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巨大つり橋、昼夜支える黒衣 横浜ベイブリッジ

2009年12月4日10時35分

写真:ライトアップは青と白。大黒ふ頭側の主桁から=横浜市鶴見区拡大ライトアップは青と白。大黒ふ頭側の主桁から=横浜市鶴見区

地図:  拡大  

 よく晴れた冬の日、横浜港を中心にパノラマが広がる。その先には富士山。それらを橋の上から望んだ瞬間、鈴木宏幸さん(49)の苦労は吹き飛んでいく。

 鈴木さんは「首都高メンテナンス神奈川」で、横浜ベイブリッジなどの保守・管理を担当する現場の統括責任者だ。橋の上の風速は地上の2倍。車が風にあおられて作業にならないこともある。そんな過酷な現場で、1日150人近い作業員が道路や排水管の補修から鳥の巣の撤去まで、さまざまな任務に就いている。

 鈴木さんが忘れられない日がある。2008年2月3日。横浜市内で7センチの積雪があったその日、鈴木さんは下請けの工事会社まで動員し、道路の管理にあたった。首都圏の大動脈が通行止めになれば一般道が渋滞でマヒし、影響は計り知れない。

 作業員たちは前夜から凍結防止用の塩水をまき、パトロールにあたった。路面が凍らないよう、かき集めた空のダンプカー70台がひたすら走り続けた。

 昼過ぎ、ベイブリッジを含む湾岸線は努力のかいなく上下線とも通行止めに。雪交じりの強い風にあおられながら、それでも人力で雪をかき続けた。同社の豊田恵介さん(34)も現場でシャベルを握っていた1人。「振り返ると路面はもう真っ白。泣きたくなりました」

 数年内に、大がかりな路面補修工事が控えている。未明に集合した作業員が、翌日の明け方近くまで、食事や休憩、仮眠を橋の上で済ませる集中工事だ。

 ベイブリッジはこの秋、開通20周年を迎えた。「次の世代に残していくのがおれたちの仕事。それは毎日のメンテナンスがあってこそ」と鈴木さん。巨大つり橋は、黒衣の努力にも支えられている。

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 橋をめぐり、そこにまつわる人々の思いをつづります。

(文・石坂亜子 撮影・上田頴人)

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《メモ》 横浜市中区―鶴見区間に位置する2層構造の斜張橋。上段に首都高湾岸線、下段には国道357号が通る。全長860メートル、塔の高さは海面から175メートル。開通は89年9月27日。

 問い合わせは首都高お客様センター(電話03・6667・5855)、観光に関しては横浜観光コンベンション・ビューロー(電話045・221・2111)へ。

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●スカイウオーク 横浜ベイブリッジの歩行者道。大黒ふ頭側の主桁にある展望ラウンジと遊歩道からなる。往復約30分。眺望のほか、ラウンジの真下を豪華客船や各国の大型船が行き交う様子も見どころ。600円、中学生以下300円。[前]10時〜[後]6時([金][土]は9時まで、3月31日まで)。12月23日〜1月6日などを除く[火][水]休み。休館日はラウンジを借り切ることができる。パーティー利用が多いが、プロポーズのために個人で借りた男性が過去に1人。夜景を味方につけ成功したそうだ。

●大黒パーキングエリア(PA)のライトアップ 12月27日[日]までの日没〜[後]11時([土][日][祝]と[祝]の前日は8時まで)。約15万球でPA全体を彩る。特設の「光のチャペル」には、絆(きずな)が深まるよう願いをかけて「絆のカギ」(1個100円)をつけることができる。

●首都高夜景 首都高関連の夜景スポットやレストランを紹介するサイト。http://www.shutoko-card.jp/yakei

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(2009年12月1日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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