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知恵で伝える食べたいメニュー!

第68回 言葉が通じないレストランにて

2008年10月21日

  • 筆者 上野陽子

写真  

 香港で、ちょっと通を気取って下町ツアーに参加してみた。小さなお寺をまわったり、フェリーに乗ったり、最後に立ち寄った地元の人向けのフードコートでは、「好きなお店で食べてくださーい」とチケットを渡されて解散。

 中国語もわからないままながら、自分たちだけでいろんなお店を見てまわり、中から地元でも評判の飲茶の食堂に入ることにした。

 奥にワーッと広くにぎやかな店内で、ぶっきらぼうに席に通されて座ったと思ったら、いきなり注文を聞かれた。それも、中国語で。

 唐突な攻撃に二の句を告げずに「ちょっとまった!」とそぶりを見せてメニューに目を通す。と、そこに並んでいるのは中国語だけ。写真もない。

「うっ」と詰まって振り返ってみるけれど、忙しいウエートレスさんは、「まった!」で待ってくれるわけもなく、とっくにいなくなっている。

 でも、わからないとはいっても漢字。「炒」とか「牛」とか字面からなんとなくメニューが感じられるだろう……と思ったものの、たぶんいためた牛肉じゃないかな、と思われるものが、果たしてどんな形と味で出されるのか……見当がつかない。

 そこで「隣のアレおいしそう」、「今運んでいくのは何だろう」なんて言いながら、とにかくウエートレスさんを呼んで、さて、どうしたかというと……

  *まずは、近くのテーブルの上の食べたい物を、失礼にならないようにコソッと指さして、メニューで教えてもらい、指で「ひとつ」と注文。

  *次に、食べたかった料理の写真と名前をガイドブックで指さす。ついでに、現地でもらったクーポン冊子からもひとつ。現地のクーポンやガイド冊子は、こんなときにあなどれない。なんせ、中国語で書かれているからね。

  *最後に、通りがかった料理の種類を聞くために、紙に「同類」(で通じるかわからないけれどとりあえず)と書いてみたら、メニューを指でなぞってくれた。

 すると、ここまでの流れを見ていた隣のテーブルの女性が、片言の英語で「エイゴ、メニュー、ミタイデスカ?」と声をかけてくれた。

 えーっ! 英語のメニューもあるの!?

 どんなに英語で話しかけても、どのウエートレスさんもそんな気づかいはないので、てっきりメニューは中国語だけだと思っていた。でも、彼女の一言で英語メニューがスッ。最初に欲しかった……というか、聞いてみるべきだった。

 混沌とした食堂でよくわからないままに注文したので、出てきた料理が正しいのかはわからない。でも、地元で人気の店だけあって、一流ホテルの高級店よりもおいしかった。

 そういえば、ロシアのシベリア鉄道でも、まったく英語が通じなくて(いわんや日本語をや)、メニューは中国語よりちんぷんかんぷん。隣のテーブルと同じでいいやと指をさしても、従業員なのか、ダメダメと首を横にふられてお手上げだった。で、片言の英語でそばにいたお客さんが助けてくれて、そのときに役に立ったのが、やっぱりガイドブックの料理紹介のページの写真と料理の名称だった。

 言葉が通じず文字も読めないメニュー。そんなレストランで注文をするときは、一に近隣テーブルをコソッとノゾキ見て(失礼になりませんように)、二にガイドブックやクーポンの写真を使い、最後はまわりの人の助けが心強い。

 そして、なによりも一番大切なのは、おいしいもの、食べたい物はあきらめない! なんて心意気なのでした。

♪ ♪ ♪

旅のA to Z 68

言葉が通じず、文字も読めないメニューのときは、

ガイドブック、近くのテーブル、まわりの人のおかげさま。

プロフィール

上野陽子(うえの・ようこ)

 立教大学在学中にカナダ・オーストラリアに留学。卒業後ボストン大学修士課程でジャーナリズムを専攻し、通信社・出版社を経てフリーランスで活躍中。趣味と仕事で世界をぶらり、旅した国は40カ国を超える。旅やカルチャーをテーマにした連載も多数。最新刊『気持ちが伝わる英会話のルールとマナー』(日本実業出版社)が好評発売中!
 他に著書として『海外ネット通販百科』、共訳書に『悪魔のマーケティング』(日経BP社)など。著書と同名のブログ『恋する英語』はこちら。

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