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「釣らなきゃいけない」というプレッシャー

文:ふくだあかり

2009年10月13日10時49分

写真:一体何がかかったのか!?拡大一体何がかかったのか!?

写真:カメラに向かってにっこり拡大カメラに向かってにっこり

写真:今日イチのデカツオ!拡大今日イチのデカツオ!

写真:釣りたてのカツオはなかなか食べられません拡大釣りたてのカツオはなかなか食べられません

 先日、釣り雑誌の取材で相模湾にカツオ釣りに行った。お世話になった船宿は、神奈川県平塚港の庄三郎丸さん。同行のベテランアングラー・椙尾和義さんからの指導を受けながら、旬のカツオをルアーで狙った。

 相模湾のカツオは、取材の数日前まで一日50本(一番多く釣った人)という絶好調の釣果が続いていた。ところが直前になって、急に釣果が落ちているとの情報が…。

 「大丈夫かな…。釣れなかったらどうしよう…」

 取材を受けながらの釣りは、何としても釣らないといけない、というプレッシャーが重くのしかかる。さらに海の状況があまり良くないという情報を聞いてしまうと、不安も募る。

 取材当日は、波はないながらも風が強く、船が大きく揺れた。朝のうちは、小さな鳥山が立ち魚の群れを何度も見つけたが、私のルアーには反応してくれなかった。船長は、ポイントを移動しながら必死に魚影を探したが、なかなかカツオの姿は見つからず、とうとうカツオのポイントから離れてメジマグロのポイントへと移動した。

 「このまま何も釣れなかったらどうしよう」

 そんな不安が頭をよぎったその時、いきなり竿先がもっていかれた。同時に手にズドンという衝撃が伝わり、一気にラインが引っ張られた。相手に一方的に引っ張られ、100メートル以上もラインが出てしまった。そして、何とか止めようとドラグを締めた瞬間、「ぶちっ」とラインが切れてしまった。

 「一体なんだったんだろう? きっと巨大なキメジマグロに違いない…」

 逃した魚は大きいというが、実際は100キロに満たない程度のサメだったかもしれない。それでも、魚とのビッグファイトの場面を写真に撮ってもらったし、話題もひとつできた。釣れないという不安とプレッシャーに勝つために、そう前向きに考えることにした。

 「あとは本命のカツオを釣るだけだ…」

 午後になって残り時間も少なくなってきたころ、船長は、遊漁船が集まり大きな船団を作っているポイントに向かった。

 「ここなら食い気のあるカツオがいるかもしれない…。ジギングで勝負だ…」

 同行の椙尾さんからベテランのテクニックを伝授され、カツオに効果のあるという「しゃくり」を繰り返した。すると、直後にアタリが…。バレないように2回ほどあわせを入れて、魚が走らないように一気にラインを巻いた。すると、すぐに海面に真っ青できれいな魚体のカツオが現れた。

 「やっと釣れた…。よかった…」

 不安と緊張から一気に解放され、ホッと胸をなで下ろした。そして、カツオを抱きかかえて笑顔でハイポーズ。その後も、コンスタントにヒットが続き、船中で一番大きい3.5キロの大物を含む10本のカツオを釣り上げた。

 取材で釣りをするときは、「釣らなきゃいけない」というプレッシャーがあってついつい焦ってしまう。これから、もっともっと腕を磨いて、このプレッシャーを楽しめるアングラーになりたいと思っている。

プロフィール

ふくだあかり

アングラー(釣り師)。81年、茨城県生まれ。168センチ、O型 趣味:釣りと利き酒 特技:キャラクターを描くこと。

07年、趣味で釣りを始める。これまでに行った釣り場は数知れず、今でも週に1〜2回のペースで、全国各地の海、山、川に行っている。08年には、1年間に100種類の魚を釣る目標を達成。釣りブログ「百目」が、釣りファンから注目を集めている。本エッセーでは、女性の視点から魚釣りの魅力をご紹介します。

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