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ひとえきがたり

3千年前からこんにちは 木造駅(青森県、JR五能線)

2011年1月25日

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写真:発見時に左足が欠けていたところまで忠実に再現。遮光器土偶の本物は東京にあり、里帰りを求める声は多い=上田頴人撮影拡大発見時に左足が欠けていたところまで忠実に再現。遮光器土偶の本物は東京にあり、里帰りを求める声は多い=上田頴人撮影

写真:シャコちゃんをかたどった陶器入りの清酒「縄文つがる」拡大シャコちゃんをかたどった陶器入りの清酒「縄文つがる」

地図:  拡大  

 その名を「シャコちゃん」という。高さ17メートルの巨体に木造(きづくり)駅を背負い、不気味に目を光らせて電車の到着を告げる姿は住民に怖がられ、そして愛されている。青森県つがる市の学芸員、佐野忠史さん(41)は言う。「こうやって文化財との共生を図ってもいいんじゃないか」と。「だって普通に考えたら土偶で駅造りますか?」

 シャコちゃんこと遮光器土偶は1887年、市内にある約3千年前の縄文遺跡「亀ケ岡遺跡」で発見された。大きく張った腰や肩の優美な曲線に、サングラスを思わせる目。魅惑の土偶は1957年に国の重要文化財になり、92年に駅となった。

 デザインを手がけた市職員の三上修司さん(56)が言う。「駅の無人化が決まり、市が寂れてしまう危機感があったんです」。当時の上司とともに「シャコちゃんが線路をまたぐ」という案を出したがJRの反対にあい、壁に張り付けることを思いついた。ためらう相手の説得に1年を費やした。

 そのかいがあったかどうか。今やマンホールのふたから掲示板の形まで、町はシャコちゃんであふれかえる。さらにNPO「つがる縄文の会」理事の川嶋大史さん(50)によって、大きなうねりの予感がある。

 亀ケ岡遺跡を含む北海道・北東北の縄文遺跡群を世界遺産にしたい――。その実現に向けて、勉強会や遺跡を舞台にした祭りなどを次々仕掛けている。「駅はきっかけ」と川嶋さん。「縄文は未知なる世界です。宇宙人みたいな土偶から、自分たちの祖先がどこから来たのか想像してほしい」

 世界遺産そして、日本人のルーツ解明の鍵をも握るシャコちゃん。背負っているのは駅舎だけじゃない。(加藤千絵)

■沿線ぶらり

JR五能線は東能代駅(秋田県能代市)と川部駅(青森県田舎館村)を結ぶ147.2キロ。

 木造駅を降りてシャコちゃんと対面した後は、市役所隣にある市縄文住居展示資料館カルコへ。本物の遮光器土偶(高さ34.5センチ、東京国立博物館所蔵)から型をとったレプリカに出合うことができる。ナトリウム・塩化物泉でほんのり茶色い湯が特徴のしゃこちゃん温泉は、市役所ほぼ向かい。秋田方面へ二つ先の陸奥森田駅から車で5分のところにある道の駅もりたアーストップには、シャコちゃんをモチーフにした菓子や地元の物産品がそろう。

■興味津々

 つがる市木造桜木の「葛西酒店マインマート」(電話0173・42・2443)では昨年7月から、シャコちゃんをかたどった陶器入りの清酒「縄文つがる」を販売している。アルコール度数は18〜19度と高めで、米の甘みが感じられるという。箱入り600ミリリットル3000円。

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