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旅する人のアペリティフ

ただ荷物を運ぶ以上のパートナー選び

第54回 旅行鞄を考える

2008年04月08日

 GWを目前に、そろそろ旅の支度を始める方もいる頃でしょう。そこで、今回は旅行鞄(かばん)について考えてみる。

写真

写真/中野愛子

 シェルの固いタイプ、軽量なバックパックのような布のタイプなどさまざまある中で、何が一番いいのかは旅の長さやスタイルによる。でも、1週間前後の旅行ならば、たいていはスーツケースがちょうどいい。

 ソフト布製やボストンバッグタイプは、一見手軽でよさそうに見える。けれど、ガツンガツンと投げられ、重い荷物がこれでもかと積み上げられるから、どうしても中身にダメージを受ける。しかも、軽そうに見えるのに、案外と移動がしにくく、キャスターがついていても腕に負担がかかることも多い。長期間あちこち移動する旅行や、機内持ち込みでなければ、あまりおススメしない。

 私の愛用は、ビクトリノックスの布張りのスーツケース。もう、購入してから7、8年はたつから、きっと2、30カ国くらい一緒に周ったんじゃないかと思う。未だ頑丈に私とあちこち旅をしている。

 このケースのいいところは、キャスターにインラインスケート用のローラーを使っていて滑らかなこと。

 同じ重さのスーツケースでも、キャスターしだいで腕にかかる重量感がまったく違ってくる。だから、キャスターは選択ポイントとして、かなり大切。転がしてみて、キャスターの表面や回転の滑らかさ、それから強さは絶対に確認したい。

 もうひとつのメリットは、ファスナーをジーッとひとまわり開くと、入る荷物の容量が増えること。忘れ物が多い私は、現地での買い物も、すべてスーツケースに入れてひとつの荷物にしたいので、必要に応じて容量が増えるのはかなり助かる。

 しかも、布張りで外側にもポケットがあるので、文庫本や、最後に取り出したい荷物などちょっとしたものを入れておいて、チェックイン前に簡単に取り出せるのも魅力。

 そんなところから、私は布張りタイプ派である。

 中は細かく仕切りがないもののほうが、自分の荷物に合わせられて使いやすいように思う。荷物を小分けするのは、旅行ポーチや衣類ケースで自分好みにしたほうがいい。

 鍵は、必要に応じてダイヤル式や南京錠タイプ、アメリカ旅行対策ならTSAロックをつければいいので、鞄についた鍵の種類はさほど気にしなくたって大丈夫。

 それよりも、帰りには買い物した品が増えるのはもちろん、行きに持っていった荷物さえも膨らむ。だから、行きでちょうど荷物が入りきったなら、帰りはまずあふれると思ったほうがいい。行きにすでにパンパンなんて、もってのほか。余白があれば、スーツケースに乗っかってはみ出た荷物と悪戦苦闘なんてせずに、気持ちもゆったりできる。だから、大きすぎず、でもそれなりのゆとりのある大きさにはしたい。

 と、私の旅行鞄選びの実用面はこんなところ。そして、さらに大切にしたいことがある。

 それは「自分の旅のパートナー」であるという一面。

 一緒に旅をすることになるから、デザインが気に入っていたり、味わい深かったりと、「居心地」も大切だ。

 私のものは、実は、デザインや味わいにはチョイと欠ける。けれども、自分が持つ荷物、移動、体との兼ね合いから、前述のタイプが今の私にはぴったり。

 最後の決定打は「どこなら譲れるか」によると思う。

 人間と同じで「100パーセントではないけれど、でもこの人のここが好き」みたいな、「居心地」のいい鞄を見つけられたら、心ウキウキ。荷物だって、軽く感じられるってものです。

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旅のA to Z その54

鞄選びはキャスター、大きさ、「居心地」のよさ

一緒に旅して「ここが好き」と言えるものを

文 上野陽子

プロフィール

上野陽子
立教大学在学中にカナダ・オーストラリアに留学。卒業後ボストン大学修士課程でジャーナリズムを専攻し、通信社・出版社を経てフリーランスで活躍中。趣味と仕事で世界をぶらり、旅した国は40カ国を超える。旅やカルチャーをテーマにした連載も多数。
著書に『海外ネット通販百科』、共訳書に『悪魔のマーケティング』(日経BP社)、編集書にプロの撮り方『旅行写真』(日経ナショナルジオグラフィック社)ほか。著書『恋する英語』と、同名のブログhttp://koisurueigo.com/も好評掲載中。

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