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広重が描いた名残訪ねて 日本橋(東京都)

2010年12月31日

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写真:夕暮れ時の日本橋=上田頴人撮影拡大夕暮れ時の日本橋=上田頴人撮影

写真:歌川広重「日本橋雪晴」=江戸東京博物館蔵拡大歌川広重「日本橋雪晴」=江戸東京博物館蔵

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 丸々とした魚が並ぶ横を、天秤(てんびん)を担いだ人が行き来する。木製の太鼓橋を渡るのは大名行列だろうか。橋の上には空が広がり、かなたには富士の姿――。

 浮世絵師・歌川広重の最晩年の作品「名所江戸百景」。その1枚目を飾る「日本橋雪晴」には、約150年前の活気に満ちた日本橋が描かれている。江戸開府とほぼ同時に造られた日本橋は五街道の起点となり、一帯は日本経済の中心だった。

    ◇

 12月のある日、東京シティガイドの日紫喜(ひしき)一史さん(73)は、20人ほどを引率して日本橋周辺を巡っていた。橋に着き、「ここから眺めるのがいいでしょうか」と、用意していた「日本橋雪晴」の図版を広げた。

 広重はどの場所に立ち、何を描いたのか。絵の対象になった場所に出向き、作品を体感する講座「広重『名所江戸百景』めぐり」を主宰して5年がたつ。

 きっかけは3年間携わった博物館での浮世絵の解説ボランティアだ。絵を読み解く説明を心がけたが、広重を室内で解説するには限界があった。「119景はすぐそこに広がっている。実際に巡ったらどうだろう」

 仲間と2006年に講座を始めた。古地図と講座名を染め抜いた赤いのぼりを手に、月2回、1年かけて119景すべてを巡る。水路だった場所に水の気配はなく、橋が道路になっていることもある。それでも、浮世絵に描かれた距離感を現代の空気の中で体感するのが楽しい。「絵と今を行き来しているような、ワープするような感覚なんです」

    ◇

 描かれたのが早朝と聞き、朝の日本橋を歩いた。架橋100周年を前に洗浄を終えたばかりの橋は、辺りがまだ薄暗い中でも一層白く目立っていた。朝日がビルの窓を照らす頃、高速道路が覆う橋の上をサラリーマンが道を急ぎ、車が往来する。日本橋の一日が、始まろうとしていた。(蒔苗沙都子)

    ◇

《メモ》全長49メートル・幅27メートルの石造二連アーチ橋。初代は1603年に架けられ、1911年4月に20代目となる現在の橋が造られた。橋の柱に刻まれた銘板は、15代将軍・徳川慶喜によるもの。橋中央には、道路の起点を示す「日本国道路元標」がある。国の重要文化財。

■名橋「日本橋」保存会 1968年に創設。周辺の20町会と老舗企業が参加し、地域活性化に取り組む。「日本橋を少しでもいい形で後世に引き継ぎたい」と事務局長の永森昭紀さん。架橋100周年を記念し、4月2日[土]に日本橋に関するシンポジウム、3日[日]は中央通りでパレードを予定。

■江戸東京博物館 江戸後期の日本橋半分(約25メートル)を再現した実物大模型を展示。600円、大学生480円、中高生・65歳以上300円(1月2日と3日は無料)。[月]([祝]の場合は翌日)と12月28日〜1月1日休み。東京都墨田区横網1の4の1(電話03・3626・9974)。

■広重「名所江戸百景」めぐり 4月から第6期講座を開始予定。前・後期各12回。参加費前・後期各1万円(別途交通費)。定員50人(抽選)。募集は3月初旬を予定。電話江戸百景グループ(080・5528・5100)。

 ◆おことわり 「橋に願いを」は今回で終わります。1月から駅をテーマに「ひとえきがたり」を始めます。

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