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「We the Media」の著者 コラムニスト、ダン・ギルモア氏に聞く
(上)テクノロジーが可能にする新たなメディア

asahi.com編集部 平 和博(サンノゼ)

「読者は、ジャーナリストよりはるかに多くのことを知っている」と話すダン・ギルモア氏=米カリフォルニア州のサンノゼ・マーキュリー・ニューズ社で
 ウェブログ、Wiki(ウィキ)、携帯メールにカメラ付き携帯……。それらの「メディア」を手にした人々は、ニュースの受け手であると同時に、自らが発信者として、インターネットの大きな情報圏を形づくり始めている。もはやニュースは、新聞やテレビ、ラジオの独占物ではない。では、既存のジャーナリズムの役割はどう変わるのか。サンノゼ・マーキュリー・ニューズのテクノロジー・コラムニスト、ダン・ギルモア氏(53)は新著「We the Media」において、草稿段階から内容を自らのウェブログ「eJournal」(http://weblog.siliconvalley.com/column/dangillmor/)で公開する「オープン」なスタイルを取った。

●ジャーナリズムとしてのウェブログ

 ――「We the Media」出版のきっかけから聞かせてください。

 「2年半ほど前、ウェブログなどの新たなメディアを巡るジャーナリズムの変化を『ジャーナリズム3.0』と名付け、コンファレンスのセッションなどで取り上げてきた。3.0というのは、OS(基本ソフト)の次のバージョンというような意味。これが、本をまとめる一つのスタートになったと思う。9・11やイラク戦争といった状況の中、人々がオンライン・メディアを通じて、既存メディアとは違った形のニュースを伝え、情報を手にしていったことが、この本の出版に大きな影響を与えた。私は1999年10月からウェブログを始めたが、それ以前からすでに、そのような変化は始まっていたと思う」

 ――ウェブログの特徴とは?

 「一番の特徴は、ごく普通の人がプログラムに関するさほどの知識がなくても、ウェブ上に手軽に情報を発信することができるという点だろう。そして、読むだけではなくて、手軽に書き込むこともできる。最も典型的なウェブログのスタイルは、1人の人間が運営し、人間味のある語り口で情報発信する、といったものだ。最新の書き込みが常にトップに表示され、ディスカッションも頻繁に行われる。そのスタイルやテーマはすさまじく多彩だ。これはある種のジャーナリズムで、『スラッシュドット』や『2ちゃんねる』が担ってきたものでもある。この本では2ちゃんねるは取り上げていないが、それについては少し後悔している。2ちゃんねる自体はウェブログではないが、どんなウェブログより、ある種のビジネスや社会現象に大きな影響を与えてきたことは間違いない。日本では、怒り狂う人もいれば、評価する人もいる。けれど、それがウェブなのだ」

●「講義」から「会話」へ

新著「We the Media」=O’Reilly Media提供

 ――インターネットが読者とジャーナリストのコミュニケートを可能にし、ジャーナリズムの従来の「講義」スタイルが読者との「会話」に近いものにならざるを得ないだろう、とも指摘しましたね。「We the Media」は草稿をウェブログに掲載し、読者と「会話」しました。寄せられた声は、どのように反映したのですか。

 「2003年の春に本のアウトラインをウェブログに公開し、今春には各章ごとの草稿も掲載した。素晴らしいアドバイスがもらえるのか、全く何の反応もないか。ある種の実験だ。コメントの中には、引用したURLが違っている、という細かい指摘もいくつかあった。それだって、素晴らしい。ニューヨークの新聞社のオーナーは、すべての章について細かい点を修正したり、指摘したりしてくれた。もう1人の編集者役を自ら買って出てくれたわけだ。『いいテーマだ。ただ、もう少しいい本にしようじゃないか』と。多くの指摘のうち、どこまでを決定稿に反映させるか、実際の編集者にも相談した。彼の答えは、できるだけの声を聞いて、反映し、よりいい本をつくろう。明日、刊行するわけじゃない、だった」

 ――インターネットが普及する中で、(プロの)ジャーナリストはより「フィルター」としての機能が強まるだろう、というのも面白い見方です。

 「ジャーナリストはこれまでも、情報のフィルターとして機能してきた。世の中は膨大な量の情報の洪水だ。これを理解し、整理し、組み立てるのがジャーナリストの仕事。その部分は昔も今も変わりはない。変わったことと言えば、既存メディアがすべてのニュースをカバーし価値を判断するとは、もはやだれも考えなくなったという点だ。(ウェブログなどを使えば)ジャーナリストは、自分の記事だけで完結せず、さらに詳しい情報や優れた記事を掲載する他サイトへの案内役にもなれる。読者が、求めるベストの情報にたどり着くためのフィルターだ。ある法案について記事を書く時、私だったら法案の概要だけではなく、ウェブログに議会サイトの法案のページのリンクを張る。あるいは法案についての記述がある公報にリンクし、提出者がどのような説明をしているか、たどれるようにする。よりオープンな形で読者に情報を提示するためだ」

 「数年前、秋葉原に行った。事前に、米国人ジャーナリストが書いた秋葉原ガイドブックを読んでおいた。だが、一緒に行動してくれた秋葉原の『達人』は、これを買うならこの店、それだったらあっちの店と、ガイドブックに全く載っていない案内をしてくれた。どんなガイドブックも、理解と経験に裏打ちされた達人にはかなわない。そして、ウェブログの世界には、ジャーナリストが及びもつかない達人たちが山のようにいるんだ」

 ――ウェブログの世界から広がる「新しいジャーナリズム」についてもう少し聞かせてもらえますか。

 「本の中で、オープンソース・ジャーナリズム、草の根ジャーナリズムという言葉を使っている。オープンソースは多くの人々が貢献して一つのニュースをつくりあげる、といったスタイル。オンラインのフリー百科辞典『ウィキペディア(Wikipedia)』などがこのスタイルだ。草の根、は社会のネットワークの隅々で活躍する市民が発信するジャーナリズム、といった意味合い。インターネットで広がるこれらのジャーナリズムは、既存のジャーナリズムと補完関係にある、と思っている。ウェブロガーは、既存ジャーナリズムの敵というわけではないから」

 「ただ、ジャーナリズムの質の維持は大切だ。ポイントは、事実をチェックし、正確な記事を書くように努めるという基本的なことだ。それに、公正であるということ。もちろん、嘘(うそ)八百を書き連ねているようなウェブログだってある。ただ、ウェブロガーたちはサイトの質を判断するから、そういうのはまじめに取り合わず、リンクもしない。結局はだれにも読まれぬまま、自然と淘汰(とうた)されていくものだ」 (2004/08/20)










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