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ほほ笑むこけし、往時しのぶ 遠刈田大橋(宮城県)

2010年12月10日

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写真:西側に蔵王連峰を臨む遠刈田大橋。たもとではこけし塔が人々を出迎える=上田頴人撮影拡大西側に蔵王連峰を臨む遠刈田大橋。たもとではこけし塔が人々を出迎える=上田頴人撮影

写真:こけしの絵付けをする佐藤哲郎さん=杉田写す拡大こけしの絵付けをする佐藤哲郎さん=杉田写す

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 宮城県蔵王町の遠刈田(とおがった)大橋は、蔵王連峰から流れ込む松川に架かっている。川の北東側は町の観光の中心である遠刈田温泉街、西南側はこけし職人の住む集落だ。橋の欄干脇の四隅には、大きな対のこけしが据えられている。伝統こけしの産地として、町は長く栄えてきた。

    ◇

 昭和の初めごろまで、橋の上を「工人」と呼ばれるこけし職人たちが背負いかご姿で忙しく往来していた。行きのかごの中身はこけし。温泉街で売りさばいた帰りは、みそや米がかごからのぞいていた。

 「『今日は売れたか』って、橋の上でよく世間話をしていましたよ」。工人歴65年の佐藤哲郎さん(80)が記憶をたどる。「工人と世の中を結びつける、大事な橋だったのでしょう」

 橋の両詰めに高さ3メートルほどのこけし塔が作られたのは、1971年のこと。蔵王高原やえぼしスキー場などの観光地へ向かう車の往来も多く、「観光客がびっくりしていきますよ」と、近くで40年以上電器店を営む三浦仁さん(77)。地元では「こけし橋」の名で親しまれる。

 子ども向けの玩具として古くから作られていたこけしは、昭和以降は鑑賞用として人気を博した。遠刈田地域でも、1980年代は作っても作っても注文に追いつかない日々が続いた。

 時は過ぎ、往時には集落に25軒あった工房は、今では4軒。工人の平均年齢は70代だ。

    ◇

 伝統を若い世代に継承しようと、町は昨年、国の雇用対策制度を生かして工人を募集した。100人ほどの応募者の中から選ばれた20〜40代の男女3人がいま、熟練工人のもとで修業に励んでいる。

 その1人、熊谷祐太さん(25)は「木地の質感をうまく出せるようになってきた」と手応えを感じている。「後世に継承できるよう、生涯にわたって技術を磨いていきたい」。こけしの穏やかな笑みの向こうに、若い工人の情熱が見えた。(杉田裕実)

    ◇

《メモ》 長さ91メートル、幅7.8メートルの鉄筋コンクリート橋。国道457号が通る。数度の架け替えがあったが、最初の丸太橋が架けられた時期は不明。84年には、鋳物のこけしを飾った歩行者専用の橋が平行して造られた。こけし塔は鉄製で、数年に1度塗り替えられる。

■遠刈田温泉 開湯は1600年ごろと伝わる。温泉街の中心には共同浴場「神の湯」があり、足湯も楽しめる。電話町観光協会(0224・34・2725)。

■みやぎ蔵王こけし館 全国の伝統こけしや木地玩具約5000点を展示。実演コーナーでは、工人による伝統こけし制作の様子が見学できる(3月までは[土][日][祝]のみ)。こけしの絵付け体験もできる(750円、要予約)。[前]9時〜[後]5時(29日〜1月3日は3時まで)。入館料300円、小中学生150円。電話0224・34・2385。

■蔵王酪農センター チーズやバター、アイスクリームなど、地元の多彩な乳製品が楽しめる。チーズ料理が味わえるレストランや、乳製品作りの体験教室(有料、要予約)も。蔵王町遠刈田温泉七日原251の4(電話0120・150302)。

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