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サムスンのジレンマ、アップルとの競争先鋭化−「ギャラクシーS4」絶好調

 韓国サムスン電子の最新スマートフォン(多機能携帯電話)「ギャラクシーS4」が発売1カ月もたたずに販売台数が1000万台を突破した。もはやスマートフォン市場の主役は米アップルではなくサムスンという声も多い。しかしアップルとの競争が先鋭化したことで、サムスンの部品事業に悪影響が出始めている。日本の電機業界が競争力を失った垂直統合のビジネスモデルは、そのまま今のサムスンのジレンマにあてはまる。(編集委員・明豊)

 「鶴田さんをスカウトした理由の一つは、ソニーから半導体の生産を受託すること」(国内半導体メーカー幹部)。昨年までソニーの技術渉外役員を務め、今年1月からサムスンの日本法人トップに就任した鶴田雅明氏。ソニーの中でも半導体と最終商品(セット)両方のビジネスに明るい数少ない人物だった。

 【深刻な状況】

 今、サムスンのロジック半導体事業は深刻な状況にある。生産量の半分を占めていると見られるアップルの「iPhone(アイフォーン)」向けプロセッサーの受託事業がなくなる。アップルはスマートフォンでライバルになったサムスンから部品を購入するのは、「敵に塩を送るようなもの」(国内携帯端末メーカー幹部)という思いから、次期プロセッサーの生産委託を台湾TSMCに切り替える。

 現状、先端ロジック半導体の用途はスマートフォンやパソコンなどに限られる。サムスンの工場の生産品は、アップルを除けばほとんどが自社のセット向けだろう。そこでアップルの穴埋め先として目を付けたのが、事業規模を拡大しているソニーの高機能相補型金属酸化膜半導体(CMOS)センサーだ。ソニーがどこまでファウンドリー(受託製造会社)活用の話に乗ってくるか。鶴田氏の政治力がカギを握る。

 サムスンは米クアルコムや米エヌビディアとも受託生産を交渉している模様だが、「スマートフォン事業に経営リソースを優先する傾向が強まり、半導体など部品事業の投資が保守的になっている」(サムスン関係者)。かつて同社の収益源といえば半導体メモリーや液晶パネルの部品事業だったが、今やスマートフォンなどのIT機器部門が稼ぎ頭だ。2013年1―3月期の全社営業利益は8兆7000億ウオン(約7800億円)だが、このうちIT機器部門が約75%を占める。

 【競合は警戒】

 いくら部品事業が独立していても、社内のセット事業が強くなればなるほど競合企業は警戒する。00年代にパナソニックはデジタル家電の競争力を強化する目的でシステムLSIを内製化した。同時に外販ももくろんだが、「仕様も供給契約もパナソニックの社内が先にありき。他社の調達部門はそんな製品を買わなかった」(国内家電メーカー幹部)。

 シャープは大型液晶パネルの堺工場(堺市堺区)を建設する際、ソニーや東芝と戦略的な調達関係を結んだ。ところが「品不足の時にパネルの外販が制限された」(同)ため2社との関係が悪化、現在の経営危機の一因にもなっている。日本勢が信奉したセットとデバイスの垂直統合モデルは、変化のスピードが速いがIT・デジタル市場では負の側面ばかり目立った。

 【機敏な追随者】

 サムスンは液晶などの部品やデジタル家電事業で「ファスト・フォロワー(機敏な追随者)」の優等生として成長してきた。しかし汎用化したディスプレー事業は本体から切り離し、いずれ半導体事業も見切りをつける日がくるかもしれない。

 デジタルカメラでは日本メーカーの牙城である一眼レフへ注力し始めるなど、依然ファスト・フォロワーの顔をのぞかせる。しかし世界首位のスマートフォンは急速に低価格化が進み、イノベーターにもなれないまま企業の存在価値が失われていくリスクが高まっている。

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