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人気サイト「クレイグズリスト」創設者、クレイグ・ニューマーク氏に聞く
(上)「利用者の声を聞く。それが一番大切なことだ」

asahi.com編集部 平 和博(サンノゼ)

「イーベイによる株式取得後も、クレイグズリストは何も変わらない」と話すニューマーク氏=米サンフランシスコの自宅オフィスで

 「肩書?カスタマー・サービス係だ。朝から晩までそれしかやってない」と「クレイグズリストのクレイグ」は言う。米サンフランシスコを中心に、5カ国57都市向けに広がるコミュニティーサイト「クレイグズリスト」は、求人、アパート探しからデートの相手探しまで、利用者からの投稿を掲載して月間約10億超のページビューを集める。サンフランシスコ市と郡が「クレイグズリストの日」を制定するほど、地域で愛されているサービスだ。一部の求人広告の掲載以外はすべて無料、情報の項目だけを羅列した「世界一退屈なデザイン」と言われるこの巨大サイトが、一方では大手求人サイトやネットワーキング・サイトのビジネスをも脅かす。これまで一切の出資・買収話を断ってきたが今年8月、インターネット・オークション最大手「イーベイ」が同社の株式25%を取得したとの発表が関係者を驚かせた。創設者で会長でもあるクレイグ・ニューマーク氏(51)は、「これからも何も変わらない。利用者の声を聞いて、サービスを良くしていくだけだ」と話す。

●「クレイグズリストは何も変わらない」

――まず、「イーベイ」の話を。「イーベイ」による「クレイグズリスト」の株式25%取得、という8月13日の両社の発表には、驚かされた人も多かったようです。これまで、出資や買収の話は一切受けない、というのがポリシーだったはず。どんな経過でこういうことに?

 「クレイグズリスト」は、(IPO〈株式新規公開〉や売却といった)エグジット(出口)戦略を持たない会社だ。だが1999年に法人化した際、もしかしたら自分がこの会社を売って金を儲けよう、という誘惑に駆られるかも知れない、と考えた。そこで、一定の株式を当時の従業員にも割り当てたんだ。そもそも、そんな株に価値なんかないと思っていたし。

 だが、その元従業員が自分の持ち株を売却しようと考えた。いくつかの企業が買い取ろうとしたが、我々には自力で買い戻すだけの資金がない。幸いなことに、コミュニティ・サービスについて、我々と同じような価値観をもつ「イーベイ」との話がまとまった。そして、「クレイグズリスト」は何も変わらない。この件は、ニュースでも何でもない、ってことだよ。

――売却価格は推定で1200万ドルから1500万ドル(約13億2000万円−16億5000万円)との報道もありましたが。

 それについては、話せない。

――「イーベイ」のメグ・ホイットマン社長兼CEOとは、今後について何か具体的な合意をしているんですか。

 何も。ただ、「イーベイ」のトラブル担当部署が詐欺事件などへの対策について、協力してくれることにはなっているけれど。

 逆に「イーベイ」としては、(求人広告などの)クラシファイド広告ビジネスのノウハウを知りたいようだ。

――「クレイグズリスト」と「イーベイ」、巨大サイト同士の組み合わせに、脅威を感じている人々もいると思います。特に、競合するオンライン求人広告やソーシャル・ネットワーキングの市場で。インターネットのトラフィック調査会社「アレクサ・インターネット」のデータでは、「クレイグズリスト」の今日(9月9日現在)のランキング(133位)は、オンライン求人広告最大手「モンスター」よりは上、ソーシャル・ネットワーキング・サービス最大手「フレンドスター」のやや下、といった位置です。

 確かに、今のところは好調だと言えるかもしれない。トラフィックも上向きだ。ただ、もし「クレイグズリスト」の事をそんな風に気にする人たちがいるんだとすると、ちょっと了見が違うようにも思う。そんなことより、まず自社のカスタマー・サービスの質を上げる方が先じゃないだろうか。そして、利用者の信頼を得ることに心を砕くべきだと思う。

●5カ国57都市で利用者580万人、10億6000万PV

――「クレイグズリスト」の現状について少し説明してもらえますか。年間の売り上げは約1000万ドル(約11億円)との報道もありましたが。

 私とジム(・バックマスター社長兼CEO)を含め14人。ただ、あと数人は必要なんで、面接をしているところ。利用者数は580万人、月間ページビューは10億6000万。いずれも8月の推計値だ。最近、かなり数を増やしたので(米国、カナダ、英国、アイルランド、豪州の)57都市用のサイトがある。

 「クレイグズリスト」では、商用の求人広告掲載に限ってサンフランシスコ地域が75ドル、ロサンゼルスとニューヨークは25ドル、とこの3都市のみ有料としている。バナー広告もないし、我々の収入源はこれだけだ。売り上げの総額について、コメントはしないけど。

――どうやったら、75都市のサイト運営を14人でできるんですか。システムに何か工夫が?

 かなりの部分はコミュニティーの人々を信頼し、任せている。フラグ・システムというものを使っている。投稿におかしなところがあれば、利用者が「旗」を立て、その数が一定数に達するとその掲載は自動的に削除される。何人かの利用者は全くの趣味で、変な投稿があれば私に知らせてくれたりもするけど。

 約70台のサーバーはそれぞれ3000ドルとか4000ドルとかの安価なものだし、それにリナックスやアパッチなどオープンソースのプログラムを使っているだけだ。

――あなたは「カスタマー・サービス係」を名乗っていますが?

 肩書上は「クレイグズリスト」の創設者、会長、そしてカスタマー・サービス係。実態は、フルタイムの専従カスタマー・サービス係だ。利用者の声を聞くには、この仕事が一番いい。

 カスタマー・サービスを担当するのは4人。さらに状況に応じて数人が手伝ってくれる。1日に寄せられるメールは約400件。このうち50件から100件を私が受け持つ。いくつかはかなり手間もかかる。特別なマニュアルがあるわけじゃなく、常識で対応しているが、もちろん違法なものを見つければ、法律に従って処理する。朝8時半ぐらいから、夜は10時、11時まで。週40時間以上は確実にこの仕事に取られている。

 実際、今はもう経営はジムに任せて、タッチしていないんだ。

 カスタマー・サービスなんて、とあまりまともに受け取らないのが米国の企業文化。企業の経営者は普通、顧客とは直接の関わりをもたず、その声を聞かなくなる。それが大問題を引き起こす原因だ。

 我々はカスタマー・サービスを真剣に考え、利用者の声を聞き続ける。 (2004/09/14)










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