文:越智 隆治
2011年6月23日
ヤンゲンの次に訪れたのは、グランドテール島の東岸を南下したポワンディミエ。こぢんまりとした町ではあるけど、ヤンゲンよりは少し規模の大きい印象の町。そうはいっても田舎町には変わりない。景勝地ヤンゲンからグランドテール島東岸を車で南下していくと、沖合に、ナンヨウスギが林立する平らで小さな島、ティバラマ(Tibarama)島が見えてる。はっきり言って、この島以外にこのエリアで目を引く景勝地はない。
しかし、世界遺産に指定されたニューカレドニアのサンゴ礁を、もっとも美しいと実感できるポイントが点在しているのが、このポワンディミエ沖合。サンゴの種類も他のエリアと比較しても相当に多く、健康状態も良い。サンゴで形成された海中の地形として、世界的にも珍しい、「ダブルバリアリーフ」が存在している。
通常、島や大陸を取り囲むように形成されるサンゴ礁の防波堤は、万里の頂上のように、長く連なる一重の海中要塞(ようさい)のように成長をするのだが、このエリアではその防波堤が、2重になっているというのだ。
グーグルアースで、その海域を調べると、不機嫌な人の唇のような形をした、2重に形成されたバリアリーフがポワンディミエの沖に広がっていることが容易に確認できる。
水中景観は陸のあっさりした風景とは一転して、どこまでも続くサンゴの尾根に感動しっぱなしのダイビングだった。
ポワンディミエでのダイビングを満喫した後は、首都ニュメアに戻り、国内線でグランドテール島の南東に位置する島、イル・デ・パンまで足を伸ばした。飛行時間は25分と短い。ここは、今回ガイドとして同行してくれていたガイドが、一時期ダイビングサービスで働いていたこともある島。
島内を移動していると、「久しぶり!元気だった?」と多くの島民たちから声をかけられ、彼がこの島の人たちに受け入れられていたことを実感した。
「南太平洋の宝石箱」と賞賛されるこの島の景観は、本当に美しかった。ポワンディミエでは、ナンヨウスギが成長するティバラマ島だけにポツンとあっただけなのだけど、この島はいたるところで、この不思議な形をしたスギが林立している。
景勝地として、もっとも代表的な場所がピッシンヌ・ナチュレル(自然のプール)と呼ばれる、外洋から点在する島や岩礁などの複雑な地形によって閉ざされた場所。それがナンヨウスギに取り囲まれて、水面には波も立たず本当に神秘的なたたずまいを見せてくれる。
ポワンディミエの海中景観が「竜宮城」ならば、このピッシング・ナチュレルの不思議な景観は、「天国」と表現しても過言ではないと思えるのだ。
そして、この島にも多くのダイビングポイントが点在しているのだが、一番興味を持ったのが、ジャングルの奥深くにある淡水の鍾乳洞を潜るケーブダイビング。森の奥深くに口を開く、迷宮のラビリンス「グロット・ドゥ・ラ・トラワジエム」。
エントリーポイントまでは、急で真っ暗なスロープをタンクを背負ったまま下りて行く。冒険心をくすぐるダイビングだ。下から全容を見渡すと、鍾乳石の柱が、天井から床までまっすぐに何本も伸びていて、本当に迷宮に迷い込んだような感覚に陥った。
水中写真家 (株)United Oceans 代表。65年、神奈川県生まれ、千葉県浦安市在住。98年に新聞社写真記者から独立後、国内外のダイビング雑誌で活動。主にイルカやクジラ、アシカなどの大型の海洋ほ乳類をテーマに、世界各国の海で撮影を行っている。05年より、アンダーウォーターウエッブマガジン、WEB-LUE主催。個人のHP、INTO THE BLUEでは、海洋ほ乳類などと泳ぐ、スペシャルトリップを企画。ミクロネシア、ヤップ州観光局日本PR担当。特定非営利活動法人OWS理事。著書多数。
200系新幹線や近畿地区の183系、東海地区の117系など、さまざまな国鉄型車両が引退する…
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