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「撮り鉄」が狙う 絶景の1枚 第一只見川橋梁(福島県)

2010年6月25日10時10分

写真:遠くに望む第一只見川橋梁。川面に映る列車の影はわずかな風でも崩れてしまう=上田頴人撮影拡大遠くに望む第一只見川橋梁。川面に映る列車の影はわずかな風でも崩れてしまう=上田頴人撮影

写真:撮影ポイントでシャッターチャンスをうかがう斎藤茂樹さん拡大撮影ポイントでシャッターチャンスをうかがう斎藤茂樹さん

地図:  拡大  

 福島県三島町には、只見川を渡るJR只見線の鉄橋が三つある。中でも会津桧原―会津西方駅間にある第一只見川橋梁(きょうりょう)は、列車を撮影して楽しむ鉄道ファン、いわゆる「撮り鉄」に人気の橋だ。橋げたの上部に列車を遮るものがなく、豊かな自然の中、国鉄時代から走るキハ40系のディーゼルカーや臨時運行されるSLを撮ることができる。

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 スーツに長靴姿の同町町長・斎藤茂樹さん(71)が、首から提げた一眼レフカメラを揺らしながら草木の間を登っていく。目指すは第一橋梁を一望できる駒啼瀬(こまなかせ)トンネルの真上。「昔はこんな道すらなくて苦労したよ」。1974年のSL廃止時にこの撮影ポイントを見つけた。撮り鉄歴は40年近くになる。

 目的地目前の急斜面に、何人もが踏みしめてできた足跡型の階段があった。「10年前くらいかな、けもの道というか、カメラマン道がいつのまにかできていたんだ」。手をつきひざをつきながら5分ほど登ると、見渡す限りの濃い緑と、景色を割るように流れる只見川に交じって、薄紫色の鉄橋が現れた。

 橋は、町特産の桐(きり)の花と同じ色だ。JR東日本が橋の補修をする際、町が「花と同じ色に」と要望し塗り替えられた。「願いをかなえてくれるなんて、粋だよね」。花が満開を迎える初夏、町中が薄紫色に染まる。

 町を整備する立場にある斎藤さんだが、カメラマン道は対象外。「苦労してでも撮りたいという人が集まってくれた方が、景観も町とのつながりも大事にしてくれる」

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 小林洋子さん(73)が40年営む町の温泉旅館「栄光舘(えいこうかん)」。そのロビーは、常連の撮り鉄たちが写した四季折々の鉄橋の写真でいっぱいだ。「雑誌に掲載された」「賞を取った」といっては作品が送られてくる。「『今日は駄目だった』とか『いいのが撮れたよ』っていう短い一言がうれしいの」と小林さん。橋は線路だけでなく、人と人もつないでいる。(横田麻生子)

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《メモ》 全長174.2メートルの上路トラス橋。1938年8月に架けられ、以降は補修を繰り返しながら維持されている。気温差がある夏の早朝と夕方に、只見川の水面から川霧が立つことがある。白いもやの中に浮かぶ橋の姿は幻想的だ。

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●JR只見線 福島県側の会津若松駅と新潟県側の小出駅を結ぶ。全区間運行は一日3往復。7月17日[土]〜8月8日[日]の[土][日][祝]、会津若松−只見駅間を2両編成のトロッコ列車「風っこ会津只見号」が往復する。会津若松駅は[前]9時12分発。全車指定(要予約)で、指定席券は510円、小学生以下250円(別途乗車券が必要)。希望日の1カ月前からみどりの窓口で販売される。電話JR東日本テレフォンセンター(050・2016・1600)。

●道の駅 尾瀬街道みしま宿 国道252号沿い、駒啼瀬トンネル脇にある。会津桐タンスや会津地鶏などの特産物を販売。[前]8時〜[後]7時。三島町川井天屋原(電話0241・48・5677)。

●宮下温泉 只見川沿いにある2軒の温泉旅館と1軒の日帰り温泉。源泉かけ流し。1泊2食付き6850円から。日帰り入浴は420円、小学生以下210円。電話町観光協会(0241・48・5000)。

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(2010年6月22日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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