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[CNET Japan] サイバー藤田社長、後継者選びは「今は無理」--IVSで気鋭起業家5人と語る

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 5月23~24日に経営者向けの招待制イベント「Infinity Ventures Summit(IVS)2013 Spring」が北海道・札幌で開催されている。23日のセッション「『起業家』の著者が起業家の本質に迫る」では、サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏がモデレーターとなり、ウィルゲート代表取締役の小島梨揮、コーチ・ユナイテッド代表取締役社長の有安伸宏氏、トライフォート代表取締役 CEOの大竹慎太郎氏、nanapi代表取締役社長の古川健介氏、HASUNA代表取締役兼チーフデザイナーの白木夏子氏の5人の気鋭起業家と、起業家としてのあり方や起業への意識などを和やかなムードの中で語りあった。

5人の経営者が語る企業のあり方

 新卒でサイバーエージェントに入社し、その後起業に至った大竹氏。藤田氏はまず大竹氏に、創業時の目標やCVO/CTOである小俣泰明氏との共同創業の理由を聞いた。大竹氏は「(小俣氏と)お互いトップをやりたかった。また人間的に合うので苦楽を共にできると思った。それでダブル代表になった」と語る。これに対して藤田氏は「一度離婚を経験した私としては、あまり甘いものではないと思う」と冗談を入れつつ、飲む回数を増やすなど、コミュニケーションに時間を取ることこそが重要だとした。

 事業に失敗し、23歳で1億円の借金を負ったという小島氏。同氏の著書を読んだという藤田氏が当時の様子を聞くと、「経験がないのに1億円を調達して、組織も崩壊した。人望はゼロ、働く意味が分からないという元社員のチャットの履歴が出てきた」と同氏は振り返る。

 こういった社内批判について、藤田氏はネガティブな芽をすぐに潰すべき、と語る。「社内でネガティブなことを言っている奴はつまみ出せ、というのがおすすめです」(藤田氏)

 「けんすう」のハンドルネームでブログ執筆にも積極的な古川氏。藤田氏は同氏に対して、社長がネット上で頻繁に登場することのメリットやデメリットを聞いた。

 古川氏はこれに対して、「ネットサービスを作っている会社が分からないのはまずい。 あらゆるサービスを使っていることはプラスだ。だが『社長は暇なんですか?』と外部に言われたので、恥ずかしかった。まあ、……暇だと思いますね(笑)」と語る。

 冗談交じりに語る古川氏だが、実際ブログが採用にも大きな効果を生んでいるという。「採用サービス、エージェントを使うよりモチベーションや意識の高い人が多い。社内の人数が多くなるとメッセージも伝えにくい。そのためにも分かりやすく語ることは重要」(古川氏)。藤田氏もこれに同意する。「現代の経営者にはありがたい。書くと理解してもらえるし、スピーチでこけても説明できる」(藤田氏)

 CtoCで生徒と講師をマッチングする「Cyta.jp」を手がける有安氏。藤田氏はCtoCのビジネスモデルをどう認知させるかを尋ねた。

 これに対して有安氏は「消費者はリアルかネットか、CtoCかどうかは関係ない。解決したいイシューがあって、どう解決するか」と語る。そのため、あえてCtoCである点を強調せずにサービスを提供しているのだという。「作り込んだオペレーションはネット企業じゃない。(集客も)リアルな施策の方が効くことが多い。地味と言えば地味」(有安氏)

 白木氏のHASUNAはエシカルジュエリーをデザインして販売している。藤田はその広報戦略について尋ねると、「(ジュエリーを)認知してもらうには、私がメディアに取り上げてもらって、『世界で鉱山の劣悪な環境で働いて人がいる』というのが効果的。だが『かわいそうだから』と買ってもらいたくない。そのさじ加減は難しい」(白木氏)と語る。

資本政策--自己資本か、出資を受けるか

 ここから藤田氏は登壇者らに資本政策について尋ねた。これまで自己資金で運営し、すで単月黒字となっているCyta.jpだが、有安氏「キャッシュが入ってくるビジネスなので、調達するよりも売上を回すのが早いとなった」。また、今後については、「大きいジャンプは選択肢(の1つ)」(有安氏)とした。

 大竹氏のトライフォートも自己資本で運営している。資本政策について「今後は柔軟に対応していきたいと考えている。自己資本で回っているので、いけるところまで入ってみる」と語る。

 グロービス・キャピタル・パートナーズから出資を受けているnanapiの古川氏。これについて同氏は「我々は、ハウツー記事を集めているので、毎月(PVが)少しづつ集まる。回収に時間がかかるので、お金を集めてまずは大きくする」と説明した。

 古川氏はまた、自身が「市場に合うサービスを、売却のために作るのではなく、言葉にできないような変なものを作りたい」と説明。nanapiについても、「コストも手間もかかるし4年やっても儲からない分の悪いサービス。他の会社が面倒でやってられない。そういう感じが好き」と語る。

 これを受けて藤田氏は、nanapiにソーシャルで拡散する仕組みをもっと入れるべきはないかと問うが、古川氏は「最近は新機能を作ってもソーシャルボタンを付けない。ださいなあと思っていて」と一蹴する。藤田氏は「すいません、いろいろ付けまくって」と返し、会場の笑いを誘った。

 事業に失敗し、株主から株を買い取ったために1億円の借金を背負った小島氏。株主との契約上、下部を買い取る義務はなかったものの「罪悪感と自己責任が強かった。本当に未熟だった自分に投資してくれたので、筋と押せることは通そうと思った」と語る。そんな経験もあることから、「単純に資金を調達しても会社が伸びるものではない。組織が盤石にならないと崩れてしまう」(小島氏)とした。

 社会起業家的な側面の強い事業を手がける白木氏。11人の個人投資家がいるが、「夢に出資して下さいと言って出してもらった。ビジネスモデル自体が明らかにリターンがあまり出ない。2期目から黒字化はしているが、利益率がITネットベンチャーの発想ではないので、資本政策も特殊だと思う」と語る。藤田氏はこれについて「金持ちがいいですよ。出資したことを忘れるくらいの」と返し。また会場の笑いを誘った。

サイバーエージェントは「新卒に一番いい会社」?

 さらに藤田氏は、登壇した起業家にサイバーエージェントの印象を聞いた。小島氏は「サイバーエージェント、藤田社長が起業のきっかけ。組織と事業を両立できる企業を作りたいと思っていた。それがメディアという方向性にも共感した」と語る。有安氏は、自身がサイバーエージェントの社員を引き抜こうとしたが難しかったと語り、「人事の会社である。仕組みの作り込みもしっかりしている」とした。有安氏は逆に、藤田氏に対して「女の子もカワイイのも仕組みの1つですか」と尋ねると、藤田氏は「それはネット業界の都市伝説です」とかわす。2005年に新卒採用で不採用となったという古川氏は、「新卒なら一番入りたい会社。昔のライブドアみたいに新しいモノを作ったりしている」と同社を評した。

 また藤田氏は、日本のベンチャー環境の問題点を尋ねる。古川氏と有安氏は日本が実は「起業しやすい環境」ではないかと語る。「若いうちから大企業に行っても結構発注してくれるし、僕の世代くらいから寛容になっている印象はある。問題は(起業家の)年齢層が高めなこと」(古川氏)、「日本は起業家天国。主観的には恵まれていると思う。どうやればシリコンバレーな生態系になるかという問題もあるが、それは量の問題。解決するのは政策ではなく、壇上の僕らの中から億万長者が出ること。そうすれば目の色が変わる。大きな成功事例を出すのが重要」(有安氏)。さらに小島氏は「再チャレンジに対してチャンスがあってもいいと思う」、大竹氏は「もっとぶっとんでていいと思う。AppleやGoogleに勝てない前提で発想するところがあるが、日本がナンバーワンだと思うくらいでいい」と語った。

起業家から藤田氏への質問も

 セッションの最後には質問の時間が設けられた。そこでは登壇者から藤田氏への質問が投げられた。

 大竹氏はまず、「経営者の引き際はいつかあるのか。その考えはあるか。あるならばどういう人物に任せたいか」と藤田氏に尋ねる。

 藤田氏は質問に苦笑いしたあと、「正直辞めよう、辞めようと思ってきた。黒字化したら辞めよう、Amebaを立ち上げたら辞めよう、と。しかし何かを達成したらしたで新たな責任が生まれる」と答える。そして、以前は「誰がやっても伸びる会社」を目指していたが、自身がAmeba事業に集中して他の業務を人任せにしたために失敗があり、今では細かな業務までを自身で見ているため、「『抜けれない状態』に社長もはまっている」と説明。さらに大竹氏から「辞めないということか」と問われると「今はちょっと無理(笑)」と返した。

 古川氏からは、「脅威に感じている若手は誰か」という質問が投げられた。これに対しては、「全然ない」と回答する藤田氏。「競合が出てきたときに嫌がる人もいるが、今までを見てもサイバークリックとバリュークリック、モバゲーとグリーが競争したから市場は大きくなった。歓迎だし、基本スタンスとしては応援したい」(藤田氏)

 最後に有安氏が「最近注目してサービス」について聞いた。藤田氏は「よく聞かれるが、そういう目で見ないようにしている。海外で流行ったものをいち早く持ってくる時代でもないし、他のサービスを見ると自分の目も狂ってしまうので見ないようにしている」と答えた。

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