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ペダルまかせ 〜自転車のある生活〜

日本最初の自転車道は金目川

2011年8月26日

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写真:ちょっとわかりにくい入口。拡大ちょっとわかりにくい入口。

写真:すぐに地図があるので概略を頭に入れよう。拡大すぐに地図があるので概略を頭に入れよう。

写真:要所には標識があるのでわかりやすい。拡大要所には標識があるのでわかりやすい。

写真:散歩の人が多く自転車はほとんど通らない。拡大散歩の人が多く自転車はほとんど通らない。

写真:見上げれば胡桃が実っていた。拡大見上げれば胡桃が実っていた。

写真:鈴川沿いはほとんど農道の雰囲気。拡大鈴川沿いはほとんど農道の雰囲気。

写真:カワセミ撮影のチャンスを待つおやじたち。拡大カワセミ撮影のチャンスを待つおやじたち。

平塚に43年前に開通

 自転車はブームの感を呈し、各地に専用道路もできているこの頃だが、日本で最初の自転車専用道は神奈川県平塚市にある。その名も「青少年サイクリングコース」、通称「金目川サイクリングロード」。もはや青少年ではないが、40年以上前にできた自転車専用道とはどんなものか紹介してみよう。

 この道が開通したのは、正確には1967年の10月10日の体育の日。すでに1956年の経済白書で「もはや戦後ではない」と発表されて経済成長が始まっており、日本は豊かさの入り口に立っていた。自転車も実用優先からスポーツとしてはやり始めた。

スタートは花水橋

 鎌倉、江の島方面から国道134号、通称湘南道路を小田原方面へ進む。平塚市に入ると花水川にかかる花水橋がある。字面は美しいが音で読むとちょっとショボショボしたような名前の橋を渡り左の堤防に入る。すぐに左に戻るように曲がると金目川沿いの自転車道が始まる(写真1)。

 ところでこの堤防、春夏秋冬いつ来てもハトがたむろしている不思議な堤防だ。特別餌があるようにも見えないし、なぜそこにいるのかわからない。人ずれしていて、そばを通っても当方を一べつするだけで動ずる気配もない。変なやつらだ

標識を目印に

 花水橋の下をくぐるとすぐにコース全体の地図(写真2)がある。土地勘がない人は距離感がわからないだろうが、新幹線や小田原厚木道路の下をくぐるので、それが目印になるだろう。また要所には標識(写真3)があるのでわかりやすい。道路を渡るときに一般道へ出るときもあるが、すぐに川沿いへ戻るよう心がけていれば迷うようなことはない。

 左手に優しい形をした高麗山が見える。サイクリングロードとはいえ、すれ違うのがやっとという狭い道だ(写真4)。路面も荒れていて走りやすいとは言えない。ロードというよりクロスバイクかママチャリでのんびり走るのが似合いそうな道だ。とてもスピードを出すわけにはいかない。

川の観察が面白い

 スピードは出せないが、のんびり周囲を見回しながら進めばこれはこれで楽しい。頭上には胡桃(くるみ)がたくさん実をつけていた(写真5)。自分が田舎で育ったころは、学校帰りに手足や衣類まで茶色に染めながら成熟しきれない実を割って食ったものだが、最近はどこでもあまり見向かれないらしい。

 金目川のよどみにはコイが群れをなし、石の上には亀が甲羅干しをしていた。川面にはシラサギ、アオサギがたくさんいる。サギたちは優美な姿に似合わない「ギャー」というようなけたたましい声で鳴いていた。

 「黒いサギもいるのか」、と思ったらカラスだった。浅瀬にたたずみ時々方角を変えながら、じっと水面を見つめている。サギと同じように小魚を狙っているとしか見えない。サギを見て魚を取ることを学習したのだろうか。興味があったのでしばらく観察したが、期待したような行動を見ることはできなかった。サイクリングの途中でなければ、もっと観察していたいところだった。

理想の夏の日々は夢物語

 岸辺から川のよどみに、ひっそりと1本の丈夫そうな糸がのびていた。おそらく魚、多分鰻を狙っての仕掛けではないかと思う。もちろん確証はない。竹で作った細長いかごのような仕掛けに餌のどじょうを入れ、川や池に夕方仕掛けて翌朝揚げるという遊びをどこかで読んだ覚えがある。

 毎日が日曜日。夕方そんな仕掛けを仕掛け、早朝の散歩と共に引き上げる。うまい具合に獲物があればよし、なくても落胆はせず。昼は麦わら帽子をかぶり、簡便な釣り道具とお気に入りの文庫本を手に出かける。釣りに飽きたら木陰で本を開く。眠くなったら昼寝をする。

 老人とよばれる年代になったら、そんな夏の日々を過ごしたいとずっと思ってきた。1本の糸で、忘れていたそんなことを思い出した。でも、現実はそれほどのどかではない。その年齢に近づきつつあるが、結局「なんと暑いのだ」などと悪態をつきながら、あくせくと俗事に気をとられる日々が続いる。

鈴川沿いはほとんど農道

 新幹線、小田原厚木道路の下をくぐると間もなく吾妻橋に出る。ここまでざっとスタートから6.6km。橋を渡り金目川からいったん離れる。車の多い県道63号を1.5kmほど進む。鈴川に架かる大畑橋の手前を右折すると鈴川沿いの自転車道となる。このコースで一番注意を要する曲がり角だ。この橋が目立たないのでわかりにくく、私はしばらく行き過ぎてしまった。

 鈴川沿いは左手が川で右手には水田が広がる。水田を渡る風と、時々ある畑から堆肥(たいひ)のにおいが漂い、木陰も一つもない。自転車道というより、ほとんど農道だ。自転車にも散歩の人にも出会わなかった。

カワセミを待つおやじたち

 数台の車と三脚につけた立派なカメラ群が目についた。車のわきではおやじたちが談笑していた(写真7)。カワセミを狙ってチャンスを待っているのだという。暑いのにご苦労様だ。カワセミの写真なら、世に素晴らしいのがたくさんあるのに、自分でもとりたいという感覚は私にはわからない。

 もっとも彼らからしてみれば、暑いのに何の意味もなく土手を自転車で走っている私の感覚も理解できないに違いないだろうから、お互い様というものか。車の通る道をいくつか横切って進み、下之宮橋のたもとを右折すると金目川沿いのもと来たサイクリング道に戻る。下之宮橋も見落としやすいところなので注意が必要だ。

 最近のサイクリング道路と違い、狭くて状態もよくない。管理する平塚市を責めているわけではない。自転車道も“時代の鏡”という制約の中にある。ここがこうしてあることも、日本の自転車の歴史の一部として十分に意味がある。17km余、ゆっくり走って1時間ちょっとの味わい深いサイクリングだった。(自宅からの往復を入れると計103kmだった)

【お尻が痛い】

 スポーツ自転車を手にすれば、とりあえずはうれしくて乗り回す。しかし、20分や30分は良いが1時間、2時間と乗り続ければ、ほぼ例外なくお尻が痛くなる。とりわけスポーツタイプのサドルはペダルを回しやすいように細身になっているので余計に痛い。

尻にパッドの付いた専用パンツがある。レーサーパンツ、略してレーパン。どんな名選手もこのパンツなしでは走れない。このパンツは素肌に直接はくようになっているので、「破れたらどうしよう」などと、最初はちょっと戸惑うが、いまだかつて破れたという話は聞いたことがない。最近は女性用も売られている。

プロフィール

三浦 壮介(みうら そうすけ)
 50歳に手が届くころから始めた自転車遊び。愛車・サンデー号で居住している湘南をふらりと流したり、時には温泉などに泊まりつつ輪行で古い街道や峠道を走ったり。でも、向かい風とのぼり坂はあまり好きでない。
 「自分の一生で今が一番若い。今できることを今やろう」、が最近の信条。自転車は敷居が低いが奥行きは深い。気ままに楽しんで気分転換。LDLコレステロールの黄信号がちょっと気がかりな176cm、1946年生まれ。目指すは“定年の達人”。

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