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本家・徳島直伝、スリル満点 かずら橋(福井県)

2010年7月23日10時12分

写真:福井県池田町のかずら橋拡大福井県池田町のかずら橋

写真:山本喜八さん(左)と上屋敷淳三さん拡大山本喜八さん(左)と上屋敷淳三さん

地図:  拡大  

 一歩踏み出すごとに、つり橋全体に揺れが伝わる。10センチはある敷板のすき間から、はるか下を流れる足羽川の水面が輝いて見える。踏み外さないよう手すりをしっかりつかみ、そろりそろりと歩く。全長44メートルの、小さな「冒険」だ。

 杉木立の山々に囲まれた福井県池田町。雄大な自然の一部になりすましたかのように、かずら橋は架かっていた。でも、できたのは20年ほど前。過疎に悩む町が「自然景観と調和する観光資源を」と考え、全国的に知られる徳島県の「祖谷(いや)のかずら橋」に着目した。

 東祖谷(同県三好市)に問い合わせたところ、職人たちが快諾。森林組合員ら地元の作業員たちを丁寧に指導した。以降、シラクチカズラと呼ばれるつる植物(サルナシ)は3年ごとに巻き替えられ、ワイヤや丸太の柱など橋の基礎は10年をめどに架け替えられている。

 今年の春先には、2度目の架け替え工事が行われた。シラクチカズラは和歌山県内で2カ月半かけて採取され、実際に使ったのは8千メートルを超えた。

 東祖谷からは3人の職人が駆けつけた。1人は架橋時から携わる85歳。力仕事はままならなかったが「思い出深い仕事」と橋のたもとで熱心に指揮した。

 森林組合から参加した3人はみな初体験。班長を務めた山本喜八さん(67)は、カズラの太さや柔らかさを確かめながら適材適所に使い分ける職人の技を必死に観察した。「カズラのねじり方が難しくてね」。骨格のワイヤや柱に巻き付けていくが、太いものは4人がかり。作業に加わった造園業者の上屋敷淳三さん(63)も「カズラの巻き付けは芸術。美しくなくては」とみんなにハッパをかけた。

 観光客は、徐々に増えている。今年の大型連休は、ひとときのスリルを楽しもうと5千人以上が橋を渡った。「橋をきっかけに、池田の自然のすばらしさを知ってもらえたら」。上屋敷さんは、大勢の汗が染み込んだカズラの手すりをいとおしそうになでた。(杉田裕実)

    ◇

《メモ》 1989年創建。幅1.8メートル、川からの高さは12メートル。平家一族が追っ手から逃れる際、橋を切り落とせるようにしたのがかずら橋の元々の由来とされる。[前]9時〜[後]4時。第1・3[火]休み。冬場は閉鎖。通行料300円、小中学生200円。町の中心部から車で約10分。

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●アドベンチャー・ボート 足羽川をゴムボートで下る、全長約2キロのラフティング。陸上を監視員が同行。3歳以上対象。着替え、タオルなど持参。4人乗り(1艇6000円)、6人乗り(同8000円)。要予約。荒天中止。9月は[土][日][祝]のみ。冬季休業。電話渓流温泉冠荘(0778・44・7755)。

●能面美術館 「能楽の里」としても知られる池田町。古面や隣接の工房で制作された能面70点を展示。第2・4[日]、工房では能面教室も(要予約)。[前]10時〜[後]4時([土][日]は5時まで)。[火]と翌[祝]休み。入館料300円、小中学生200円。電話(0778・44・7757)。

●ふるさと道場 各種そばメニューが味わえるほか、そば打ち(2300円)やもちつき(2500円〜)も体験できる。体験は1週間前までに要予約。かずら橋のたもとに隣接。[前]10時〜[後]4時半。第1・3[火]休み。電話(0778・44・6878)。

●龍双ケ滝 町の中心部から約15キロの部子川沿いにある、落差約60メートルの滝。「日本の滝100選」の一つ。電話町役場(0778・44・8004)。

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(2010年7月20日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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