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ライフジャケットを着用していますか?

文:ふくだあかり

2009年10月20日11時19分

写真:ライフジャケットの正しいつけ方を教えてもらう拡大ライフジャケットの正しいつけ方を教えてもらう

写真:水から自力で上がるのも大変!拡大水から自力で上がるのも大変!

写真:浮き輪につかまっているのがやっと拡大浮き輪につかまっているのがやっと

写真:浮いていられるって重要だってことを実感拡大浮いていられるって重要だってことを実感

 私は先日、第三管区海上保安本部のマリンレジャー安全推進室が実施した「第2回 ライフジャケット着用体験会」に参加した。

 それは、私たちが普段釣りの時に着ているライフジャケットの効果を体験できるというたいへん貴重なイベント。まずは、ライフジャケットを着用せずに水に入り、水中ではどのような状態になるかを体験。ジーンズにパーカーとスニーカー、いつもの釣りの服装でプールに飛び込んだ。

 「ここは海じゃないし、救助隊がついている。どうってことないでしょ」などと、実は余裕で構えていた。ところが、実際にプールに入った途端、そんな考えは一切なくなった。着ていた服が水を吸って、まるで鉛の鎧を着ているように全身が重くなり、泳ぐどころか浮いていることすらままならない。手足を使って必死に泳ぐが、水面に顔を出すのもつらくなり、浮輪につかまらせてもらった。

 すると、今度は波が押し寄せてきた。浮輪につかまっているにもかかわらず、バランスが保てず、波がくるたびに顔が水中に沈んだ。やがて風まで吹いてきて、まさに荒れた海の上で遭難しているかのような状態になった。激しい波と風で浮輪につかまっているのが精一杯で、顔にかかる水を拭う余裕はない。水しぶきが目に入って視界が悪くなり、方向感覚も失った。溺れるのではという恐怖から、ほとんどパニック状態になった。

 水がこんなに怖いものだったなんて…。たった3分間だったが、恐怖でとても長く感じた。

 その後、少し休憩を取って、今度はライフジャケットを着用して水に入った。プールに飛び込んだらすぐに胸元のひもを引き、ライフジャケットを膨張させた。すると、身体にぴったりと密着するように浮輪が膨らんで、手足をバタつかせなくても浮かぶことができた。そして、波がきても風に吹かれても、慌てることなく落ち着いて行動することができた。

 今回の体験で、水面に浮いていられることがどれほど重要なことか、身をもって知ることができた。ライフジャケットを着ている時と、着ていない時の差は言うまでもないが、自らの命を守るためにライフジャケットの着用がいかに大切なのかを改めて知ることができた。

 海上保安庁によると、海中転落事故の生存率は、ライフジャケットを着用していた場合が68パーセント、非着用では30パーセントと半分以下になるという。

 これから、いよいよ本格的な海釣りシーズンに入るが、年間を通して秋から冬にかけての事故が最も多いと言われている。海も荒れやすく水温も低下し、暗くなる時間も早くなる。不運にも海の事故に遭遇する可能性も高くなるだろう。

 自分だけは大丈夫、なんて保障はどこにもない。

 ライフジャケットはダサい? 釣りの邪魔になる? 面倒くさい? 買うと高い?……などと着用しない理由もあるだろう。それでも自分と自分を愛する人たちのために、ライフジャケットの着用をお勧めしたい。

プロフィール

ふくだあかり

アングラー(釣り師)。81年、茨城県生まれ。168センチ、O型 趣味:釣りと利き酒 特技:キャラクターを描くこと。

07年、趣味で釣りを始める。これまでに行った釣り場は数知れず、今でも週に1〜2回のペースで、全国各地の海、山、川に行っている。08年には、1年間に100種類の魚を釣る目標を達成。釣りブログ「百目」が、釣りファンから注目を集めている。本エッセーでは、女性の視点から魚釣りの魅力をご紹介します。

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