
ニューヨークにあるAIGのオフィスビル=AP
公的資金とは国や地方自治体が持っているお金の総称。税金のほか、国債や地方債で調達した借金も含まれる。公共事業や教育、医療、福祉など幅広い目的に使われるが、「公的資金」という言葉が注目されるのは、主に金融機関の資本力増強のために使われる場合だ。
金融機関への注入は、金融機関の経営が悪化して資本不足になり、企業への貸し渋りなどの悪影響が広がるのを防ぐ狙い。
昨秋以降の金融危機の深刻化で、世界各国で金融機関への公的資金注入が相次いでいる。米国ではシティグループやバンク・オブ・アメリカ、AIGなどに計7650億ドル注入された。欧州でも、英国でロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)などに計370億ポンド、ドイツでコメルツ銀行などに182億ユーロをそれぞれ投入している。
日本でも08年12月に成立した改正金融機能強化法に基づき、北洋銀行(札幌市)、南日本銀行(鹿児島)、福邦銀行(福井市)の第2地方銀行3行に総額1210億円を、09年3月に注入した。地域経済の悪化はなお深刻で、金融庁は同法の積極活用を呼びかけていることもあり、注入を申請する銀行が増える可能性もある。
公的資金を注入した金融機関の経営が改善すれば、お金が返還されて国民に利益が生じる。一方、損失拡大に歯止めがかからなければ、国民負担が発生することになる。
過去の金融危機でも、公的資金による資本増強はたびたび実施され、98年以降の累計注入額は12.5兆円に達している。これ以外にも、破綻した金融機関からの不良債権買い取りや受け皿銀行への資金援助など「金融システム安定化」のため、幅広く公的資金が使われている。
日本では今回、金融機関以外の事業会社への注入も検討されている。改正産業活力再生特別措置法に基づくもので、国民経済への影響が大きな企業などが対象になる。巨額の赤字などで自己資本不足に陥った企業に対し、まず日本政策投資銀行が「危機対応」として出資する。その後、損失が出た場合は、50〜80%を公的資金で補てんする仕組みだ。
決済機能を担う金融機関ではない事業会社への注入は、赤字企業の安易な救済につながるとの懸念も出ており、慎重な運用が求められる。(日浦統)
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解説文は09年4月20日更新