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2011年12月6日0時45分
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戦うアンパンマン現る 高知のやなせたかし記念館

写真:開館15周年記念で登場したアンパンマン拡大開館15周年記念で登場したアンパンマン

写真:アンパンマンミュージアム4階のギャラリーを入ると、大きなアンパンマンが出迎えてくれる=香美市香北町美良布拡大アンパンマンミュージアム4階のギャラリーを入ると、大きなアンパンマンが出迎えてくれる=香美市香北町美良布

写真:アンパンマンミュージアムの外観拡大アンパンマンミュージアムの外観

 高知県香美市香北町の市立やなせたかし記念館アンパンマンミュージアムが今年、開館15周年を迎えた。3月11日に発生した東日本大震災では、アニメの主題歌「アンパンマンのマーチ」が被災者を勇気づけた。アンパンマンにとっても、今年は特別な年だった。

 高知市中心部から車で約1時間。物部川沿いの国道195号を走っていくと、勇ましいポーズをしたアンパンマンの像が出迎えてくれた。台座を含めて高さ約3メートルの大きな像だ。開館15周年を迎えた7月21日、アンパンマンの原作者やなせたかしさん(92)が寄贈した。次のようなメッセージが添えられた。

 「これは戦うアンパンマンです。怖い顔をしています。いま日本は激動の時です。困難に襲われています。アンパンマンも『みんなの夢守るため』には甘い顔はしていられません」

 ミュージアムの田所菜穂子事務局長(47)は「やなせ先生は今年、もう引退するという気持ちでいたようなんです」と話す。しかし、3月11日に大震災が発生。被災地では「アンパンマンのマーチ」が流れ、被災者に勇気を与えているという話をやなせさんは耳にした。

 「それでは何か手助けをしなければということになって、引退の話はどこかへ行ってしまいました」と田所さん。やなせさんは岩手県・陸前高田で一本だけ残った松の木をテーマに歌をつくり、避難所にはアンパンマンのポスターを配った。

 ミュージアム4階のギャラリー入り口では、やなせさんの毎月のあいさつ文を読むことができる。11月は「自分の仕事が(被災地で)いくらかお役に立ったと知ってうれしかった」と寄せている。

 やなせさんの出身地の旧香北町では1992年ごろ、ミュージアムの建設計画が持ち上がった。当時の町長で現ミュージアム振興財団理事長の野島民雄さん(79)は「もともとは町の総合的な福祉会館を建てたいと思っていたんです」と打ち明ける。そこに「やなせ記念館」を併設する予定だったが、「計画をつくる委員会の中で、アンパンマンミュージアム一本で行きたいという意見が強くなった」と言う。

 それが当たった。当初は年間入館者数10万人と予想していたが、わずか49日間で10万人を突破。初代事務局長を務めた漫画家おかもとあつしさん(55)は「電話が鳴りやまなくて周辺の道路は大渋滞。昼ご飯も食べられなかった」と笑う。「しかも当時は赤ちゃんをカウントしていなかった。実際の入場者はもっと多かった」。96年の開館から15年間で310万人を超える。

 仙波美由記さん(35)は03年に学芸員になった。幼児教育と学芸員職に興味があった。「それほどアンパンマンに詳しくはなく、何でこんなに人気なんだろうと疑問だった」と笑う。いまはその魅力をこう説明する。「ストーリーもキャラクターの形も色づかいもわかりやすい。ひもじい人を助ける普遍的な正義というテーマが貫かれ、大人も子どもも安心できるんです」

 来年、田所さんから事務局長を引き継ぐ。「ここは子どもが生まれて初めて訪れる美術館になる。ほっとした、楽しく過ごせた、また来たい、そんな思い出を持ってもらい、いつまでもみんなの『心のふるさと』でいたい」と話す。

 ミュージアムから歩いて5分ほどの美良布商店街には、アンパンマンやばいきんまん、メロンパンナちゃんなどの石像や人形が並ぶ。ここにやなせさんの蔵書を収めた「アンパンマン図書館」がある。97年に開館し、約4千冊を所蔵。アンパンマンの絵本もほぼ全部そろう。

 一番古い絵本は76年出版。ひらがなの「あんぱんまん」だ。今のアンパンマンより色が濃くて表情も渋かった。司書の水田香さんは「開館当時は子どもたちでてんやわんや。『アン図書』って呼ばれて親しまれていました」。最近子どもの数が減ってきているのが寂しいという。

 壁にかかったホワイトボードを見ると、名古屋市から来た人のメッセージがあった。「この町に来てアンパンマンが一層好きになりました!」

 アンパンマンはいつだって困っているひとを助けてくれる。その魅力は、これからもきっと衰えない。(中島嘉克)

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