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人気サイト「クレイグズリスト」創設者、クレイグ・ニューマーク氏に聞く
(下)「成功のカギはコミュニティーの信頼」

asahi.com編集部 平 和博(サンノゼ)

インタビューが終わるやいなや、ニューマーク氏はメールのチェックを始めた。部屋に飾ってあるのは「ブレードランナー」のポスター=米サンフランシスコの自宅オフィスで

●「オタク」文化の系譜引き継ぐ

――ニューマークさんの経歴と「クレイグズリスト」の歴史について簡単に教えてください。

 IBMでプログラマーとして6年、システム・エンジニアとして11年。さらに証券会社のチャールズ・シュワブに2年いた後は、フリーだ。

 「クレイグズリスト」は、スタートした95年からの最初の3年間は単なる趣味だった。99年に書類上は営利企業として設立した。ただ、実体は、非営利と営利のハイブリッド企業といったところ。自分たちでは「非商用」と呼んでいる。

――「利用者が互いに安らぎを与え合う」「ネットに人間らしい声を取り戻す」など「クレイグズリストの使命」をサイトの中で掲げてます。昔のオンライン・コミュニティーのカルチャーも感じさせる書きぶりですが、あなたのキャリアと何か関係があるんですか?

 「クレイグズリスト」の役割は、ごく簡単に言うと「住む家や仕事など、人々が日常生活で必要なものを探せる場所」ということに尽きる。

 私はまあ、ギーク(geek)とかナード(nerd)とか言われるタイプの人間だ。日本では「オタク」と言うんだったか。私の好きなウィリアム・ギブスンが書いていたと思うけど。ある種の、そういったスピリットが反映されていると思う。70代初めの学生時代、まだARPAnetだったインターネットに触れる機会があった。その頃、インターネットを使っていた人々は、「これは世の中を良い方向に変えてゆくテクノロジーだ」と考えた。さらに私は、オンライン・コミュニティーの先駆けとなった「The WELL」の12年にわたるユーザーでもある。それらのネットワークのカルチャーもまた、「クレイグズリスト」の一部として引き継がれている。

 人は年を重ねるごとに現実的になっていくものだが、どういうわけか私の場合は、どんどんと理想主義の方に行ってしまう。大統領選が間近に迫った今こそ、多くの人に理想主義的になって欲しいんだが。

――これまで投資や買収といった話を断り続けてきた理由を聞かせてください。

 それが正しいこととは思えず、サイトの価値観を損ないかねなかったからだ。私が大事にしたい価値とは、このサイトを利用する人たちが、世界を少しだけ居心地のいい場所に変えていく力、という意味なんだけど。

――金持ちになるのは間違ったことだと考えていますか?

 そんなことはない。ただ、逆に聞きたい。人は、一体いくらの金が必要なんだ?

 プログラマー仲間とそんな話をしたことがある。ギークとかナードといった人種は、ある程度の金さえあれば、大体は、スピードの出るカッコイイ車とかでっかい家なんか欲しがらないんじゃないか、と。

 私の場合は、この机に並んでいるカシオのデジタルカメラとか、シャープのザウルスとか、マックのパワーブックとか、そういったガジェットを集めるのが大好きで、それで十分なんだ。

 今、切実に欲しいものといったら、専用駐車場ぐらい。私のプリウスの駐車場契約は隔月の月極めになっていて、今月は安心して駐車できるが、来月はこのアパートの上階の住人がそこを使う。プリウスは1カ月間、路上駐車だ。ものすごく煩わしい。それが人生ってもんだけど。

●サービス内容は、すべて利用者次第

――第2、第3の「クレイグズリスト」というのは、あまり聞かないですね。

 「クレイグズリスト」がうまく行っている最大は理由は、利用者コミュニティーの「信頼の文化」。利用者は「ここに集まってくるのは信頼できる人たちだ」と信じている。もちろん悪い奴もいることはいる。ただ、悪い奴らを見つけたら、追い出す努力をする。そういうコミュニティーの雰囲気だ。

 うちを真似たサイトもいくつかあった。でも、カスタマー・サービスができていなかったね。

 結局は、良質なカスタマー・サービスと「信頼の文化」の組み合わせ、ということに尽きるんだろう。

――「クレイグズリスト」の情報分類は、「求人」「不動産」「売ります」といったものから「カジュアルな出会い」「風俗サービス」までかなり幅広いです。

 「カジュアルな出会い」の情報は、いってみれば(互いの)人間的なニーズだ。ただ、そこに「プロ」の広告が混ざっているのを見つけたんだ。これはうまくない。そこで、別に「風俗サービス」という分類をつくった。掲載内容が合法的なものでありさえすれば、何の問題もない。

 「クレイグズリスト」がどんなサービスを提供するか、それはほとんどの場合、利用者コミュニティーの声に基づいて判断している。これもその一つ。利用者次第だ。

――都市ごとに掲載内容の特徴はありますか?今後の展開の予定は?

 そう大きな違いはないが、ロサンゼルスの場合はテレビ・メディア関係の掲載が多いとか、ニューヨークはアパート関係、そしてなぜかはわからないがロンドンでは出会い系が人気だ。

 東京からも開設の要望はある。いつになるかはわからないけど。今後は、英語以外の言語への対応も考えなきゃいけない。まずスペイン語への対応は考えている。

――サンフランシスコ市と郡は、地域コミュニティーへの貢献に対して、今年10月10日を「クレイグズリストの日」としました。このサイトを描いたドキュメンタリー映画「24 hours on craigslist」も公開予定ですね?

 何か特別なイベントがあるわけではないと思う。たぶん。ケーキぐらい食べるかな。10月10日というのも、この自宅アパートの番地が1010番、というだけのこと。ギャビン・ニューサム市長の誕生日でもあるらしいけど。

 映画は、もうすぐ公開されるはずだ。知らせを受け取ったと思うんだけど、何せカスタマー・サービスで忙しくて。 (2004/09/15)










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