の地下にある。アーティストや著者が、自分の作品にCCのライセンスマークをつけることで、あらかじめ許諾を得ることなく、その作品をどの程度自由に使っていいのかが、だれでも簡単に見分けられる。その仕組みづくりをしている組織だ。

 それぞれのライセンスには三つの層がある。一目でわかる表示、法的効力のあるライセンス、そして機械が読みとることのできるメタタグのデータだ。ただ、法的効力については、米国外の国々にそのまま当てはめることはできない。そこで、CCのライセンスを、各国の法制度に合わせて「移植」することにした。現在、60カ国でプロジェクトが検討されている。その中でも、日本が最も早く今年3月にアナウンスをした。今年末までに20カ国、来年中には60カ国でスタートすると思う。

 CCのライセンスで公表された作品は、03年末までの1年間で約100万件。それが以後、半年たらずで320万件へと倍増している。

 ――このライセンスによる作品の公表と、ビジネスとはどうリンクするんでしょう?

 今のところは、CCの非商用利用許諾のライセンスで作品が広く知られるようになり、商用で使いたいという企業などが出てくれば、改めて商業用の許諾を与え、そ の際に課す利用料として収入が発生する、といった形がある。

 ――このライセンスに違反した利用によるトラブルが起きた場合、その紛争処理はどうなるんでしょうか?

 CCは紛争の仲裁や調停は行わない。そのような場合、例えば訴訟を起こすのかどうかといった対応は、著作権者が決めることになる。

 ――「FREE CULTURE」は、印刷された書籍版(有料)と同時に、無料でダウンロードできる電子版(PDF)でも発表。電子版は、原作者の著作権を表示した上で、商業目的ではない複製や再配布は認めるという条件での、CCのライセンスで発行されています。まず、書籍版の売れ行きはどうでしょう?

 具体的な販売部数は聞いていないが、売れ行きについては、出版社も喜んでいるようだ。ダウンロード数は今のところ18万。この本で提起した議論やアイデアが、それだけ大規模に広まったという点では私も満足している。無料ダウンロードで電子版が普及したことによって、書籍版の売れ行きにもいい影響を与えたと思っている。

 電子版のダウンロードは、多くの人がアクセスしやすいように、と考えたものだが、それをもとに、オンラインでオーディオ版やHTML版、電子書籍版など、さまざまなファイルタイプに変換された「リミックス版」をつくる人たちが出てきた。これは、予想もしていなかったことだ。見ず知らずの人たちが、全くのボランティアでこれら様々なタイプのファイルを作り上げてくれた。

 ――P2Pのファイル交換がある一方、インターネットでの音楽ファイルのダウンロードという点では、成功しているビジネスモデルとして、アップルの「iTunes」のサービスがありますね。このサービスなら合法的で、著作権者もきちんと収入が得られる。これについては、どう考えますか。

 「iTunes」では、デジタル著作権管理(DRM)技術が組み込まれている。つまり、ダウンロードした楽曲の再利用は、ある程度の制限を受けるということだ。その楽曲を、あなたがつくる映像作品に使いたいと思った場合でも、それはアップルのプラットホーム次第、ということにもなってくる。DRMが組み込まれている限り、その素材の利用価値は限定されてしまうだろう。

 ――最後に。インターネットを巡る重要な問題は、著作権の他にもプライバシーやセキュリティーなど様々あります。それほどまで著作権問題に熱意を燃やす理由は何ですか?

 プライバシー問題は、すでに多くの人が理解している。セキュリティー問題が重要だ、ということも多くの人が分かっている。だが、著作権については、重要であるにもかかわらず、ほとんどの人が、何が問題なのかということすら理解していなかった。それが理由だ。この問題は、「虐待」や戦争やアフリカのエイズ問題ほどには重要ではないかもしれない。ただ、より幅広い人たちが、文化をつくりだし、共有することができるということは、やはり重要なことだと私は思っている。










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