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「インターネット・アーカイブ」代表、ブルースター・ケイル氏(43)に聞く
(上)人類のすべての知識をオンラインに

asahi.com編集部 平 和博(サンノゼ)

「すべての情報を、すべての人が使えるように」と話すケイル氏=サンフランシスコ・プレシディオの「インターネット・アーカイブ」で

 デジタル化された情報の便利さは、インタ−ネットを通じてだれでも、世界のどこからでもダウンロードし、利用することが可能になるという点だ。ただ、脆(もろ)さも抱える。インターネット上の情報は、前触れもなく突然、消え去る。ウェブページの寿命は、約100日とも言う。陽炎(かげろう)のような情報の宇宙を丸ごと、コンピューターのハードディスクに保存する取り組みを続けているのが、NPO「インターネット・アーカイブ」(米サンフランシスコ、http://www.archive.org/)代表のブルースター・ケイルさん(43)だ。名刺の肩書きは「デジタル・ライブラリアン(電子図書館員)」。情報の保存と著作権との軋轢(あつれき)をめぐる問題にも取り組むケイルさんに聞いた。

●300億ページのウェブページ図書館

――「インターネット・アーカイブ」のコレクションについて教えてください。

 「まず、1996年から現在までの約300億ページのウェブサイトのアーカイブを検索できる『ウェイバック・マシーン』。URLを打ち込むと、定期的に保存した過去のページも見ることができる。本には図書館があり、情報を伝える。だが、ウェブページにはそれがない。そして消えていく。それを保存するのが、我々の活動だ。96年に『インターネット・アーカイブ』を設立してから8年、ウェブの保存に取り組んできた。昨年には、英米仏など12カ国の国立図書館と一緒に国際インターネット保存コンソーシアム(IIPC)という組織も立ち上げた。ウェブ保存活動について、互いに協力していこう、という趣旨だ」

――オーディオや動画のアーカイブも膨大ですね。

 「オーディオは約1万5000タイトル。このうち約2500がグレイトフル・デッドのライブ音源だ。すべて無料でダウンロードできる。ファンがライブを録音し、それを無料で交換することを認める。このムーブメントはそもそもが彼らのアイディアだからね。ほとんどがプロミュージシャンの音源だ。商業目的でない限りは、無料で音楽をシェアしていこう、というコンセプトで、音源を提供している」

 「動画のアーカイブは約6000タイトル。多くは著作権切れとなった短編の教育映画など。最も人気があるのは、米国への核攻撃を想定した教育映画『ダック・アンド・カバー』(1951年作品、約12万ダウンロード)だ。ただ、ホラー映画の『ナイト・オブ・ザ・リビング・デッド』(ジョージ・A・ロメロ監督、1968年版)のような(著作権登録手続きミスで)パブリック・ドメインとなった長編映画もある」

 「(スタンフォード大のローレンス・レッシグ教授らが提唱するデジタル著作物利用に関するライセンス)クリエイティブ・コモンズとも協力しあっている。クリエイターがクリエイティブ・コモンズのライセンスを使って、デジタル作品を公表したいと考える。その時、(容量の大きな作品を格納しておく)サーバーはどうするかという問題が出てくる。我々なら、無限のディスク容量とインターネットの通信帯域を提供できる。永久に無料で。そういう役割分担で、クリエイティブ・コモンズと連携している」

●インターネットから飛び出す本

「ブック・モービル」で製本された「不思議の国のアリス」や「オズの魔法使い」

――書籍のデジタル・アーカイブにも取り組んでいますね。

 「今のところ『オズの魔法使い』や『不思議の国のアリス』など、パブリック・ドメインの1万7000冊程度の本がデジタル化されている。このコレクションをもっともっと大きくしていくために、いくつかの書籍のデジタル化プロジェクトと連携している。1つが、カーネギー・メロン大学、インド政府、中国政府などが取り組む『ミリオン・ブック・プロジェクト』。さらに、(1971年から続く)『プロジェクト・グーテンベルグ』だ」

 「もうひとつのプロジェクトが『ブック・モービル(移動図書館)』だ。(アンテナを設置したライトバンを使い、衛星通信経由で)デジタル化した書籍を高速ダウンロードし、印刷、製本までを手軽に、どこでも、(現実の移動図書館のコストより安い)1冊1ドル程度で行うことができる。このシステムを通じ、書籍の無料配布を国内外で行っている。プロジェクトが始まったのは2年前。サンフランシスコからワシントンDCまでブック・モービルを運転し、当時8歳だった息子と一緒に、各地で製本の実演と無料配布をしたのが最初だ。『Anywhere Books』というNPOが、スピンアウトし、世界銀行から資金を得てウガンダでの活動に取り組んでいる。ほかにアレクサンドリアに1台、インドに2台。米国内には2台ある」

 「ただ、自動車でなくてもいいんだ。システムが普及し、だれでも印刷、製本できるようになればいい。世界中の学校、図書館がその拠点として機能することが目標だ。そうなれば、コンピューターを持っていない人たちだって、偉大な図書の数々を気軽に持ち帰ることができる」

――「インターネット・アーカイブ」の理念でもある、「すべての人智への開かれたアクセス」(Universal Access to All Human Knowledge)について話してもらえますか。

  「このプロジェクトのそもそものきっかけは、マサチューセッツ工科大学(MIT)で人工知能を研究していた時に、電子図書館をつくる、というアイディアにめぐり合ったことだ。電子図書館として機能するためには、保存された情報が多くの場所に配布される仕組みが必要だ。だがそれは、電子図書館のイメージを唱えたヴァネヴァー・ブッシュやテッド・ネルソンによって、理論的には実現可能なこともわかっていた」

 「もうひとつは1995年に、(米ディジタル・イクイップメント〈DEC〉が開発した)大規模なウェブの情報収集能力をもつ検索エンジン『アルタビスタ』を目にしたことだ。実際に見せてもらいに行ったよ。インターネット上のあらゆるのウェブページが、コーラの販売機というか、冷蔵庫というか、そんな感じのボックスに納まっていた。アルタビスタは、世界中のデータを、1ヵ所にまとめてしまうことが可能だということを示していた」

 「私のイメージは、紀元前3世紀の世界最大の図書館『アレキサンドリア図書館』だ。世界中のすべての本を収集しようとしていたわけだ。ただ、この図書館にもできなかったことがある。アクセスの問題だ。利用者は、ともあれアレキサンドリアに行かなければならない。だが、我々はアレキサンドリア図書館の理念に通じる取り組みが可能になった。しかも今度は、すべての情報を、すべての人がアクセス可能な形で提供できる。インターネットを使ってね。すばらしい目標じゃないか」 (2004/09/22)










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