前回に引き続き、ペリリューでの話を中心に書く。なぜかと言えば、ここ数年、自分にとって、「パラオx取材=ペリリュー」という方程式が成り立つくらいに、訪れるのがペリリューの海ばかりだったからだ。しかも、何らかの群れのベストシーズン。
多くのダイバーの憧れのポイント「ブルーコーナー」はほとんどスルー。なぜかと言うと、もう多くのダイバーが「ブルーコーナー」という名前は認知していて、今更取材する必要もないから。というのが、自分が主催するダイビングのWEBマガジン、WEB−LUEでの取材を依頼する、現地側のスタンスだからだ。
個人的には、「セオリー通りのパラオ取材」もたまにはしてみたいと内心思っている訳だけど、リサーチに情熱を燃やす現地ガイドからすると、「もっと皆があっと驚くような新事実、ニューポイントを紹介したい」という思惑がある。そういう取材は、記事としても、自分自身もかなり面白い(ダイバーとして、ですよ)ので、もちろん、大歓迎ではあるのだけど。
まずこの海を訪れる多くのダイバーの憧れが、バショウカジキ。ダイビング中に遭遇できたときの興奮は半端ではない。そして同じように潜っていながら、見られていない人にとっては、目撃した人の自慢話や、遠目にぼやけて写っているコンデジの写真を自慢げに見せられて、アフターダイブの飲み会まで、苦汁を飲む一日が続く。
見られた者と、見られなかった者の表情の差があからさまで、気の小さい自分としては、「あんなに自慢げに話さなければいいのに」と内心ヒヤヒヤしてることもある。
かくいう自分はというと、実はほぼ毎回、ペリリューの取材ではバショウカジキを目撃したり、撮影したりしている。これは相当にラッキーなことで、「越智さんが取材に来るとバショウカジキに会える」とダイバー仲間の間で噂になるくらいだ。
実際、皆がマクロ撮影に夢中になっているときに、なんとな〜く、中層に一人プラプラ泳ぎ出たときなどに、真後ろから接近してきて、驚いたり、6〜7匹の群れに遭遇したりしたこともある。何度通っても、一度も見られていないダイバーもいるので、この遭遇率は相当に高いらしい。
さて、サブタイトルに「期間限定、群れBIG5改め、6?7?」と書いたのは、Vol3にも書いたように、パラオでは期間限定(ほとんどが交尾産卵目的)で相当数群れる魚が多く、その生態もかなりリサーチが進んでいる。
以前にペリリューから見に行きやすい期間限定、群れBIG5をWEB−LUEで紹介したことがあるが、その後のリサーチも進み、BIG5ではおさまりきらなくなってきていた。
BIG5とは、アフリカでゲームハンティングの時の大物、ライオン、ゾウ、バファロー、サイ、ヒョウを意味する。
前は、ペリリューコーナーのロウニンアジ(満月周り)、ペリリューカットのバラフエダイ(満月周り)、イエローウォールのイレズミフエダイ(2、3、4月ごろの新月前)、それに、ブルーコーナーやニュードロップオフのミヤコテングハギ(1月、2月、3月の新月周り)、ブルーコーナー西端に群れるツノダシ(1月、2月の満月周り限定)を取材して紹介した。
しかし、一昨年くらいに、同じく、リサーチに力を入れている、ブルーマーリンという日系のダイビングサービスが、ウーロンチャネルという、ペリリューからは少し離れたエリアで、カンムリブダイの大産卵を発見した。
それを是非WEB−LUE の取材で紹介して欲しいということになり、取材に訪れた。カンムリブダイは、日本では乱獲されて、絶滅危惧種に指定されている魚。体長は最大で130cm、体重75kgに達する。それが、1000匹以上群れて産卵を行うのだから、壮観だ。
実は、ペリリューでの取材は、他の水中カメラマンはほとんど撮影で足を踏み入れたことがない。長年一緒に潜り込んでいるからこそ、お互い信頼して撮影できる環境を創り出せていると感じている。それに、イレズミフエダイの大産卵は、WEB−LUEロケ中に発見した。
カンムリブダイの取材も、WEB−LUEで一番最初に依頼を受けたりと、海の新情報の紹介には、一目置かれた存在になっていると多少は思っている。
取材後、イレズミフエダイの産卵も、カンムリブダイの産卵もNHKが入って取材したくらいに、珍しいものだった。
そして今現在進めているのが、マンタが捕食のために50匹も群れるという場所のリサーチ。2012年の4月に取材に行く予定なので、成功したら、またここで紹介しようと思う。
「Day Dream Peleliu Station(http://www.daydream-dive.com/peleliu/index.html)」

水中写真家 (株)United Oceans 代表。65年、神奈川県生まれ、千葉県浦安市在住。98年に新聞社写真記者から独立後、国内外のダイビング雑誌で活動。主にイルカやクジラ、アシカなどの大型の海洋ほ乳類をテーマに、世界各国の海で撮影を行っている。05年より、アンダーウォーターウエッブマガジン、WEB-LUE主催。個人のHP、INTO THE BLUEでは、海洋ほ乳類などと泳ぐ、スペシャルトリップを企画。ミクロネシア、ヤップ州観光局日本PR担当。特定非営利活動法人OWS理事。著書多数。
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