現在位置:
  1. asahi.com
  2. ライフ
  3. トラベル
  4. 橋に願いを
  5. 記事

ヒット曲生んだきれいな夕日 渡良瀬橋(栃木県)

2010年2月5日10時21分

写真:渡良瀬橋を背に沈む夕日拡大渡良瀬橋を背に沈む夕日

写真:縁結びの神をまつる足利織姫神社で手を合わせる女性たち=栃木県足利市拡大縁結びの神をまつる足利織姫神社で手を合わせる女性たち=栃木県足利市

図:  拡大  

 栃木県足利市の中心部を流れる渡良瀬川には、市内だけで12本の橋が架かっている。渡良瀬橋はその一つ。1934年に現在の橋に架け替えられた。かつて地域の主要産業だった繊維の流通を支え、市の南北を結ぶ生活に密着した鋼鉄製の橋は、93年、森高千里さんによる同名曲のヒットで、一躍その名を全国にとどろかせることになる。

 森高さんは89年秋、同市の足利工業大応援団が主催したイベントにゲストとして招かれ、その帰りに渡良瀬橋を渡った。その後にあらためて現地を訪れ、橋や河原から見た風景や感じたことを詞に込めた。

 当時応援団員だった西牧宏之さん(42)は、同大付属高校で現在教壇に立つ。「生徒に話しても、森高さんを知らない世代なので反応が薄いんです」と嘆きながらも、自分たちの企画がきっかけでヒット曲が生まれたことを思うたび、うれしさがこみ上げてくる。

 「角に公衆電話がポツンとある」と描かれた床屋。歌の発売直後から「バーバー尾澤」だとされ、全国から見物客がやってきた。店主の尾澤秀俊さん(60)は「外で洗濯物が干せなくなった。自分の店が観光スポットになるなんて不思議でしたね」と振り返る。

 歌詞にはないが、橋の近くに足利富士浅間(せんげん)神社の登り口がある。赤ちゃんの無事な成長を願い、額に朱印を押す伝統行事「ペタンコ祭り」が行われる。「足利の人は赤ん坊のころから渡良瀬橋になじみがあります」と尾澤さん。取り立てて特徴がある橋ではないが、尾澤さんは橋の周辺の情景を細やかに歌ってくれた森高さんに感謝している。

 「夕日がきれいな街」と歌われ、多くの人に歌い継がれている渡良瀬橋。橋のたもとには歌碑が建ち、森高さんの歌声が流れる。空気が澄むこの季節、歌碑から橋を望むと、沈む夕日が川面に輝いていた。

(文・浅利貴子 撮影・真田弘宣)

    ◇

《メモ》 渡良瀬橋は長さ243メートル、幅5.5メートルのトラス橋。上を県道5号が通る。東武鉄道・足利市駅から西へ600メートル。07年、足利市は橋近くの堤防道路わきに、赤御影石製の同名曲の歌碑を建立。ボタンを押すと流れる森高さんの歌声は[前]8時〜[後]8時。

    ◇

●足利織姫神社 産業振興と縁結びの神がまつられている。229段の石段を上ると境内があり、足利市街と渡良瀬川、渡良瀬橋が望める。一の鳥居は県立自然公園ハイキングコースの発着点になっている。電話足利織姫神社奉賛会(0284・22・0313)。

●ペタンコ祭り 毎年6月1日に足利富士浅間神社で行われる。男児は男浅間山の上宮、女児は女浅間山の下宮に分かれて参拝する。赤ちゃんの額に朱印を押し、無病息災を祈る。

●あしかがフラワーパーク 8万8000平方メートルの敷地内に樹齢140年以上の大藤、1500本のクルメツツジなどが咲き誇る。入園料、開園時間は花の咲き具合で変動。JR富田駅から徒歩10分。電話0284・91・4939。

    ◇

(2010年2月2日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

検索フォーム
キーワード:


朝日新聞購読のご案内