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旅する人のアペリティフ

雑貨屋、博物館、カフェといろんな面を楽しもう

第51回 世界の本屋さんめぐり

2008年02月26日

 延べ床面積は1万4330平方メートルで、棚の長さは延べ20.7キロメートル。

写真

写真/中野愛子

 何の建物かわかりますか?

 これは、書店「バーンズ・アンド・ノーブル」のニューヨークにある店。整然と並ぶ大量の本を眺めに行くだけでも圧巻ながら、季節によって本のバーゲンセールも楽しめる。 日本では「再販売価格維持」が法律で決まっていて、定価を維持しなきゃならない。だから売れない本でも安くはならず、そのまま出版社に返品されてしまうのに。

 そういえば、ボストンには、「バック・ア・ブック」なんて本屋さんがあった。

 “バック”とはドルのことで、ほとんどの本が1冊1ドル。つまり、100円そこそこで売られている。ダラーショップよりは小さな店構えで、一緒に雑貨も販売するので、100円ショップ感覚でお宝探し気分が味わえた。

 しかも、日本の100円ショップのように、「もともと100円」の本だけではない。 たとえば、少し前に流行った「ダイアナ姫の真実」みたいな分厚くて立派な装丁の本だって、あまれば100円。学生にとってはありがたい本屋だった。

 でも、ときには本屋での贅沢も味わった。コーヒーの香ばしい香り漂うブックカフェで、なぜか本と一緒に売られている、アメリカ人にとっては“クール”な盆栽を眺めながら、参考書を探したもの。

 こうして雰囲気を楽しんだり、インテリアになる画集や破格値の写真集を探したり、めずらしい辞書を見つけたり……と、書店に行く目的はあれこれ。

 世界中の書店はもっと多様だから、ますますのぞいてみる価値はある。

 たとえば、インド。たまたま見かけた街の本屋さんは、古本屋かと思うようにホコリを被り、「これが売り物か」という本が、これでもかと山積みにされていた。背表紙が見えないから、何の本かなんてお客にはわからない。店主の記憶を頼りに「この辺にあるかな」くらいで掘り出すしかない。掘り出したところで、ミイラでも一緒にでてきそうな勢いで、手付かずの状態が長く続いている風だ。

 さて、中国。そもそも社会主義国だからか、その書店は思想反映色が強かった。壁には親愛なる毛沢東のイラストが飾られ、下手したら“発禁”のシールも見つかりそうにガチガチとした古書店ぶり。雑貨屋さんで見かける、日本の若者にとって“クール”な毛沢東なんかが好きな人には、こうした本屋の品は格好の土産になる。国が変わればチェ・ゲバラだったりホー・チ・ミンだったりするかもしれないけれど。

 民族衣装や料理の本なんて、国によっては眺めるだけでもホウホウと驚く不思議な世界。博物館以上におもしろい代物が見つかるし、日本では高値の写真集や画集が、思いがけない値段で手に入ることもある。

 なによりも、ネットの書店や日本のピカピカの本屋さんでは味わえない、活字や紙がかもし出すゆっくりとした時間の感覚、作品に引きずり込まれるような雰囲気が、こうした本屋さんには残っている。神保町ですら見当たらない、カオス、アナログ、紙のにおい……。

 「読むだけの本」「本を買うだけの書店」ではなく、ただ訪れるだけを楽しんだり、雑貨屋さん、博物館……と、いろんな観点から本屋さんを歩いてみるのも、旅の一コマにアリだと思う。本好きじゃなくとも、世界の本屋は必見だ。

 ちなみに、「レコードチャイナ」というサイトによると、北京の本屋さん「第三極書局」は営業面積2万平方メートルだとか。ここに並ぶ本の漢字の量を数えたら、果たしてどのくらいになるのだろう……。

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旅のA to Z その51

「読むだけの本」「買うだけの書店」ではなく

雑貨屋、博物館etc…の感覚で、世界の書店はおもしろい!

文 上野陽子

プロフィール

上野陽子
立教大学在学中にカナダ・オーストラリアに留学。卒業後ボストン大学修士課程でジャーナリズムを専攻し、通信社・出版社を経てフリーランスで活躍中。趣味と仕事で世界をぶらり、旅した国は40カ国を超える。旅やカルチャーをテーマにした連載も多数。
著書に『海外ネット通販百科』、共訳書に『悪魔のマーケティング』(日経BP社)、編集書にプロの撮り方『旅行写真』(日経ナショナルジオグラフィック社)ほか。著書『恋する英語』と、同名のブログhttp://koisurueigo.com/も好評掲載中。

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