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2012年3月9日
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ペダルまかせ 〜自転車のある生活〜

早春の横浜みなとみらい

文と写真:三浦 壮介

写真:練習船の日本丸。芸術品のように美しい拡大練習船の日本丸。芸術品のように美しい

写真:観覧車とランドマークタワーはみなとみらいのシンボルだ拡大観覧車とランドマークタワーはみなとみらいのシンボルだ

写真:やや国籍不明の雰囲気がある赤レンガ倉庫拡大やや国籍不明の雰囲気がある赤レンガ倉庫

写真:開港記念館はどことなく温かみを感じさせる建物だ拡大開港記念館はどことなく温かみを感じさせる建物だ

写真:山下公園から望むみなとみらいの遠景拡大山下公園から望むみなとみらいの遠景

写真:山下公園の岩壁には歴史そのものといえる氷川丸が係留されている拡大山下公園の岩壁には歴史そのものといえる氷川丸が係留されている

写真:中華街はいつだって祭りのようににぎやか拡大中華街はいつだって祭りのようににぎやか

 横浜という街は文明開化の香りと超近代が、さらには欧州や中国の異国情緒が何の違和感もなく調和している珍しい街だ。今回はそんな横浜のみなとみらい界隈(かいわい)を中心に散歩してみた。

冷えず、かつ汗をかかない程度に

 居住する横須賀から横浜へは国道16号が幹線だが、車が多いうえ道幅が狭くトンネルも多い。裏道である産業道路を選ぶ。伊藤博文や金子堅太郎らが「合宿」して明治憲法を起草した夏島を抜け、八景島シーパラダイスを右手に見て、味もそっけもない道路を進む。

 寒い時でも走り始めれば、手足や顔はひどく寒いが体は温まって汗をかく。しかし、いったん汗をかき過ぎると今度は冷えて寒い。「汗が冷えないようにひたすら走り続ける」という体力派もいるが、私にそんな元気はない。体が冷えない程度のスピードで、必要以上に汗をかかないようにと、按配(あんばい)しながらゆるゆると慎重に走るのだ。時々後ろからビューっと抜いてゆく若者などもあるが、気にしないことにしている。

みなとみらい大橋からランドマークタワー

 2時間ほどで横浜の市街に入る。日本中どこでも見かけるMの字がマークの店で、温かいコーヒーで一休み。この店だと多少風変わりな装束でもあまり違和感なく入れるので便利だ。一休みの後、みなとみらい地区の北はずれ、横浜駅に近いみなとみらい大橋に向かう。そこで折り返して界隈をゆっくり散歩しようという計画。

 橋から眺めると近代的なビル群が逆光に並んで威容を誇っている。しばらく前までは埋め立てた原っぱだったのに…。夜景の絶景ポイントだそうだが、残念ながら私は夜は走らない。

 日産自動車の本社などを横目にランドマークタワーまで戻る。70階、高さ296.33m。当初は違和感のあるデザインだったが、見慣れてしまえば親しみすら覚える。人の感覚というのは不思議なものだ。電車などからこのビルが見えると「おお、横浜に帰って来た」とホッとしたりする。

 このビル、東京タワーやスカイツリーと違い、70階のスカイラウンジまでがビルとして機能している。ラウンジに上ると南関東360度の眺望だ。

日本丸から赤レンガ倉庫

 タワーのふもとには帆船「日本丸」が、石造りのドックに係留されている。昭和5年(1930年)に建造され同59年まで練習船として海の男を育ててきた。帆船というのは何とも美しい。船は一般に女性名詞とされる。だとしたら帆船は女性のうちでも着飾った貴婦人だろうか。

 岸壁沿いを赤レンガ倉庫に向かう。赤レンガ倉庫は、明治44年(1911年)に出来た2号館と、大正2年(1913年)に出来た1号館とがある。保税倉庫だったが平成元年に役割を終え、しばらく放置されていた。落書きをされるなど荒れていた時期もあったが、ドラマのロケ地となったりしことから注目され、2002年に商業施設として再開発され、付近一帯は広々とした赤レンガパークとして整備されている。

 みなとみらい地区は、久しぶりに訪れると息をのむほどに超近代的な都市として威容を誇っているが、石とコンクリートとガラスでできた無機質な印象が強い。職場として過ごすには快適かもしれないが、居住するかと問われれば私は遠慮したい。

昼飯は中華街で

 横浜スタジアムに近い旧市街へ入ると、街の雰囲気は一変する。無機質な近代都市や国籍不明のスペースに代わって、ケヤキ並木が美しいみなと大通りなど、文明開化以来の歴史を感じさせるしっとりと落ち着いた街並みとなる。

 県庁前の交差点の角には赤レンガ造りの開港記念会館がある。大正6年に建造された横浜の代表的な建物の一つ。今は公会堂として利用されている。このあたりにはこうした美しい歴史的建造物が多い。

 そうこうするうちに昼飯の時間だ。このあたりへ来たならやはり食事は中華街だろう。中華街はいつだってお祭りのようににぎやかだ。日本語がたどたどしいチラシ配りや甘栗売りのネエサン、ニイサンもいつだって元気だ。

 小さな路地にある「山東」へ寄る。お世辞にもきれいとは言えないが、安くてうまい。水餃子(ギョーザ)が評判の小さな店で、ここを訪れる客の大方が水餃子プラス何かを頼む。水餃子735円と焼きそば735円を頼んでみた。餃子はいつもの通りうまかったのだが、焼きそばはあまり当りではなかった。コンクリート打ちっぱなしの床が傾いているように感じられるのは、私の錯覚なのかどうか判然としないまま、とにかくしっかり満腹となった。

山下公園と氷川丸

 食休みもかねて山下公園へ。公園の岸壁は自転車乗り入れ禁止なのでぶらぶらと押して歩く。広々とした公園だ。ここから海を挟んで眺めるみなとみらいの遠景もなかなかいい。公園の端には氷川丸が係留されている。昭和5年(1930年)にシアトル航路用に建造された貨客船だ。

 説明によれば太平洋戦争前には、秩父宮ご夫妻、チャプリンをはじめ、約1万人が乗船したそうだ。その後、戦時中は海軍病院船、戦後も病院船のまま復員輸送に従事し、昭和22年に貨客船に戻りシアトル、ニューヨークおよび欧州航路に就航した。昭和35年に引退し港へ係留された。太平洋横断すること254回だったという。激動の昭和と重なる軌跡だ。内部も公開されている。

港の見える丘公園

 港の見える丘公園へ向かう。今回のコースの中でただ1か所の激しい坂のあるところ。距離も短いし車も少なかったので、押さずに登る。公園からはベイブリッジや横浜港の大きなクレーンなどが望める。「下界」の喧噪が嘘(うそ)のように静かな時間が流れていた。

 公園に隣接する外人墓地の界隈には、明治以来のこぢんまりした洋館がミニチュアのように点在している。東京でも他の地方都市でも見かけない、独特な雰囲気を持っている地域だ。フェリス女学院の坂から、日本で最初の洋式競馬が行われた根岸の馬事公苑のわきを抜け、松任谷由実の歌で有名になったカフェを横目に帰路についた。

 帰り道の金沢区に横浜ベイサイドというアウトレットがある。スポーツ用品店で厚手の少し温かそうな自転車用シューズカバーを2400円で求めた。今度の寒い日に出かけるときに試してみよう。

【ハイドレーション・システム】

 前回のバッグの便利な使い方の続き。熱い時の自転車では水分補給が決定的に大事だ。ボトルを装備するのが普通だが、上り坂やスピードが出ているときなどは使えないという欠点がある。ところがバッグの種類によっては、リザーバーと呼ばれる柔らかなポリ容器を収納し、口元まで伸びたチューブでこまめに水分を補給することができる。ハイドレーション・システムと呼ばれ、登山などでもあっという間に広まり、軍隊などでも使われている。

 真夏はコンビニでスポーツ飲料とぶっかき氷を入れておくと最後まで冷えた水分を補給できる。容量は2リットルのものや3リットルのものがある。私は前者を使っている。

「軟弱な自分が、そんな大げさな」と私も思っていたが、使ってみたらまことに便利。ビンディングペダルとハイドレーションは、軟弱な手合いこそが使いたい装置だ。

プロフィール

三浦 壮介(みうら そうすけ)
 50歳に手が届くころから始めた自転車遊び。愛車・サンデー号で居住している湘南をふらりと流したり、時には温泉などに泊まりつつ輪行で古い街道や峠道を走ったり。でも、向かい風とのぼり坂はあまり好きでない。
 「自分の一生で今が一番若い。今できることを今やろう」、が最近の信条。自転車は敷居が低いが奥行きは深い。気ままに楽しんで気分転換。LDLコレステロールの黄信号がちょっと気がかりな176cm、1946年生まれ。目指すは“定年の達人”。

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CAMELBAK(キャメルバック)H.A.W.G. NV

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身体の水分コンディションを保つための積極的な水分補給を可能にした、キャメルバックが生み出した「ハイドレーション・システム」。バックパックの中には飲料の入るリザーバー専用のスペースが設けられ、チューブを通じて必要なタイミングで水分補給ができる。こちらはリザーバー容量が3.0L、荷室容量19.0Lの大型でレインカバー付の全天候パック。同社では他にもサイズや型を展開しているのでぜひぴったりなものを見つけてほしい。

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CAMELBAK(キャメルバック) フローメーター

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こちらは水分補給を計画的に行いたい方にぴったりなフローメーター。飲料の消費量を液体センサーが感知し、リザーバーの残量や、空になるまでのおおよその時間を計算してくれる。CAMELBAK社のリザーバーに簡単に取り付け可能となっている。※リザーバー、チューブは付属していません。

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CAMELBAK (キャメルバック) ブラシセット

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内部まで手が届き、メンテナンスが簡単なキャメルバックのリザーバーだが、時には徹底的に掃除したいもの。そんなときに活躍するのが、チューブ用とリザーバー用の洗浄ブラシがセットになったこちらだ。必要に応じて活用してみてはいかがだろう?

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