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「We the Media」の著者 コラムニスト、ダン・ギルモア氏に聞く
(下)2つのメディアの間で

asahi.com編集部 平 和博(サンノゼ)

「ジャーナリストはもっと読者と『会話』をする必要がある」と語るダン・ギルモア氏=米カリフォルニア州のサンノゼ・マーキュリー・ニューズ社で

●巨大メディアの問題点

 ――巨大メディアへの企業統合、ウォールストリート(投資家)を意識した利益追求など、現在のメディアの問題点も指摘していますね。その結果、報道の質が犠牲となり、「ジャーナリズムの空白を生む」と。

 「様々なことが、きちんと報道されない一つの理由はそこにある。もちろん優秀なジャーナリストというのは存在し続ける。だが以前に比べ、多くのテーマで、細部を穿(うが)った報道というものが影を潜めているように感じる。ジャーナリズムの空白でいえば、例えば、イラク侵攻の計画について、多くの米国メディアは、これに反対する約半数の国民の声にほとんど耳を貸さなかった。戦争に批判的な記事もいくつかあったが、圧倒的に多数は、政権側に寄り添った記事だった。それを埋めたのが、英国の(左派系の)ガーディアンだ。膨大な数の米国人が、オンラインでガーディアンを読み始めた。巨大メディアがあるテーマをカバーしないとするなら、それを書きたい別の人たち(市民ジャーナリストたち)の出番だ、ということだ」

 ――ウェブログのビジネスや政治の分野へのインパクトについても触れています。

 「2つの側面があると思う。まず産業界は、人々が電子掲示板やウェブログを通じて、表面に出てくるよりもはるかに広範囲に『あなたのビジネス』について議論している、ということについて知っておく必要がある。ただ同時に、その同じテクノロジーを使って、顧客や従業員やサプライヤーとコミュニケートをすることもできる。より多くの企業が、このテクノロジーを取り入れるべきだと思う。(米大統領選の民主党予備選候補だった)ハワード・ディーンはウェブログなどを活用したキャンペーンを展開し、その限界も示した。ウェブログを政治活動の支持者たちとのコミュニケーションにどう活用していくのか、も課題だろう」

 ――あなた自身は、自らのウェブログにどれぐらいの時間を割いていますか?

 「日によって、本当にまちまちだ。1日ほとんどかかりっきりになることもあるし、数時間、あるいはまったく手をつけないこともある。平均すると、1日に3つか4つの短い書き込み、といったところだと思う。さらにコメントを読んだりするから、それなりのボリュームのある作業ではある。ただ、比重からみれば、それは私のメインの仕事ではない。コラムニストとして、相変わらず、電話をかけたり、人と会ったり、コラムを書いたりしなければならない」

●出版も「オープン」な形で

 ――新聞に掲載するコラムと、ウェブログとの関係をどう位置づけていますか。

 「私にとっては、ウェブログは補足的(supplemental)という表現がぴったりするかもしれない。ウェブログに載ったもののいくつか、いや、ほとんどは新聞には掲載されない。とは言っても、データなどをいくつか再確認した上でコラムに掲載する、こともある。そんな関係だ」

 ――企業ジャーナリストがウェブログをする場合、社内の倫理規定などとの兼ね合いが問題です。

 「公式なものではないが、私の場合は、新聞に掲載するコラムを書く場合と同じ基準を、ウェブログにも使っている。つまり、事実として書く内容については、必ず裏付けをとる、というごく基本的な基準だ。事実でないことは書きたくないし、名誉毀損もしたくない。ウェブログでは、リンクする先の記事の正確性について裏をとることまではしないが、疑わしい記事には決してリンクは張らない。それに、新聞では使わないような(下品・不適切な)言葉は、ウェブログでも使わない」

 ――ウェブログに荒らし(troll)が現れた場合、どう対応すればいいのでしょうか。

 「もっとも有効なアドバイスは、無視しろ、ということだ。この種の人々の狙いは、注意を引きたいってことだから。ただ、時に激怒して、このルールを守れないこともある。事実でない書き込みに対しては、反論する。ただ一般的には、無視するに限る」

 ――「We the Media」のための、新しいウェブログ(http://wethemedia.oreilly.com/)も開設しましたね。

 「(作家の)ハワード・ラインゴールドが著書『スマート・モブズ』とともに立ち上げたウェブログのイメージだ。(スタンフォード大のローレンス・レッシグ教授らが提唱する)クリエイティブ・コモンズのライセンスのもとで、本のすべてのページのPDFデータも無料でダウンロードできる。本の中でも、現状の著作権乱用による弊害について指摘した。自分の言ったことには従い、この本のアイディアをより多くの人に読んでもらおうということだ。クリエイティブ・コモンズのライセンスは、今の著作権の問題点を、まともな形に戻すひとつの手だてだと思うから」 (2004/08/21)










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